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特集記事

(製造現場の検査工程にAIがハマるこれだけの理由|出典:TechFactory)

製造現場のAI活用:
製造現場の検査工程にAIがハマるこれだけの理由

インダストリー4.0など、スマートファクトリー化への動きが盛り上がりを見せる中、自動化や自律化の動きに取り残されそうになっているのが「検査工程」である。人手不足が指摘される中で今後はさらに工程の維持が難しくなる。その救世主として期待されるのがAI(人工知能)技術である。

ドイツのインダストリー4.0など、スマートファクトリー化を進める動きが日本でも本格化している。マスカスタマイゼーションの実現に向け、さまざまな工程の自動化や自律化が進んでいるが、その流れに取り残されそうになっているのが「検査工程」である。
検査工程は以前から「完全自動化」が難しいとされてきた領域だ。大量生産品でなければ専用の機材などを導入する費用対効果が合わず、結果として人手を中心とした検査が数多く残されている状況である。従来は技術的に難しく「仕方ない」と見過ごされてきたが、ここ最近ようやく状況が変わりつつある。AI(人工知能)関連技術が大幅に進化しているからである。

「人」の強みとその限界

そもそも、なぜ「検査工程」は自動化しにくく「人手」が中心となってきたのだろうか。
従来、外観検査の自動化などを行う場合、専用の検査装置を通したり、ライン内にマシンビジョンを導入して判定を行ったりする形が取られている。しかし、この方法は機材などへの投資が大掛かりになる他、製品や品目ごとに発生する不良に対し詳細なパラメータ設定が必要となる。現場にも膨大な手間が発生する上、専門家の知識やノウハウが必須となる。そのため、仮にマシンビジョンが導入できたとしても、適用範囲が限定されてしまっているのが現状だ。
一方で、「神の手」や「神の目」を持つ熟練技術者は、センサーとしての役割だけを考えても優れた存在だといえる。さらに、機械と比較してハードウェアとしてもソフトウェアとしても非常に柔軟で融通が利くということが特徴である。人の感覚で判断する「官能検査」においては、製品が変化したり、複数品目が混在したりしても、身に付けた「勘所」を応用して柔軟に判断することができる。その意味では、人は優秀で効率性も備えた検査装置であるのだ。
しかし、検査員の能力やノウハウが精度を左右するため、精度を高めるにはまず人材教育が重要となる。能力はもちろん、疲労度合いなどによるバラツキも生じる。また、ヌケやモレが発生するリスクも当然ゼロではない。「個人の経験」に依存するとデータが残らないため、トレーサビリティーの確保も課題として抱えている。海外の取引先からは、検査を含めた工程の状況を、人手によらないIoTを活用したデータとして記録・提供することを、取引条件として求められるような動きもあるようだ。
さらに、国内の製造現場では労働人口減少による人手不足や技術承継の問題が避けられない。現状のまま人手を確保できるのであれば問題ないが、将来を見通した場合、十分な技能を保有した検査員を確保するのが難しくなるのは明白な状況である。こうした中では、人手だけに頼らず、人の負担を軽減し、より効率的に検査を行う新たなプロセスが必要な段階に来ている。

聞き手:MONOist 編集長三島一孝

これらを解決し、導入の負担を一気に軽減する技術として注目を集めているのがAIの活用である。それでは、具体的に検査工程でどのような活用が行えるのだろうか。製造現場のAI活用で先進的な実績を積み重ねるNECの第一製造業ソリューション事業部ものづくりIoTインテグレーション部マネージャー神保典和氏に、MONOist編集長の三島一孝が聞いた。

ディープラーニングソフトウェアを活用した検査の実現

  • 三島

    製造現場の検査工程でのAI活用というのは実際に実現可能なのですか。

  • 神保氏

    NECでは多様なAI関連技術を展開していますが、2017年6月にAIを活用した外観検査ソリューション「AI Visual Inspection」を発売しました。発売前からパイロット版での提案を進めてきましたが、自動車関連企業をはじめ30社以上の顧客で既に検討が進んでいます。また、自動車系以外にも、建材メーカーや、食品の包装・異物混入、キッチン用品など、さまざまな相談も寄せられるようになっています。

  • 三島

    「AI Visual Inspection」の特徴というのはどういう点でしょうか。

  • 神保氏

    「AI Visual Inspection」は、NECが保有する「NEC Advanced Analytics -RAPID機械学習」という製品を利用し、現場の負担を最小限に抑えて導入できる点が特徴です。
    「AI Visual Inspection」では、機械学習技術の1つであるディープラーニングを活用しています。ディープラーニングは、お手本となるデータから自動的に特徴量を抽出して学習する技術です。この技術により、人間が欠点を抽出して良品・不良品の最終判断をしなくても正しい回答を導き出すモデルを構築できるのです。従来は生産技術部門などの専門家がパラメータ設定に多くの時間と労力を費やしていましたが、このモデルを使うことによって、製造現場が最小限の工数で対応できる利点があります。また「キズ」「汚れ」「腐食」などの多種多量な不良点の違いについても学習できるため、個体差のある製品への適用も可能となります。さらには、画像データが蓄積できるため、トレーサビリティーの確保にもつなげることができます。

NEC 第一製造業ソリューション事業部
ものづくりIoTインテグレーション部
マネージャー
神保典和氏

また「AI Visual Inspection」は、学習効率、検知精度を高めるために、画像を小さな領域に分割して、分割された領域ごとに学習、良否の判定を行う「スライディングウィンドウ」と呼ぶ手法を採用しています。大きな画像のある一部分の不良をAIに学習させるには、さまざまな不良パターンのデータが必要になりますが、不良点のある小さな領域にフォーカスした画像をAIに学習させれば、データが少なく済むだけでなく、より正しい判定ができるようになるというわけです。
さらに、この検査手法により不良として判定された部分をハイライトで表示できるため、どの部位が不良として判定されたのかが一目で分かり、不良の種類ごとに色分けで表示できるのも特徴の1つです。

検査工程におけるディープラーニングのもたらす効果●検査工程の自働化で人手不足を解消

  • 三島

    製造現場で「AI Visual Inspection」は具体的にどのような効果をもたらしていますか。また、どのような点が評価されているのでしょうか。

  • 神保氏

    特に製造現場において評価を受けているのに3つのポイントがあります。
    1つは、検査工程の自働化です。例えば、これまで全て人手で行ってきた検査工程のうち、1次検査を「AI Visual Inspection」を活用して行い、NG判定されたものだけを人が検査するという工程を組みます。こうすることで検査員の工数を大幅に削減でき、人手不足の課題解決に大きく寄与します。検査工程を外注しているならば、外注費の削減なども可能となります。
    2つ目は、官能作業を平準化、標準化できることです。官能検査は、検査員の能力や経験、体調などに依存しますが、「AI Visual Inspection」で機械化することで、労働疲労による判断ミスを防ぐことができ、作業品質を均一化できます。トレーサビリティー確保に加えて、技術の継承という観点から、匠の技術のデジタル化という点でも期待できます。
    3つ目は、運用を省力化、簡素化できることです。「AI Visual Inspection」は詳細なパラメータ設定をすることなくデータから特徴量を自動的に抽出してくれるため、専門エンジニアを呼ばなくても現場の中だけで運用可能となります。
    これらは、製造業の検査工程における共通のニーズです。新たな不良パターンがあれば、システムにフィードバックでき、運用しながら精度を高めることもできます。これまで人間が気付かなかった不良も検出してくれるかもしれません。実際、顧客との実証実験で、ロゴマークに紛れて判別できなかったキズを「AI Visual Inspection」で発見することできた例もあります。

AI技術を活用した製品検査工程の自働化

必要なデータは画像200枚ずつ

  • 三島

    AIの活用といえば、学習などが現場の負担となるケースも多いと思いますが、その点についてはいかがですか。

  • 神保氏

    実運用までのステップもシンプルです。最初のステップはモデルの作成となります。モデル作成には、良品と不良品の画像データがそれぞれ200枚程度あれば実現可能です。まず、予測モデルの作成と評価を行い、見逃しや過検知など精度目標を設定し、実用化イメージを検討します。次に、設定した目標に向けて、予測モデルの見直しや学習画像データを追加し、モデル精度を向上させます。そして、3つ目のステップとして、業務適用に向けた実地検証を行います。実地において、最終的なチューニングを行い、設備や他システムとの連携機能、性能検証などを実施します。そして、ラインに組み込んで本番稼働となるのです。
    稼働後は、品目の展開や新製品、あるいは新たな不良パターンの追加など、運用ルールを決めて、モデルを更新していききます。「AI Visual Inspection」には、専門知識を持たずとも現場で運用できるようにGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)が実装されており、教育プログラムも用意されているので、社内のリソースで運用可能です。
    AIの活用には事前に大量のデータの蓄積が必要な場合も多いですが、「AI Visual Inspection」は、画像データだけを用意できればよく、最短半年程度で本番稼働でき、そのスピード感も魅力だといえます。人が見て判断できる画像ならば学習データとして使用できるので、ミクロン単位の部品や、写真だけでなくX線の撮影データなどでも検査の自働化が行えます。
    これまで予算やノウハウなどの制限で検査自動化に着手できなかったユーザーはもちろんのこと、画像を使った自動検査に取り組んできユーザーからも、項目の追加やさらなる検査品質の向上を目的に、問い合わせをいただく機会が増えています。まずは2018年度までに50社程度の導入を目標としています。他のソリューションへの広がりも含め、海外にも展開する計画です。

ものづくりの全工程にトレーサビリティーを

検査の自動化にはカメラや照明などの関連機器や、周辺システムとの連携など、業務領域のノウハウも必要となる。NECでは2012年から「ものづくり共創プログラム」を推進してきた強みがある。「ものづくり共創プログラム」はNECが行ってきた生産革新やサプライチェーン改革のノウハウを、「ものづくり・業務プロセス」とそれを支える「ITシステムおよびアセット」という2つの視点から提供するものだ。2015年からは、これを土台にIoTを活用した製造業支援ソリューションとして「NEC Industrial IoT」を展開してきた。
グローバルでの製造業の流れとしてトレーサビリティーの強化が求められるが、将来的には製造現場においては全工程での検査と記録が必須になる見込みだ。そういう流れの中で、それぞれの検査工程の負担を軽減し、またこれらの検査工程を他の工程と連携させていくことが重要である。
豊富なAI技術を保有する一方で、自ら製造業として試行錯誤した経験を持ち、さまざまなものづくりソリューションを展開してきたNECには、製造現場の問題解決を実現する総合力がある。検査単体だけでなく、トレーサビリティーや製造管理など、その他のソリューションも含めた、トータルインテグレーションが可能である。NECではさらに「NEC Industrial IoT」のポートフォリオを拡充していく方針を示しており、今後、検査工程の効率化を皮切りに、さらに製造工程全体の展開を進める場合でも頼れるパートナーとなるはずである。

拡大するNECのものづくり共創プログラムのソリューション体系

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(2017年~掲載)

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