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林エバンジェリストが語る 最新技術動向

林エバンジェリストの顔写真

エバンジェリストの林です。


今回は、最近注目が集まっている人工知能を取り上げてみます。

実は、人工知能の研究の歴史は古く、1950年代後半に始まります。ダートマス会議と呼ばれる会議が開催され、そこで初めて人工知能という言葉が出てきています。その後、何度かブームになりましたが、いずれもすぐそのブームが去りました。そして2010年代にIBM社で開発された「Watson」と呼ばれる人工知能がクイズ番組で優勝するに至り、現在第三次ブームが到来しています。

今回は、この人工知能に焦点を当て、どこまで利用が進んでいるのか等の最新動向をご紹介するとともに、NECでの適用事例をご紹介します。

第22回 人工知能

人工知能(AI:Artificial Intelligence)とは、人工的にコンピュータ上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、或いはそのための一連の基礎技術を指す言葉です。人工知能の研究には、以下の二つの立場が存在します。

①人間の知能そのものをもつ機械を作ろうとする立場(鉄腕アトムを作り出そうという立場)

②人間が知能を使ってすることを機械にさせようとする立場

NECは人工知能の研究を、1980年代から実施しており、上記の②の立場で研究を進めています。

チェスや将棋の試合で人工知能が人間のチャンピオンに勝ったり、今年に入ってGoogle社が作った囲碁のプログラムが欧州にチャンピオンに勝てたといった話題先行で、ブームとなっています。実は、この人工知能の研究の歴史は古く、1950年代後半に始まります。ダートマス会議と呼ばれる研究発表会(ダートマス大学で開催された、1か月間の長期ブレーンストーミング大会)が開催され、そこで初めて人工知能という言葉が出てきています。人間の脳の仕組みをコンピュータで実現できないかという試みから始まり、人工的に知能を作り出そうというアイデアでした。

その後、この研究はいったん下火になったのですが、1980年代に入ってワークステーション(高性能コンピュータ)が出現し、これを利用したエキスパートシステムと呼ばれる専門家の知識が利用できるシステムが開発されたことにより、第二次ブームが到来しました。しかし、実際に利用してみると、利用できる局面がかなり限定的であったり、動作スピードが遅かったりといった問題もあり、このブームもすぐに去ることとなります。

そして、現在の第三次ブームは、2010年代にIBM社が「Watson」という人工知能を開発し、米国のクイズ番組でチャンピオンに勝ったという象徴的なイベントを機会に起こっており、現在に至っています。

最近では、このまま人工知能の研究が進むと、「2045年問題」と呼ばれるシンギュラリティ(これまでの常識を覆すパラダイムシフト)が来ると予測している人もいます。これは、現在のコンピュータの性能が18か月で2倍になるという「ムーアの法則」が、このまま続けば、2045年には、コンピュータの性能が人間の脳を超えるという予測であり、すべての労働が、人工知能を搭載したロボットで置き換えることができる様になるというものです。

現在の第三次ブームが起こっている要因は、「Watson」の影響もありますが、コンピュータの性能向上、機械学習(ディープラーニング)の開発、ビッグデータによるデータの収集が容易にできる様になったといった3つの要因が組み合わさって、様々な用途での利用に目処が立ち、ブームになっていると言えるでしょう。

機械学習とは、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術・手法です。たとえば、動物の写真を入力として与え、その動物の名前を出力として得る場合、今までのアプローチでは、人間がその動物の特徴がどこにあるのかを逐一コンピュータに教える必要がありました。しかし、機械学習を利用すれば、出力結果の正解不正解を教えるだけで、コンピュータ内部で自動的に、その写真のどこに特徴があるのかという、いわゆる「概念」を作り上げることが可能となります。

この機械学習の内部では、ディープラーニングという技術が利用されています。もともとパーセプトロンという手法が開発されたのですが、この手法では、入力層と出力層のみで、非常に単純なものにしか適用できませんでした。その後、ニューラルネットワークと呼ばれる、入力層と出力層の間に隠れ層と呼ばれる層を設けることにより、大きな進化がありました。さらに、この隠れ層を複数段もつディープラーニングという手法が確立されています。隠れ層の段数が多くなればなるほど、精度は高まるのですが、計算処理が膨大になるので、高い計算能力が必要になります。そういう意味で、現在の人工知能=高性能コンピュータと言えるのかもしれません。

既に、世の中には、人工知能を利用したシステムが多数開発されており、皆さんも人工知能の存在を気づかないうちに利用しているかもしれません。代表例を挙げれば、Apple社のSiriやGoogle社の画像検索、Microsoft社のSkype Translator(自動翻訳)、Facebook社のリコメンドエンジンなどがあげられます。

NECでは、この人工知能を利用して、見える化領域(顔認証に代表される画像認識など)、分析領域(SIATなどのビッグデータ分析エンジン)、制御誘導領域(都市インフラの自動制御など)の3つの領域への人工知能の適用を進めています。

今後、この人工知能の技術をさらに多くのシステムに適用させることにより、人類への大きな貢献が期待できます。人工知能の普及により仕事がなくなる、人間が監視、支配されるといった暗い未来を想像するのではなく、人工知能が得意なことは人工知能に任せ、人間は、人間が得意な領域に専念できる明るい未来を描けるようになることに期待しましょう。


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