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NECものづくりコラム 匠の系譜 <第8回>

NECものづくりコラム 匠の系譜 <第8回>

携帯電話の開発競争により、磨かれた革新を生む“ものづくり力”

「匠の系譜」第8回は、移動通信関連機器の開発・設計・製造・保守を手掛けるNEC埼玉です。携帯電話、スマートフォン等の開発・製造で培った高密度実装・高効率生産技術を誇るNEC埼玉の“ものづくり力”について取締役 生産統括部長の水崎 学と製造部長兼事業推進専任部長の栗原 孝佳に話を聞きました。

熾烈な開発競争の最前線で磨かれた“ものづくり力”

国内市場で独自の進化を遂げた携帯電話は「ガラケー」と呼ばれたが、その実態は日本の“ものづくり力”が詰まった高機能通信機器であり、製品の完成度は極めて高いレベルにあった。新製品開発の現場は、設計開発も生産技術も品質管理も、立ちはだかる壁との戦いであり、この経験が“ものづくり力”をレベルアップさせたことは間違いない。NEC埼玉は、その最前線でNEC製携帯電話の企画開発から設計、製造、保守まで一貫して担当しており、刻まれた歴史は携帯電話の進化とともにあった。

「全盛期の頃は、半年に一度数機種を出さなければならなかったので、すべての工程で徹底した効率化が求められました。試作を1回、もしくは2回で仕留めなければならないので、設計の前段階からすべての部門が集まって、製造容易性やコストダウンなどを検討するフロントローディングで開発を進めました。さらに、シミュレーションを駆使したり、治具を自作したり、新たなアイデアや技術を積極的に取り入れました。今、話題の3Dプリンタも早期に導入し、開発に役立てていました。」と栗原は当時を振り返る。

フレキシブル基板の完成なくしてN携帯は完成しなかった

1991年に発売された「ムーバN」は、折りたたみ式デザインが話題を呼び、携帯電話のエポックメーキング的モデルとなった。このモデル誕生の背景には、NEC埼玉の技術者たちによる苦闘の日々があった。

「最も苦労したのは、折りたたみ携帯の上下、液晶部分とキーボタン部分をつなぐ回路でした。折り曲げられるフレキ(フレキシブル基板)がなければ実現できない設計なのですが、このフレキの折り曲げに対する耐久性が大きな課題となりました。手探りでフレキのサンプルをたくさんつくり、いろいろ曲げて試してみましたが、どれもすぐ折れてしまいました。厚さを変え、長さを変え、折り方を変え、いろいろ試しても1000回くらい開閉試験をすると導線が切れてしまいます。
ようやく辿りついたのが、ヒンジの中でフレキを回転させ折り返す方法でした。ただ、この方法では折れ目は付かないものの、筒の直径次第で伸縮量が変わるため、そこをしっかり計算しておかないと筐体の壁に当たって擦り切れてしまうのです。また、ヒンジ部分だけではなく携帯電話の中は、カメラやスイッチ、キーなども全部フレキでつなげなければいけないので、これもシミュレーションして、Rいくつで曲げるとか、Z型に折り曲げるとか、いろいろな工夫を凝らしました。常に不具合とのいたちごっこで、フレキを使いこなせるまでに十数年もかかりました」と水崎は当時の苦労を振り返る。

「組み立て作業も最初は大変でした。基板をまわしてひねって筐体に入れるとか、作業効率が非常に悪かったのです。でも、そういう状態に陥ると作業者から、こうした方がいいとか、こんな方法はどうだろうとか、いろいろアイデアが出てくるのです。こうして、みんなの意見を吸い上げて工夫を重ね、ようやく効率的なラインをつくれました。全員一丸となった“ものづくり”は、当時から社内に定着していましたね」と栗原は話す。

写真

変形や折り曲げが可能なフレキシブル基板

3Dプリンタの活用でリードタイムを飛躍的に短縮

3Dプリンタの活用は、NEC埼玉の“ものづくり”の特徴といえる。2001年の導入当初は、主にフォルムやデザインを確認するモックアップ作成に使われていた。当時、このモックアップの作成にも試作金型や切削が必要で、その製作に1ヵ月以上を費やしていたが、3Dプリンタを導入した結果、図面データさえあれば一晩でモックアップを完成させることができ、リードタイムの飛躍的な短縮につながった。

NEC埼玉では、デザイン確認だけではなく、生産治具の作成にも3Dプリンタを活用している。

「生産現場で問題が起きた場合、たいてい『治具をつくって作業を改善しよう』という対応になるのですが、治具は簡単にはつくれません。でも、現場から『1週間も待てない。明日ほしい』といわれるわけです。さて、どうしようかと悩んでいるときに、3Dプリンタを使うアイデアが出てきました。製品データはあるわけですから、それを反転すれば正確な寸法の治具ができるのではないかと。実際につくってみると、とにかく早くできるし、用途によってはかなり使えることがわかりました」と水崎は話す。

ほかにも、試作前にパーツをすべて3Dプリンタで出力し、組み立て性を確認。その結果を設計にフィードバックするなど、NEC埼玉ではさまざまな用途で3Dプリンタを活用している。

写真:左に数個のパーツ、右は組み立て後の様子

3Dプリンタで出力したパーツで試作前に設計、組み立て性、操作性などを検証

「3Dプリンタを導入したからといって、必ずしも効果が出るわけではないと思います。確かに、当社では大きな効果が出ましたが、それは早くからシミュレーションや生産革新に取り組むなどの素地があったから、3Dプリンタを『使いこなす』ことができたのだと思います。おそらく造形するためだけに3Dプリンタを導入しても、大きな効果は期待できないかもしれません」と栗原は指摘する。

図:幅広いシチュエーションで活用可能。企画/デザイン:フォルム&デザイン確認、設計/レビュー:設計検証、組立性検証への活用により製造容易性FBで低価格を実現、試作/評価:評価用致治具、作業補助的な治具への活用により短納期/低価格を実現、量産:組立用治具

企画/デザインから量産フェーズまで、NEC埼玉で幅広く活用されている3Dプリンタ

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