CONSENSUS_2017_09_10
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を高く評価し、本技術の導入を検討しています。 従来の画像検索技術は、不審者や指名手配犯の顔があらかじめ把握できていなければ、検出は不可能でした。しかし「時空間データ横断プロファイリング」技術は、カメラが初めて捉えた人物であっても、その出現パターンが通常とは異なっていれば人工知能ソフトウェアが自動で抽出を行い、不審者を迅速に検出できることが、今回の実験で証明されました。 今後は犯罪防止や捜査への活用だけでなく、迷子捜索といったポジティブな活用にも期待が高まっています。消費者の振る舞い・表情から心情を汲み取ったり、店舗内での移動順路の把握なども可能なことから、企業に向けて顧客対応の強化策、およびマーケティング分野での活用も提案していく考えです。CONSENSUS Sep.Oct.2017 21劉 健全 中央研究所 システムプラットフォーム研究所 主任/博士(工学)中国 広東省出身。2006年9月、大学院への進学を目的に来日。コンピュータ・サイエンスを専攻し、高次元データの類似検索を研究。入社後は中央研究所に配属となり、「時空間データ横断プロファイリング」の開発プロジェクトに関わる。ツリー上のデータ構造の採用を発案するなど、技術開発の中心的役割を果たした。研究開発業務の傍ら、法政大学大学院理工学研究科の非常勤講師として週に一度、知識獲得特論の講義を行っている。また、「川崎市外国人市民代表者会議」の第10期代表者、市民自主学級「川崎パパ塾」の企画委員を務めるなど、地域活動にも熱心に取り組んでいる。このほか、IEEEが主催する国際会議「ICSC2018」「ISM2017」「ICSC2017」「BigMM2016」のプログラム共同委員長、電子情報通信学会の「データ工学研究会」「システム数理と応用研究会」の各専門委員、情報処理学会の論文誌編集委員など、広範囲に活動している。董中央研究所 システムプラットフォーム研究所 リサーチャー/博士(情報科学)中国 山東省出身。2010年、大学院への進学を目的に来日。社会システム情報学を専攻し、曖昧な位置情報(ガウス分布)に対する問い合わせ処理を研究。2016年に入社し、中央研究所 システムプラットフォーム研究所に配属。「時空間データ横断プロファイリング」の開発プロジェクトに関わる。大手金融機関との実証実験では、先輩研究者の劉から分析手法を学び、3カ月分のデータを用いた解析結果を金融機関に提示した。特異な取引パターンとなりうる判定条件を絞り込み、解析結果の正確性向上にも貢献した。「自分たちが生み出したテクノロジーと、ATM取引履歴などの生データを駆使し、社会課題の解決に貢献できる実感を得ることができた」と本人は言う。社内の登山部に所属し、休日は国内の山に登る日が多い。箱根の金時山を皮切りに、最近では富士山、八ヶ岳、谷川岳など、著名な山を次々に踏破している。※1 米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証ソフトウェアのベンチマークテストにて、4回連続して首位の精度を記録している。※2 ATM利用者の分析と出し子の抽出作業に際して、金融機関からNECに提供された材料は、利用者の顔画像そのものではなく、数値化された後のデータ=「顔の特徴量」だった。口座情報やカード情報なども、金融機関からは一切提供されていない。つまりNECは、顔の特徴量と店舗別・端末別の引き出し履歴、および時刻のデータだけを用いて不審者の検索・抽出を行っている。大量の顔データを、類似度に基づいてツリー構造で管理することで、抽出を高速化 「時空間データ横断プロファイリング」は、検索対象となる大量の顔データを、「顔の類似度」を基にグループ化し、ツリー状のデータ構造を生成できるアルゴリズムが核となっている。この構造により、下層になるほど、より類似度の高い顔データを発見できる。 例えば「70%以上の類似要素を持つ人物」という閾値をリクエストすると、ツリー構造をたどり、その閾値以上で類似しているグループを順に見つけることで、高速に検索・抽出を実行する。その結果、グループの大きさを見ることで、「最も類似している人物、上位10人」というように、検索結果が表示される。犯罪捜査においては、カメラの場所や時間帯を指定して検索をかけることで、「現場A、B、Cに共通して出現した人物はこの2人」というように、抽出結果が表示される。特異な出現パターンや振る舞いをしている人物も、数秒程度で抽出できる。また、刻々と状況が変化している現場の映像から新たに得られる顔データを、各グループの代表的なデータと比較するだけで、どのグループに属するかを瞬時に判断・分類し、リアルタイムに追加できるアルゴリズムも実装している。 なお本技術は、「NeoFace Image data mining」という名称で、2016年10月より販売を開始している。研究者の素顔●顔の特徴が類似するグループを、類似度によって階層化した「ツリー構造」類似度小類似度大ある程度類似するグループ大きく類似するグループしきいりゅうとうていてい

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