インターネットアクセスログ分析システムの構築
(PDF文書,609KB)


【要旨】

1.経緯・目的
多くの企業がインターネットを利用してビジネス展開及び仕事の効率向上を図っているが、その反面、社員のインターネット不当利用や適切でないインターネット接続環境による不必要な費用の発生という新たな問題が発生している。具体的な例として社員が就業時間中に仕事に関係のないホームページを参照する事による仕事の効率低下や、インターネット環境導入当時では必要と思われていた回線や機器類のスペックが実際には高すぎて利用されていない状況であっても、管理を行っていない為に発見されず、無駄な固定費用が発生している等があげられる。弊社も当初これらの問題を認識し解決策を検討して次の事を実施した。
インターネット不当利用の対策としては仕事に無関係なホームページにアクセス出来ない様にフィルタを設けた。しかし実際にはアクセス制限すべきホームページは日々刻々と増え続けている為、対策には限界があった。インターネット接続環境においても負荷状況を把握する為に監視を行ったが管理者が特別な手法で監視を行う必要がある為、結局は高度な専門知識を持った技術者が多くの時間を費やす事となった。
この様に管理者の作業負荷増加による運用費用の増加という新たな問題が発生した事から、当初の対策では問題解決に結びつかない事が判明した。この経験から再度対策を検討した結果、仕事に無関係なホームページへのアクセスはアクセスしている社員の上長である部長や課長等の管理職が監視して警告するのが理想的であり、インターネット接続環境の負荷監視も専門技術者が行うのではなく関係者が誰でも行えるのが理想的であるという結論に達した。これらの対策案を実現する為には簡単にインターネット利用状況及び負荷状況を把握できる仕組みが必要であると考え、この条件を満たす市販ソフトウェアを検討する事となった。色々なソフトウェアを検討したが、そのほとんどが海外製で英語表示されるものであり、操作や収集した情報も専門知識が無いと理解しにくい上、監視には専用のソフトウェアを各管理者のパソコンにインストールする必要があるなど、結局望ましい市販ソフトウェアは見つからなかった。そこで誰にでも簡単な操作でインターネットの利用状況及び負荷状況を把握でき、安価な管理コストで運用を実現する事を目的としたアクセスコンテンツ分析システム「Proxy Log Analyzer」の開発に着手する事となった。

2.概要
大きく分類してホームページアクセス管理、ユーザーアクセス管理、インターネット負荷管理の機能があり、アクセス数の集計及びランキング、プロキシサーバーのキャッシュヒット率表示や処理時間集計等の合計21機能を備えている。これらの機能を組み合わせて結果を見る事により問題になるホームページと社員の絞り込み及びインターネット接続環境の負荷状況把握が可能である。又、これらの機能はプロキシサーバーが複数台存在する場合でも利用できる為、複数の拠点に配置されているプロキシサーバーの状況を一括して把握する事も可能である。
内部処理としては大きく分類してアクセスログ収集とログ集計結果出力の2種類がある。アクセスログ収集ではプロキシサーバーのログ記録機能でログ情報をリアルタイムにデータベースへ保存し、ログ集計結果出力ではMicrosoft Active Server Pagesにて開発したプログラムでデータベースに保存されているログ情報を集計してWEBブラウザに結果を出力している。この中でもログ集計結果出力では結果表示の為にスプレッドシートとグラフへの出力を行っており、Microsoft Office 2000付属のOffice Web Componentsにログ情報データを渡して実現している。

3.キーポイント
@費用面
全ての機能はWEBブラウザを使用し、利用者へのソフトウェア費用及びパソコンへのインストール費用を安価に設定できた。
A導入面
システム導入には、費用面で述べた要素が活かされインストール作業の軽減を実現している。
又、システム利用に特有の知識を必要としないのでユーザーへの教育も軽減できる。
B操作性
WEBブラウザ画面上でメニューのツリー表示や各機能のツールバー表示を実現している為WEBアクセス操作さえ知っていれば簡単に操作可能である。
C理解性
集計結果は一般的に見慣れているMicrosoft Excelのスプレッドシート及びグラフで表示している為、結果を簡単に把握する事ができる。
D流用性
各機能で出力された結果をMicrosoft Excel形式で保存する事ができる為、このデータを利用して各パソコンでのアクセス状況履歴管理や自由なレポート作成を行う事が可能である。
E拡張性
ユーザーインターフェイスやログアクセス部分を共通関数化して開発している為、今後必要な機能を比較的少ない工数で開発する事が可能である。

4.計画
システム分析には時間を費やしたが設計及び製造は約2.0人月で行う事ができた。又、開発途中でWEBアクセスに関する機能の追加が発生したが、拡張性を意識して開発した為、通常2.5人日程度必要と思われる機能を1.5人日で追加する事が可能であった。
本システムでは導入面が優れている点を最大限に活かす事ができ、システム利用開始は開発終了後間もなく実施することができた。

5.評価
今のところ導入効果は費用効果という形では出ていないがフレックスタイムのコアタイム以外での不当利用を多く発見でき、上長より指摘する事により監視されているという社員の自覚が得られ不当利用は減少している。接続環境の状況では弊社が導入している回線及び接続用サーバーが現在のインターネットアクセスに適切な範囲内のスペックであるという結果を得る事ができた。
又、予定外の効果であったが社員が使用しているWEBブラウザの種類やバージョンの集計結果から、これから開発していくイントラネットシステムで対応するべきWEBブラウザの把握及び一般的でないWEBブラウザを利用している社員への指摘要素として有用な情報を得ることが出来た。
今後の課題としては監視による社員のインターネット利用低下を防ぐ為にもナレッジデータベースシステムと連携して有用なホームページ情報を蓄積し、有効なインターネット利用方法提供ツールとしての利用を考えている。又、高い拡張性を活かして同等のユーザーインターフェイスでe-mail監視に対応させたe-mailの不当利用削減を計画している。