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林エバンジェリストが語る 最新技術動向

林エバンジェリストの顔写真

エバンジェリストの林です。

今回は、拡張現実とバーチャルリアリティを取り上げてみます。

拡張現実は、人間が目で見ている情報に、コンピュータが作り出した映像を重ね合わせて表示する技術で、近年では、様々な分野での利用が進んでいます。特に、マーケティングの分野では、スマートフォンやウェアラブルPCといった装置で利用できるシステムとして提供されてきています。

一方で、すべての映像をコンピュータが作り出し、自分が映像の中に入り込んだような形になるのがバーチャルリアリティ(仮想現実)です。こちらは、ゲームでの利用など、エンタテーメント系での利用が中心でしたが、最近では、新人の教育やデザインの分野での利用が進んでいます。

コンピュータの性能が上がったことによって実現できるようになってきた拡張現実とバーチャルリアリティの現状を紹介します。

第11回 拡張現実とバーチャルリアリティ

拡張現実(AR:Augmented Reality)は、人間が目で見ている映像情報に、コンピュータが作り出した映像や文字情報を重ね合わせて表示する技術です。たとえば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれる眼鏡型のディスプレイをかけることにより、肉眼で見ている街の風景に、「ここに、おいしいラーメン屋がある」「このビルのフロアに空き物件があり、家賃はいくら」といった詳細情報が表示されたり、ナビゲーション情報が表示されて、目的地まで案内してくれたり、観光情報として名所旧跡の案内が表示されたりといったようなことが実現できるようになります。

拡張現実を実現するためには、以下の3つのポイントが重要となります。

①幾何的整合性

現実世界と仮想世界の座標系を、如何に正確に合わせるかという点で、位置情報型、マーカ型、マーカレス型と呼ばれる方式が存在します。

位置情報方式:GPSや地磁気センサ、加速度センサにより、端末の位置情報に関連したデジタル情報を表示

マーカ型:視野内に存在する自然物のうち特徴的な物をマーカとしてコンピュータに読みとらせる自然特徴追跡方法

マーカレス型

屋内環境:設置型のセンサを利用する方法

屋外環境:地磁気やジャイロセンサによる位置変化の計測法

②時間的整合性

観察者の視点移動に追従して、如何に遅延なく幾何学的整合性を維持するかという点で、この点でも高性能のコンピュータが必要です。

③光学的整合性

現実世界と仮想世界の色調や陰影を、如何に正確に合わせるかという点で、コンピュータが作り出した映像をよりリアルに表現するために必要な技術です。

近年、拡張現実は、急速に利用が広まってきています。その理由の一つに、誰でも簡単に利用できるようになってきたという点が挙げられます。ARToolKitと呼ばれるライブラリが奈良先端大学院大学により開発され、フリーソフトとしてだれでも利用できるようなりました。また、英国オックスフォード大学では、PTAM(Parallel Tracking and Mapping for Small AR Workspaces)と呼ばれるライブラリも提供されるようになりました。これらのライブラリを利用すれば、簡単なソフトウエアを容易に作り上げることが可能になったのです。

この技術を応用すれば、室内の家具や住宅設備の配置をシミュレーションしたり、壁紙や床材といったインテリアを決める際に威力を発揮できます。最近では、イベントの集客手段として、アニメのキャラクタなどを特定の場所でスマートフォンをかざす操作により表示させるといった手法が多く取られるようになってきており、今後もますます盛んに利用されるようになることでしょう。

拡張現実は、人間が目で見ている映像に情報を付加する形で実現されますが、すべての映像をコンピュータが作り出し、自分が映像の中に入り込んだような形になるのがバーチャルリアリティ(仮想現実)です。拡張現実と仮想現実の関係を表すと以下のようになります。

横軸(複合現実とも呼ばれる)の左に行くほど、現実の実空間に近づき、右に行くほど仮想空間に近づく形になります。拡張現実は、その中間あたりに位置し、仮想現実は右側に位置します。

仮想現実を利用する場合に必要になるのは、ゴーグルタイプのヘッドマウントディスプレイ(没入タイプとも呼ばれます)です。外部からの肉眼で見える映像の入力はなく、すべてコンピュータが作り出した映像を表示するという形式です。当然、頭を左右に傾けたり、首を回したりすることにより、内部で表示されている映像にも、その姿勢が反映される必要があります。このため、位置情報やセンサによるリアルタイムな姿勢検知が必要となります。

具体的なバーチャルリアリティを実現する製品では、Oculus VRの「Oculus Rift」や、ソニーの「Project Morpheus」、マイクロソフトの「HoloLens」などのゴーグルタイプのシステムの開発が進んでいます。

バーチャルリアリティは、従来はゲームでの利用など、エンタテーメント系での利用が中心でしたが、最近では、新人の教育やデザインの分野での利用が進んでいます。たとえば、危険な現場で作業する場合、いきなり新人を現場に連れて行くことをせず、まずバーチャルリアリティを利用したテスト環境の中で作業に慣れてもらい、そのうえで、現場に連れて行くといった教育目的の使い方が考えられています。それ以外でも、以下のような利用シーンが想定されています。「超臨場感コミュニケーション」と呼ばれる、遠隔地にいる二人があたかも直接、面と向かって話をしているような環境を創り出したり、美術館やスポーツイベントでの新しい観戦方法を提供したりといった使い方が可能となるでしょう。

コンピュータの能力や、技術が進化することにより、今後、拡張現実とバーチャルリアリティの分野は急激に進化することが予想されます。今後の技術進化に注目しましょう。


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