NUA WORLDトップ > 歴史探訪 > 第16回 龍馬ふたたび 歴史をめぐり歩く高知
歴史探訪
 

龍馬ふたたび 歴史をめぐり歩く高知

訪問した人
株式会社エム・シー・エス
末延 寿祥さん

[写真]
末延さん、龍馬先生とツーショット。記念館の一室で

 幕末・維新をめぐる人物のなかでも、ひときわまぶしい存在感を放つ坂本龍馬。高知市は龍馬が生まれ育った場所として知られ、2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」前半の舞台でもあります。

 今回の旅人・末延寿祥さんもまた、ここ高知市で生まれ育った生粋の土佐っ子。勤務する株式会社エム・シー・エスは、県内外のグループ会社等約25社のサポートを手がける情報システム・デベロッパーです。末延さんは学生時代にコンピュータを専門に学び、就職後もこの道一筋にキャリアを重ねてきました。今まさに気鋭のシステムエンジニアとして、ソフトウェア開発から保守までプロジェクトの中核を担っています。

 「龍馬には親しみを感じます。でも、高知にはそれ以外の顔もあります。空港でも郵便局でもなんでもかんでも龍馬の名をつけるのは、ちょっとやりすぎのような感じがしますね」と笑う末延さん。「でも今日の探訪は歴史がテーマ。よい機会なので、少年時代の龍馬の目線でコースをめぐってみたいと思います」と心構えをひと言。さっそく最初の訪問先である「龍馬の生まれたまち記念館」に向かいました。

少年龍馬に触れる「龍馬の生まれたまち記念館」

写真 記念館の中庭。多くの建材が高知産によるもの

 建物に入るやいなや「まっことよう来たねえ、ゆっくり見とうせ」と土佐弁の自動ナレーションに歓迎されてびっくり。龍馬の生まれたまち記念館は、龍馬の生家があった上町にあり、高知県産の建材を使ったモダン和風な雰囲気のなか、少年時代から脱藩までの龍馬にじっくり触れることができます。

 「このくらいの土佐弁なら私も使いますよ。『なにしゆうがあ(なにしてるんだ?)』とかね。方言自体は今では土佐弁というより高知弁という感じで、かなりユルくなっていますが」と言いながら、美しく多彩な展示コーナーにじっと見入る末延さん。「ふと思ったのですが、私の龍馬に関する知識は、子どもの頃に読んだマンガ『お 〜い!龍馬』由来のものが多いみたいです」。龍馬の生まれたまち記念館の躍動感あふれる展示は、末延さんの少年時代の記憶に触れるようです。

 

少年龍馬を感じる「片側町〜鏡川沿いの散歩道」

写真鏡川と神田川。龍馬が泳いだのはこの付近か

写真
最後の城主・山内豊範の祖霊を祀る山内神社

 高知市内を流れる鏡川沿いの片側町は、古い石垣の連なる瀟洒な住宅街。ここはかつて堤防の外側でしたが、18世紀頃に石を積み上げ水害対策を施してから、人の住める場所になりました。

 龍馬が少年時代に通った日根野道場も片側町にあったとか。鏡川にまつわる龍馬のエピソードはとくに有名だそうで「3つ年上の乙女姉さんから泳ぎの稽古をつけられたことや、大雨の日でも平気で泳ぎにいったことなど、とにかくおもしろおかしく聞いていましたね」と末延さんもうなずきます。

 傍流の神田川が鏡川に合流するこの場所で、河川敷はいっそう広がり、眺望もよくなります。「ここから眺める夕陽がきれいなんですよ。そういえば、私が子どもの頃、両親に鏡川祭りに連れてきてもらいました。いわゆる夏祭りで、河川敷にたくさんの屋台が並びます。花火大会もありました。楽しかったな…」。一瞬はるか彼方に向かう末延さんの視線。そのまま歩いて柳原橋のたもとを渡り、山内神社の境内へ。豊かな緑のなか、黄色い落葉が鮮やかです。

 

「高知城」に圧倒され、維新に思い馳せる

写真
追手門と天守閣がレンズに収まる。これが証拠!

写真 詰門内で。城の構造上、最大のトリックがここに

 次はいよいよ高知城に。末延さんは追手門からの入城です。「小学五年生のとき、高知城で龍馬や高知県に関するクイズ大会があり、はじめて入城しました。そのあとが13歳のとき。今回で3回目です」。日本には数多くの名城がありますが、追手門と天守閣を写真一枚に収めることができるのは高知城だけだそうで、撮影の名所としても知られています。

 「城主の山内氏は家康が使わした大名で、その家臣は上士、そして土佐の旧勢力は郷士と、厳しく区別されました。郷士の階級だった龍馬は一度も入城しなかったそうです」

 廻縁高欄のある独特な天守閣、螺旋状に配置された縄張り、武者返しのある城壁、攻め込んだ敵を苦戦・迷走させるトリックの数々など、城づくりの知恵と技術の巧みさに圧倒されますが、その歴史を通じて実戦に使われることはありませんでした。山内豊範を最後の城主にし、土佐に新しい時代をもたらした維新の波。その波の源となった坂本龍馬。高知中心部の歴史探訪は、まさに維新に思いを馳せるものに。

 「龍馬の少年時代とともに、甦ってきたのは自分の少年時代。なによりも懐かしさに触れることができました」と末延さん。高知の素晴らしさをあらためて実感した一日になったようです。

 
(2009年12月2日掲載)

「龍馬の生まれたまち記念館と高知城」一口メモ

写真
高知城天守閣の武者返し。
石落としの2つの穴が不気味

 

■ここでチェック

 幕末維新の英雄・坂本龍馬は、天保6年11月15日(1836年1月3日)、高知市上町で誕生しました。2004年オープンの龍馬の生まれたまち記念館は、龍馬の生まれ育ちにスポットライトをあてた市立ミュージアムで、上町の歴史や文化、龍馬を育てた家族や人物の紹介、龍馬が生まれてから脱藩するまでの出来事などに、バラエティ豊かな展示を通じて触れることができます。また、同館では、ボランティアガイドが案内人を務める「龍馬の生まれたまち歩き」を主催し、6つのコースを用意。土佐の風土や歴史・文化を一歩深く体験することができます。
 高知城は、関ヶ原戦の功績により徳川家康から土佐一国を拝領した山内一豊が、慶長6年(1601年)に築城工事を始め、慶長8年(1603年)に入城した、日本を代表する名城です。一度火災で大半の建築物を焼失しましたが、宝暦3年(1753年)に再建されました。美しい城であるだけでなく、見所が多く、じっくり見てまわるには2時間は必要。とても良い状態で維持管理され、現在は石垣を修復中です。天守閣からは高知市内が一望できます。


pagetop