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ManufacturingTransformation

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コラムトップ > Vol.01 Manufacturing Transformation ~変革していく製造業~

Manufacturing Transformation
~変革していく製造業~

製造業を取り巻く環境が急変する時代

今、製造業を取り巻く環境が急変している。

ビッグデータ、センシング、アナリティクス、コグニティブなどのテクノロジーが急速に発展し、ドイツや米国、インドなどが国レベルで産業革新を推し進めている。そして、ものづくりの世界にベンチャー企業や異業種が、新しい製品コンセプトとビジネスモデルを担いで参入してくる。日本の製造業にもその波は確実に押し寄せている。

その渦中にある製造業では、企業全体のみならず事業部や製造現場、開発チームなどあらゆる組織レイヤーにおいて「変革」は必然となる。すでに能動的に「変革」に着手している場合は市場競争で優位に立っていると言えるが、多くの組織ではどこから着手すべきかを模索しているのが現状ではないだろうか。

本コラムでは「Manufacturing Transformation」をテーマとし、世界で起こっている製造業の変革ケースや新しい概念を紹介していく。M2M(Machine to Machine)/IoT(Internet of Things)がもたらす製造業の変革やそれに伴い新たに生まれるチャレンジ、流通業の「オムニチャネル化」が製造業の現場に与えるインパクトと、それを「糧」にした変革ケースなど、6回にわたり業界で注目されているキーワードを取り上げ考察する。本コラムの読者自身が所属する組織や、担当業務、プロジェクトを「トランスフォーム」させるヒントとなれば幸いである。

イノベーションを加速させるテクノロジー

製造業界、ものづくり組織の変革を語る際に切り離せないのが、それを支えるテクノロジーである。本コラムの重要な要素となるためここで簡単に紹介をしておきたい。

IDCでは、ビッグデータ、クラウド、モビリティ、ソーシャル技術の4つの柱(4ピラー)が構成するテクノロジー基盤を「第3のプラットフォーム」と呼んでいるが、現在その規模は国内ICT市場の約3分の1を占める。今後さらに第2のプラットフォーム、つまり従来型のクライアントサーバーで構築されるシステムの市場が縮小する一方で、第3のプラットフォーム市場の規模は拡大し、ICT市場を牽引する。

この市場成長性の他に注目すべきが、第3のプラットフォーム上で生まれ展開されるテクノロジーである。3Dプリンター、IoT、ロボティクス、認知システムなどの「イノベーションアクセラレーター」だ。IDCでは、これらを産業の成長をアクセラレート(加速)させる重要な要因と位置付けており、上述の「4ピラー」とあわせて本コラムで取り上げていく。

産業の耐えざる変革

第3のプラットフォーム構成と、その上で展開されるイノベーションアクセラレーター、そして
あらゆる産業でイノベーションが継続していく様子を示した図

製造業に変革をもたらす4ピラー:ビッグデータ、クラウド、モビリティ、
ソーシャル技術

ここまで、第3のプラットフォームと、その上に展開するイノベーションアクセラレーターが、自社の組織やビジネスの変革において重要な役割を果たすであろうことを説明してきた。しかし、実際の現場におけるこれらテクノロジーの取り入れが「変革」に直接つながると実感している読者は少ないかもしれない。当然のことながら変革は一昼夜にしてならず、最終的に目指す「変革後の姿」がまずあって、そこに向かい「できるところから」進める必要があるだろう。

「変革後の姿」を設定し「できるところから」進めた例を一つ紹介したい。北米地域のコンシューマー向け製品の製造と販売を手掛ける企業が既存のサプライチェーンに乗らずに「オールデジタル」で製造~販売~保守を行うことにした。まず取りかかったのが、新たに立ち上げたブランドの製品サポートで、コールセンターの代わりにソーシャルメディアを活用することである。ネガティブな投稿をした顧客への迅速なフォローやクレーム案件の社内展開のスピードアップなどを実現したほか、これまで張り付き対応していた返品窓口のスタッフの人件費削減と、遠隔での業務遂行などワークスタイル変革にもつながった。

この例では、4ピラーのうち「ソーシャル」を第一のステップとして変革の道を歩み出したが、組織により「どこから」着手するか、そしてどのような姿を目指すのかは当然異なる。本コラムで紹介するケースや概念を通し、自社やチーム独自の「変革後の姿」や「できるところから」を見出すきっかけを提供していきたい。

最初に取り上げるキーワードは「IoT」である。次回コラムでは、IoTが一過性のバズワードで終わるのか、製造業におけるIoT導入シナリオや変革ケース、新たに生まれる課題などを議論していく。

アナリストプロフィール

岩本 直子

IDC Japan株式会社・ITスペンディング・マーケットアナリスト

IT市場調査会社であるIDCにて、産業分野、企業規模、地域ごとのIT市場動向およびIT市場規模の調査・分析をおこなう。産業分野のうち、特に製造業、流通業、サービス業を担当し、グローバルIT ガバナンスや業務部門におけるIT 投資動向、各産業におけるテクノロジートレンドなどを調査テーマとしている

IT 業界におけるBtoB マーケティングのバックグラウンドを持ち、ユーザー企業のシステム環境、ニーズ調査、グローバルIT ガバナンス、M2M(machine-to-machine) や HPC (high-performance computing)、ビッグデータアナリティクスなどの新テクノロジー活用実態調査などを実施してきた。また、CIO研究会に向けたユーザー企業実態調査、役員クラス・業務部門長クラスへのヒアリング調査プロジェクトなども経験している。