NUA WORLD 関西NEC C&Cシステムユーザー会

会合 平成24年度

社会に貢献するNECのトップ技術!
第9回 ITソリューションセミナー

小惑星探査機「はやぶさ」の帰還で多くの皆さまにNECの宇宙技術を知っていただきましたが、NECにはほかにも、世界をリードし、世界トップクラスのシェアを誇る技術があります。
2013年3月1日、関西NUAでは「社会に貢献するNECのトップ技術!」と題し、世界最先端を誇るNECのトップ技術を広く知っていただくため、「世界を結ぶNECの海洋技術」「世界に必要不可欠なNECの無線伝送技術」の2テーマで講演を行いました。その内容をご紹介します。

日時 平成25年3月1日(金) 14:00〜17:00
場所 NEC関西ビル38階 ユーザー会サロン

グローバルに社会貢献するNECの知られざるトップ技術

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テーマ: 世界に必要不可欠なNECの無線伝送技術
〜世界トップシェアを誇るパソリンクとは〜
講師: NEC モバイルワイヤレスソリューション事業部長 
中田 博也
NECは1935年からマイクロ波による多重通信システムの研究開発にいち早く取り組んできました。1990年代後半になると、無線通信の需要が大きく携帯電話にシフトし、インフラ製品もコモディティ化が進展。激しい市場競争が繰り広げられるなかで、パソリンク事業は飛躍的な成長を遂げてきました。NECの無線伝送技術の歴史、特長、取り組み、考え方など、また世界のトップシェアを誇るパソリンクなどのワイヤレス製品を紹介します。

1 厳しさを増す日本企業の海外事業

通信機器の分野では、日本企業は国内では高いプレゼンスを示しているものの、海外市場では苦戦しています。その要因として、円高の進行による国際競争力の低下、テロの脅威など通信需要が見込まれる地域での事業リスク、ファイナンスや為替など自国政府の支援を背景とする新興メーカの台頭、グローバルトップ企業のM&Aや顧客抱え込みなどによる市場の寡占化が挙げられます。
ベンダーのシェアを見ると、国内では携帯基地局の約50%、スマートフォン端末で約40%を日本企業が占めています。ところが、海外市場に目を転じると、携帯基地局でもスマートフォンでも欧米メーカと中・韓メーカが大部分を占め、基地局では日本メーカのシェアはごくわずか、スマートフォンに至っては海外に出る余地なしという状態です。ベンダーの売上高成長率を見ても、中国企業が大きく伸ばしているのに対し、欧米企業も大部分が厳しい状況に立たされています。
ドイツのあるレポートでは、今後リーダー企業はさらに寡占化を進め、特徴を持つ企業はワイルドカードとして生き残り、その他は再編される可能性が高いとしています。具体的なメーカ名も入っていますが、NECはワイルドカードという見方をされています。

2 一矢報いるNECのパソリンク事業

NECのパソリンク事業は、2007、08、09年と3年連続シェア1位を獲得しました。また、2011年の顧客評価では、技術、製品評価、セキュリティ、財務、サービス支援の各項目で1位の評価を得ており、総合ナンバーワンと評価されています。
日本企業が海外事業で苦戦するなかにあって、“一矢報いる”という言葉がぴったり当てはまる奮闘ぶりといっても過言ではありません。

3 NECのマイクロ波通信事業の歴史と貢献

NECは1899年の設立ですが、1935年にはマイクロ装置の研究開発を進め、国内では1953年に東北電力様に、海外では1956年にインドにマイクロ装置を納入しました。その後、衛星通信事業に参入し、1963年には全固体化マイクロ波通信を世界で初めて実用化。さらに1969年には世界で初めてデジタルマイクロ波通信を商用化しました。このように、NECは世界初という技術を数多く生み出しながら、コア事業としてマイクロ波通信事業を発展させてきました。ここまでは、大型装置が中心の時代でした。
1983年には、小型マイクロ波通信装置のパソリンクが誕生し、主にビル間通信システムとして利用されてきました。1987年には、英国ブリティッシュテレコムから海外初の受注をし、製品も随分と鍛えられました。1990年代になり、本格的なモバイルの時代を迎えると、携帯エントランス回線用を中心に国内外で需要が拡大。国内では第二、第三世代携帯網用、海外では欧米からの受注が中心でした。2000年以降、ワイヤレスブロードバンドの時代になり、国内は光化が進みパソリンクの需要は減りました。

図:NECのマイクロ波通信事業の歴史と貢献

4 新たな事業展開

パソリンクとは、携帯基地局間を無線で結ぶ超小型マイクロ波通信システムの名称です。装置は、30〜120cmの専用アンテナ、アウトドアユニット、専用アンテナとアウトドアユニットを取り付けるポール、インドアユニットで構成されています。
パソリンク事業では、国内の需要減を転機とし“海外のボリューム市場”を徹底的に狙うことを決断しました。その背景には、2つのポイントがありました。1つは、新興国市場が急速に成長していること。アジア、中近東、アフリカ、ロシア、中南米などの国々では、固定電話の普及が遅れ、携帯電話が実質的な生活インフラになっています。各国とも携帯電話会社が2、3社あり、インフラ需要が旺盛とにらんだのです。もう1つは、マイクロ波通信装置ならではの特長が発揮できることでした。それは、山岳地帯や島しょなどの地形に左右されずに通信ができ、洪水や地震などの自然災害の影響も少ないこと。また、点だけで線がないため、盗難やテロなどに対する防衛も容易です。そして、工事が容易というメリットがあります。光ケーブルの場合は数カ月かかる工事も、ポールがあれば設置できるので数時間で済みます。
また“海外市場のニーズ”に合わせた事業体として戦うため「ダントツの製品づくり」「販売力強化」「短納期対応」「地域社会への貢献」の4つを掲げ、強力に変革を推進しました。

図:パソリンク事業の転機

5 世界トップシェアへのみちのり

「ダントツの製品づくり」では、小型・軽量化、低消費電力化、高信頼性、豊富な製品メニューを推進。海外では装置を据え付ける鉄塔の強度が不十分なこともあり、高集積化技術とマイクロ波集積回路技術で小型・軽量化を実現しました。2013年3月末には、新たに業界最小の新製品をリリースします。低消費電力化は、小型化に合わせてトップレベルの低消費電力性を実現し、環境にやさしく顧客のオペレーションコスト削減にも貢献。高信頼性では、世界最高レベルの品質を実現しており、特性保証温度は-33〜+55℃、MTBF(機器が故障するまでの平均時間)=100年以上と、圧倒的な高信頼性を実現しています。豊富な製品メニューでは、国によって使える周波数帯が違うため、周波数帯、伝送容量ともに幅広いメニューを用意しています。ユニットをモジュール化しているため、数百もの組み合わせが可能です。
「短納期対応」では、絶え間ない改善活動による生産革新、グローバルサプライチェーンマネジメント体制の確立に取り組み、短納期対応を可能にしました。
「販売力強化」では、まず政府系の移動体通信事業者から他の事業者を攻める戦略をとりました。政府系移動体通信事業者への実績が大きくものを言うからです。また、足で勝ち取る営業の徹底、モバイル基地局ベンダーとの協業も積極的に行いました。そして、“現地人”になりきることを実践しました。
「地域社会への貢献」では、自然災害に強いパソリンクの実力が遺憾なく発揮されます。例えば、2004年のインドネシアのスマトラ沖大地震では、工事中でしたがすぐに復旧し、インドの大型モンスーンの来襲時には、そのまま使えました。中国南部の大雪害でも、復旧を支援し、速やかに利用できるようになりました。

6 世界シェアNo.1達成と新展開

リーマンショックや欧州危機、円高、インドでの受注減などの要因により、2010年と2011年はシェア第2位でしたが、2012年の第一四半期にはシェア24.5%を占め首位を奪還しました。
パソリンクシリーズは、2008年に累計出荷台数100万台を突破し、2013年1月には累計出荷台数200万台を達成しました。納入した国々は149カ国に及んでいます。
新たな事業展開に向け、2012年4月には、インド・チェンナイ市にモバイル技術開発センターを開設。チェンナイ市から40km離れた「オラガダム工場」でパソリンクの生産を開始しました。
また、さらなるパソリンクの進化を体現したアンテナ、ODU、IDUの3つが一体化した新製品「iPASOLINK SX」を発売しました。大容量パケット伝送、コンパクトな筐体、無線免許不要という特長があり、国内展開では、自治体や防災など自営網への適用、企業・法人向けの自営回線としての利用普及を目指しています。

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