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  6. 第7回 “グリーンベルト方式”と“One Cycle かんばん”でグローバルな生産革新を実現
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NECものづくりコラム 匠の系譜 <第7回>

NECものづくりコラム 匠の系譜 <第7回>

独自の「One Cycle かんばん」で現場業務を統一

「製品計画に基づくMRPの伝票と、後補充方式のかんばんが混在していることが業務を煩雑化するひとつの要因だと考えました。その課題を解決するため、MRPの結果と後補充のかんばんを1枚の帳票に印刷し、指示をわかりやすくしたのが『One Cycle かんばん』です。

従来のかんばんと異なり、新規のかんばんはベンダーごと、アイテムごとに発行され、振出判断(枚数増減)は常にコンピュータで管理します。1枚の帳票ですべて指示できるので、現場は計画品で指示されたものも、かんばんが外れたものも一緒に扱えるようになりました。また、帳票に印刷されたシリアルを読み取れば、受け入れ、検査、ストアの状況からかんばんの流通枚数まで、すべて正確に把握できます。帳票はOne Cycleで破棄され、常に新規印刷されるので、看板が混在して現場が混乱することもありません。これをかんばんと呼んでいいのか、という議論はありますが、あえて『One Cycle かんばん』と呼んでいます」と加登は説明する。

「One Cycleかんばん」が機能しはじめたこの1、2年間、同社では受け入れミスが1件も発生していないという。

「『One Cycleかんばん』はITソリューションですが、システムを入れただけで実現できるほど簡単ではありません。何より大切なのは、システムよりも現場の改善です。我々がこれに取り組んだときも、まず現場を徹底的に分析し、すべての業務フローを書き出し、どこに課題があるのか、“見える化”することからはじめました。

そうして浮かび上がった課題を全員で共有し、現場改善の必要性について何度も議論を重ねました。特に、かんばんと計画を一緒にする手法については、社内でも意見が分かれましたし、外部のベンダーさんとの認識合わせやプロセス変更は大変で、仕様策定だけでも膨大な時間を費やしました。そうした課題をひとつずつクリアして『One Cycle かんばん』を実現するまでに、足かけ6年かかりました」と加登は当時の苦労を振り返る。

従来の"部品調達""製品生産"指示方式から、OneCycleかんばんによる支持方式への概要図

図:独自の生産方式「One Cycle かんばん」とは

原価と品質を工程で造り込む

同社は、生産革新のキーワードとして「原価と品質を工程で造り込む」という考え方を掲げている。その意図と狙いを加登は以下のように話す。

「技術には設計標準があり、工場にはラインをつくる標準があります。標準に則って作業を行えば、誰が作業しても一定の品質を保証することができます。だとすれば、品質を向上させるには、標準のレベルを上げればいいということになります。では、どうやって標準のレベルを上げるのか。それは、優れた技能者やスペシャリストが持つ改善のアイデアや工夫を初級者や中級者でも使える汎用的なものに変えればいいのです。その代表例が、当社の生産現場でいう『ながら設備』です。

ながら設備とは、ラインの担当者が自分の作業をしながら、同時に別の作業を自動で行うための独自設備です。例えば、ゴミをエアーで片づけたり、ネジを自動で締めたり、ラベルを自動で剥がしたり、現場には何百ものながら設備があります。ながら設備は、優れた技能者やスペシャリストのノウハウを標準化してつくられたもので、これを使えば誰もが作業品質を向上させられます。つまり、工程の品質を高めるには、優れたながら設備をどんどん増やせばいいのです。そこで、当社では中期計画で、予算を確保し、具体的な目標を定め、常に新しいながら設備の開発に取り組んでいます。ながら設備のレベルを高めることで『工程で原価と品質を造り込む』を実践しているのです」

内製化を推進し、コスト削減と技術の蓄積を実現

同社のもうひとつの特徴は、プラスチック成型品などを内製化していることだ。

「外部のベンダーさんにプラスチック成型品を頼むと大ロットでしか受けてくれないことが多いです。1日100個しか生産しないのに1000個も仕入れたのでは、棚卸しや在庫スペースも問題です。そのような意図もあり、当社では30年前からプラスチック成型品を内製をしてきました。内製すれば、必要な時に必要な量を調達できますし、いろいろな評価や実験も社内で行えます。

たとえば、成型時に出るランナーをバージン材と混ぜて再生材にした場合の性能を評価したり、NECグループと連携してバイオプラスチックの実験を行うなど、さまざまな取り組みを行えます。また、これを通じて社内に技術やノウハウが蓄積されることもメリットといえます。

当社では、プラスチック成型品以外にも内製化している部品がありますが、これは先ほどお話ししたながら設備と密接な関係があります。たとえば、ゴム足などはゴム板を買ってきて打ち抜けばいいのですが、これを手作業で一個ずつ加工していたのではコストがかかりすぎ、加工済みの部品を買った方が安いということになります。そこで力を発揮するのがながら設備です。ながら設備で自動加工できる装置をつくれば、人手がかかるのは投入と取り出しだけですから、外部調達するより安価に製作できます。内製化は、ながら設備をつくれる人材がいるからこそできるコスト削減策なのです」と加登は内製化の狙いと効果を説明する。

ブレないマネジメントで“ものづくり”に磨きをかける

最後に、これからの日本に求められる“ものづくり”の在り方について加登の意見を聞いた。

「昨今、世の中のマネジメントは、朝令暮改とまではいいませんが、すぐに方向転換したがる傾向があると感じています。もちろん、営業や技術のように、時代の変化を迅速に捉えなければならない仕事があることはわかりますが、生産現場でこれをやってはいけないと思っています。“ものづくり”の現場では、もっと大きな方向性と目標を示すマネジメントが必要です。今日は東に歩け、明日は西に歩け、では、現場の人間は立ち止まってしまいます。時代は変わっても、“ものづくり”の基本は変わりません。生産現場のマネジメントはブレることなく大きな方向性を示し、現場は愚直に目標へ向かって進む姿勢が大切だと思います」と加登は、製造業のマネジメントの在り方について語る。

半世紀に渡り“ものづくり”の最前線を歩み続けてきたNECインフロンティアは、次なる半世紀もブレることなく、愚直に目的へ向かって技術を磨き続けていく。

(2014年5月掲載)

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