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林エバンジェリストが語る 最新技術動向

林エバンジェリストの顔写真

エバンジェリストの林です。

今回は、4月から電力小売りの自由化も始まって、関心が集まっているエネルギーマネジメントシステムを取り上げてみます。

エネルギーの代表格である電力使用量の削減を実施するために、まずはじめないといけないのは、「エネルギー消費量の見える化」です。いつ、どこでどれくらいの電力が使用されているのかが分かれば、全体として、どうすれば省エネ効果を発揮できるかなどの対策を立てやすくなります。また、蓄電池などと組み合わせれば、「ピークシフト」「ロードレベリング」といった、他の人が電力を多く利用するときに自分は利用せず、逆に、他の人が電力を利用しない時に自分は利用するといった使い方もできる様になります。

今回は、このエネルギーマネジメントシステムに焦点を当て、どこまで利用が進んでいるのか等の最新動向をご紹介します。

第23回 エネルギーマネジメントシステム

エネルギーマネジメントシステム(EMS:Energy Management System(エネルギー管理システム))とは、エネルギーの使用量をリアルタイムに計測し、無駄なエネルギー消費を削減するシステムです。

オフィスビルへの提供になると、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)という呼称になり、住宅ハウス向けには、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)、店舗向けには、SEMS(ストアーエネルギーマネジメントシステム)といった呼称になります。

いずれのケースにおいても、電力会社により設置された電力メータは、使用電力の総量を調べることしかできません。(現在、この電力メータのスマートメータ化が進められており、将来的には、時系列(時間ごと)の電力消費データを取るといったことが可能となります)従って、オフィスや住宅、店舗で利用しているそれぞれの機器単位での電力使用量の見える化を行おうとする場合、機器単位でのセンサが必要になります。しかし、実際には、機器単位でセンサを設置すると、コストと手間がかかりすぎるという問題もあり、一般的には、分電盤にセンサを取り付け、実際の使用電力の見える化は、オフィス南側コンセント、空調などといったブロック単位(分電盤で分配されたブロックごと)で行われます。

このデータを収集すれば、月別、週別、日別、時間別といった単位での電力使用量を確認することができます。EMSの基本は、この「電力使用量の見える化」を進めることになります。

皆さんがご存じのように、電気は、そのままでは溜めておくことができないので、通常は、リチウムイオン電池などの蓄電池を利用します。この蓄電池や太陽光パネルをシステムに加えれば、ピークシフト、ロードレべリングと呼ばれる、電力使用量の平準化を行うことが可能となります。

皆さんが一斉に電気を使用した場合、電力会社はそれに合わせて、大きな電力を作り出す必要があります。そのための、ピーク時に合わせた余剰電力設備(発電所)を準備する必要があるのですが、ピークシフト、ロードレベリングが各ビル、住宅、店舗で実現できれば、余計な発電所の建設が不要となります。つまり、皆さんが電力を使用している時に、自分は、蓄電池や太陽光パネルからの電力を利用して、系統電力*を使用しない、また、皆さんが電力を使用していない夜間などに、系統電力で蓄電池を充電するといった方法で、国全体の系統電力使用量の平準化を行うという仕組みです。

*系統電力:電力会社から供給される電力

 

さらに現在研究が進んでいるのが、デジタルグリッドと呼ばれる仕組みです。各ビル、住宅、店舗に、デジタルグリッドルータという機器を設置し、お互いが必要な電力を融通し合うという考え方です。たとえば、通常の住宅を例にとれば、冷蔵庫、エアコンがともに稼働している状態で、さらに電子レンジを使おうとした場合、3つの機器が同時に動くと電力使用量がオーバーして、ブレーカが落ちるといった状況が起こりえます。この際、デジタルグリッドルータがあれば、電子レンジが起動される前に、冷蔵庫への電力供給を一時的に止めて(冷蔵庫への電力供給が1-2分程度とまっても、庫内温度が急に上昇することはありません)、一時的に大電力の供給源を確保し、これを電子レンジに供給するといったことが可能になるのです。

この様な機器間の融通だけでなく、たとえば、となりのビルや住宅との融通も将来は可能で、既にデジタルグリッドルータを用いた住宅間の電力融通実証実験は成功しています。もちろん、この際の電気料金をどう清算するかといった点も検討を進める必要があります。

このように、電力を融通しあう仕組みを構築するのが本来のEMSの役割であり、「見える化」は、その最初の一歩と言えるでしょう。

最終的には、地域全体で、電力を融通し合える仕組みCEMS(Community Energy Management System)を構築し、地域全体での電力使用量の最適化を行っていくことが、今後の省エネルギー化のポイントとなってくることでしょう。


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