CONSENSUS_2017_09_10
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 現代社会において防犯カメラは、犯罪の未然防止や事件捜査などで重要な役割を果たしています。その一方、日々収集される映像データは増大しており、公的機関や企業では人手による映像解析が困難な状況になっています。 この課題に着目したNECは2012年、世界最高レベル※1の精度を有する顔認証技術と、人工知能、データベースなどの技術を組み合わせ、不審な人物を効率的に発見するための研究に着手。2015年、公的施設や人の多く集まる場所で撮影した映像データから、「頻繁に現れる人物」「長時間滞在している人物」などを高速に検索・抽出できる新技術「時空間データ横断プロファイリング」の開発に成功しています。 この新技術は、不審人物の「出現頻度」だけでなく、犯罪やテロの対象となりやすい複数の現場に共通して現れるケースなど、特異な「出現パターン」を示す人物を抽出できるアルゴリズムを開発し、ソフトウェアに実装している点が大きな特長となっています。 こうした特長を活かして、NECは2016年秋に大手金融機関と共同で、金融犯罪分析の実証実験を実施しました。この実験は、ある犯罪グループが数百枚の偽造カードを作成し、複数のATMから短時間のうちに多額の現金を引き出す大規模な犯罪が発生したという状況を想定したものです。多くの利用者の中から、出し子(ATMから不正出金をする人物)をいち早く検索・抽出することで警察の捜査活動に寄与し、犯罪被害を最小限に食い止めることを目的としています。 一般に、ATMの取引データだけを集めて分析を行っても、出し子の特定は不可能です。例えば、出し子が複数のキャッシュカードを使って複数店舗を渡り歩き、限度額の範囲内で現金を引き出していけば、通常の取引と区別できないからです。そこで本技術を用いて、金融機関が店内の防犯カメラなどから収集したATM利用者の顔画像と、店舗別・端末別の引き出し履歴、および時刻を組み合わせて分析することで、出し子を特定できると考えたのです。 実証実験の対象には、ATM利用者が多い10店舗を選定。各店舗が3カ月にわたって収集したATM利用者の顔画像約28万枚の特徴※2を、NECの顔認証技術によって数値化しています。NECではこれらのデータを分析し、複数の店舗を移動しながら短時間で頻繁に現金を引き出すなど、特異な出現パターンだけを抽出することで出し子の可能性がある10名の候補者を金融機関に提示しました。確認の結果、金融機関が把握していた出し子3名全員がこの候補者に含まれていました。この金融機関は今回の実験結果20 Sep.Oct.2017 CONSENSUS防犯カメラなどが収集する膨大なデータを、瞬時に解析する技術大手金融機関と共に、ATMからの不正引き出しを想定した実証実験を実施実験によって導き出した3名は、金融機関があらかじめ把握していた出し子と一致■ NECと大手金融機関が共同で行った、金融犯罪分析の実証実験■ 「時空間データ横断プロファイリング」による分析画面の一例グラフのヨコ軸は取引日と時刻、タテ軸は現金の引き出しなどATM取引の回数を表す。今回の実証実験では、計10名の現金引き出し履歴が、特定の日や週に集中していたことから「異常」と判定し、金融機関に提示している。従来の画像検索では顔がわからないため検出できない。防犯カメラの画像を使い、人物の出現パターンに着目し不審来店者を検出問い合わせ顔画像顔がわからない!集中・頻繁(出し子の可能性高い)A店9:30B店10:05C店10:41複数店舗を渡り歩いてATMを操作している“出し子”を検出したい。753110/0310/0910/1410/2010/25753110/0410/0910/1410/1910/24 AIを用いた新技術「時空間データ横断プロファイリング」によって、金融犯罪分析の実証実験に成功

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