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林エバンジェリストが語る 最新技術動向

林エバンジェリストの顔写真

NECでエバンジェリストとして活動している林です。今月より、様々な最新技術を連載でご紹介させていただきます。
エバンジェリストは伝道師のことで、最新ICT動向をわかりやすくご紹介することを心掛け、普段よりICTの布教活動をさせていただいております。よろしくお願いいたします。

第1回 3Dプリンタ

今回は、近年、急激に注目を集め始めた3Dプリンタ(三次元プリンタ)の動向をご紹介いたします。

3Dプリンタは、原材料(たとえば樹脂:プラスチック)をヘッドで熱をかけて溶かして、一層ごと積み重ねることにより任意の形状を作り上げることができるプリンタです。

このような方式以外にも、様々な方式が考え出されています。

MakerBot Replicatorの写真<MakerBot Replicator>

主な3Dプリンタの仕組みの図<主な3Dプリンタの仕組み>

3Dプリンタの主な方式

1.熱溶解積層法

最近の主流となっている方式で、原材料である樹脂を溶かして、層を一層ずつ積み上げていく。作り上げる形状によっては、倒れないように支持材が必要となる。

プラスチックの種類
ABS樹脂:耐久性があり、石油由来の原料から作られる。
PLA樹脂:微生物によって分解可能で、植物由来の原料から作られる。

2.光造形法

樹脂の加工にレーザを使用し、1層ずつ硬化させ、プロトタイプを作成するのに使われる。

特殊な光造形法では、パーツを支える支持材を使用せず、パーツを早く成形することができる。(基本的な光造形法では、支持材が必要)

3.粉末焼結積層造形法

レーザを使って金属粉末を焼結して、立体的な構造を作る手法。各層が焼結されるごとに、構造が下にさがり、次の層がその上に作られる。

3Dプリンタを利用すれば、複雑な形状の物体も自由に作り出すことができます。最近では、3Dプリンタで出力したいデータをインターネット経由でアップロードし、完成した物体を宅配便で届けてくれる3Dプリントアウトサービスの提供も始まっています。ここ数年で急速に普及し始めた理由の一つは、価格が安くなってきたためです。個人向けには10万円を切る製品も発売されています。3Dプリンタの基本特許の有効期限が切れたため、ライセンス料なしでの販売ができるようになったのも原因の一つと言われています。

現在、経済産業省が中心となり、国産の3Dプリンタ技術を育成する目的の国家プロジェクト(平成26年度「三次元造形技術を核としたものづくり革命プログラム(次世代型産業用3Dプリンタ技術開発及び超精密三次元造形システム技術開発)」)が開始されたり、学校への普及を狙い、導入学校に対して補助金を出す(平成25年度地域オープンイノベーション促進事業のうち3Dプリンタ拠点整備によるオープンプラットフォーム構築支援事業)ような社会全体での取り組みも始まっています。

建築、土木の世界では、古くから3Dプリンタは利用されていました。従来手作りであった建築模型を3Dプリンタで作り出すといった利用方法が一般的でした。最近では、フィギュア(人形)を作り出したり、スマートフォンのカバーを作り出したりといった用途でも利用されてきています。エレクトロニクスの世界では、将来、保守パーツを全て3Dプリンタで作り出すことにより、保守パーツの在庫を持つ必要がなくなったり、保守パーツのための倉庫も不要になるとういことで、保守の世界で革命が起こるといわれています。また、物作りにおいては、金型を3Dプリンタで作る動きも出始めています。

一方で、3Dプリンタを利用して銃器を製造し、逮捕者が出たりといった、この技術を悪用するケースも出始めているのが現状です。

3Dプリンタが、さらに普及するためのポイントは、以下のようになります。

  1. 3Dデータがもっと普及すること
  2. キラーコンテンツが出現し、普及すること
  3. 材料費(ランニングコスト)が“ある程度”下がること
  4. 国産3Dプリンタがもっと登場すること
  5. 造形物のレベルが従来技術による最終製品に匹敵すること

これらのポイントがクリアされれば、3Dプリンタを当たり前のように利用する時代が来ると思われます。今後、益々、3Dプリンタが利用されるシーンが増えてくることにより、3Dプリンタは将来の有望な技術となるでしょう。


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