Linuxを適用した大規模ネットワーク監視システムの構築と実践
(PDF文書,822KB)


【要旨】

【目的】
情報システムの重要性がますます高まる中、問題が起こってから対応するのではなく、長期的にトラフィックトレンドを分析し、それを基にしたネットワーク管理が重要な課題になりつつあるが、ネットワークに関しては長期的に管理できるパッケージがなかった。
そこで、日々関心が高まるLinuxを用いて、既存の商用UNIXをベースとしたネットワーク監視システムと連携させたアプリケーションを構築し、長期的なネットワーク性能分析を行える環境を構築した。また、オープンソースによるシステム構築の長所・短所を検討する事により、今後のシステム構築へのオープンソース適用の基準・課題などを洗い出す。

【概要】
 現在運用中のネットワーク監視システムにおける機能拡充の一環として、各監視装置において収集しているネットワークの負荷や機器パフォーマンスといった性能データ及びSNMPトラップメッセージを、長期間格納する専用サーバ(性能管理サーバ)を新設した。
その性能管理サーバに、データの保管のみならず、長期間のトラフィックトレンド分析・障害メッセージ解析等のデータ分析機能を持つ業務システムを開発・導入し、パソコン上のWWWブラウザより分析作業をできるようにした。これにより、リアクティブな対応ではなくプロアクティブな設備計画及びネットワークの改善などが可能となる。また、紙ベースで報告していた月次ネットワーク性能報告帳票を性能管理サーバ上のバッチ処理により自動作成する事で、ペーパーレス化・人件費削減、さらに、月次報告の範囲の拡大を実現した。今回のシステム構築において、OSにLinux、WWWサーバにApache、Oracle連携にPHP+Perlを用いるなど導入コストの削減をはかり、オープンソースを用いたシステム構築検証ができた。

【キーポイント】
1.ネットワーク性能分析のコスト削減
(1)定型レポートの自動作成によるコストダウン。
(2)長期間のネットワーク性能データ・性能グラフ描画による、計画業務の効率化・高精度化。
2.オープンソースの検証
(1)Linuxに代表されるオープンソースを使用したシステム構築の検証。

【計画】
・工期
平成11年11月〜平成12年5月(運用開始:平成12年6月)予定
・機器仕様
分類 仕様 数量
ハードウェア Express5800/120Ha 1
内蔵ディスク(18.1G) 5
256MB増設メモリ 1
ソフトウェア Turbo Linux Server 6.0(日本語版) 1
Oracle8i Workgroup Server 8.1.5 1
S-Version4.3(グラフ作図ツール) 1
・費用
分類 金額(単位:円)
ハードウェア 3,000,000
ソフトウェア 450,000
開発費 11,500,000
保守費 500,000/年

【評価】
・定型レポート作成によるコスト、約350千円/月を削減が可能と予想される。
・これまで人間系でのデータ分析に頼っていた、ネットワークの計画業務の効率化・高精度化が実現できた。
・オープンソースを用いて導入コストを削減するとともに、本番システムとして構築する実現性を見出すことができた。
・Linux上でシステムを開発する際の問題として、動作が完了しているソフトウェアが少ない、メーカの保守体制が確立されていないといった点が上げられたが、今回は問題がなかった。

【今後の課題】
現在のシステムにおいては、性能データを分析する事に主眼が置かれており、ネットワーク性能の異常箇所を探し出すのは今までどおり人間系での作業になる。
そこで今後、現システムにネットワーク性能の異常箇所を自動的に探し出し、ユーザに通知する機能を追加する事により、より迅速なネットワーク改善が可能になり、TCOの削減にもつながる。

以上