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NECものづくりコラム 匠の系譜 <第4回>

~ NECネットワークプロダクツの経営革新活動 前編 ~

NECものづくりコラム 匠の系譜 <第4回>

フロントローディングを旗印に全社一丸で取り組んだ経営革新活動

「匠の系譜」第4回は、通信関連機器を製造しているNECネットワークプロダクツです。開発・設計の上流段階からリソースを投入して、最初からありたいQCDで生産を実現するフロントローディングを活用した経営革新の取り組みについて、執行役員の佐藤秀哉と経営革新推進室長の国原英二に聞きました。

フロントローディングが改革の旗印のひとつだった

ものづくりで使われる「フロントローディング」という言葉をご存知だろうか。これは一般には製品製造やシステム開発のプロセスにおいて初期工程(フロント)に重点を置き、集中的に労力・資源を投入し、後工程で発生が予想される仕様変更などの負荷を前倒しして品質向上やリードタイム短縮を図る開発手法である。

しかし、この言葉はNECネットワークプロダクツにとって、単なる開発手法にとどまらない意味を持つ。そこには、開発から生産まで「一貫した流れ」の中で、「全員参加」で、品質向上・コスト低減・リードタイム短縮を実現し、世界で戦うための製品を市場に投じていく「よりプロアクティブな広義の生産活動」を意味する。即ち、単なる無機的な効率的プロセスを指すものではなく、社員の心をひとつにするための絆、ものづくりのプロフェッショナルとしての仕事の取り組みなど、従来の製品開発や生産の枠を超えた「強い思い」が込められている。

経営革新推進室長である国原は「我々にとってフロントローディングは、なくてはならない旗印のひとつでした」と話す。なぜ、そのような一手法が全社の旗印になったのか。その理由は、NECネットワークプロダクツの生い立ちに深く関係している。

3社統合で社名はひとつになったが・・・

2011年4月、福島に工場を持つNECワイヤレスネットワークスと一関のNEC東北、那須塩原のNECアンテンの3社が統合し、NECネットワークプロダクツが誕生した。通信関連機器を製造していた3社のリソースを統合し、グローバル競争に打ち勝つ生産体制構築を目指す戦略的統合だった。統合後は、それぞれ本社工場、一関工場、那須塩原工場と名前を変更し、同じ社名の下で相互連携しながらものづくりに取り組んだ。

「統合で社名はひとつになりましたが、正直、当初は心がひとつになっていなかったように感じます。生産プロセスも各社違っていましたし、特にNECアンテンはNECグループから離れた時期もあり、文化的な相違もありました。そのため統合後の1年間は、会社がひとつの組織になるための土台づくりの期間でした」と佐藤は当時を振り返る。

社員全員の思いをひとつにするためには、わかりやすいビジョンやスローガンが必要だった。そこで「“愛される ものづくり会社”になろう。~みんなが、共に学び、助け合おう~」という全社ビジョンを掲げ、経営革新を推進するための活動を「フロントローディング」「生産革新」「環境経営」の三本柱とし、さらに「全社を流れ化」する活動で3本柱に横串を通した。そしてこれらを支える土台として「人財育成」を位置づけた。「実は他にも書きたいことは沢山あったのですが、まずは活動のベクトルを1つにする旗印が欲しかったし、何より皆が活動を探求しながら、成果の共有・共感をはやめて、これから始まる全ての活動につながるエネルギーが欲しかったのです」と国原は振り返る。

全社ビジョンを掲げ、活動体系を“見える化”したことで、ようやく全社員が同じ方向に向かって歩みはじめた。

体系図:人財育成を土台に、フロントローディング、生産革新、環境経営の3本柱があり、上には経営革新の屋根が乗っている。文章では次のように書いてある。愛される ものづくり会社になろう 〜みんなが、共に学び、助け合おう〜 ・お客様に信頼される会社、・サプライヤ様に信頼される会社、・会社の中で、お互いに信頼しあえる会社

経営革新活動 体系図

全員参加のものづくりを目指して

1年間かけて思いを共有し、いよいよ2年目からものづくりのプロセスを本格的に統一する活動がはじまった。ここで重要な役割を果たしたのがフロントローディングである。先の活動体系でも示したようにフロントローディングは、経営革新を推進する3本柱のひとつであり、生産革新、環境経営と並び、NECネットワークプロダクツの「競争力あるものづくり」を支える上では欠かせない柱の1つだ。

「本社工場では以前からフロントローディングに取り組んでおり、品質向上やコスト低減、リードタイム短縮に効果があることは実証済みだったので、1つはこれを早く全工場へ広げることが目的でした。ただ、フロントローディングをかついだことには、もうひとつ裏の目的がありました。

通常の工場では製造部門や開発部門が主役で、その他の間接部門はわき役だと思われがちです。しかし、本当に優れたものづくりは、『開発の上流から生産の準備段階まで』が極めて重要で、その段階の主役は実は間接部門なのです。よく直接部門の『生産革新』に対して間接部門は『間接革新』という言葉が使われますが、私は、それは違うと思うのです。直接と間接を分けるのではなく、『同じ目的に向かって、一つの“流れ”の中で、全員がそれぞれの役割を分かち合った主役にならなければいけない』と思うのです。

生産ラインや現場の姿がみるみる様変わりする狭義の『生産革新』は、活動や成果がわかりやすく、3本柱の1つとして抵抗が少なかったのですが、ここに経営革新が目指す『全員参加』を実現するための旗印がもう一つ欲しかった。なかなかうまい言葉が見つからなかったのですが、本社工場がこれまで日常的に使ってきた『フロントローディング』という言葉を、うまく育てていけばよいではないか?と感じ、これを旗印にしたのです。正直、私自身も当時はうまく説明できませんでしたが(笑)」と国原は当時の状況を話す。

3社統合によるものづくり力の結集、キーワードは「流れ化」

NECグループの各工場は、2000年から本格的にトヨタ生産方式(TPS)を取り入れた。NECネットワークプロダクツの前身となる本社工場では2001年から本格的な取り組みを開始。まずはレイアウトを大幅に見直し、ラインを短く単純にして効率化し、さらに簡易自働化設備を内製し、これをインライン化することで活動を進化させた。2005年からは、さらに大きな成果を刈り取るため、「開発と生産の連携活動」を強化し、部品種の削減や、製造・検査容易化に向けて製造のアイデアを上流の設計へフィードバックするなど、狭義の生産革新からより前へ前へとまさにフロントローディングしていく活動へと発展していった。

統合後、本社工場が先行していたこれら活動を一関工場と那須塩原工場にも展開、すべての取り組みの横串を通すもう一つのキーワードが「流れ化」である。
これは物事を「工程順に、規則正しく、自律的に、流れるようにすること」を意味し、その留意点は流れを「短く、単純にしていくこと」にある。
一関工場では、分散化していた専用ラインの統合を進め、生産性向上のみならず、新たな生産取り込みのためのフロアの捻出も実現した。また、那須塩原工場でもこれまでは「うちの製品は特別な大型・一品物だから小型の量産品とは違う」と特別扱いされてきたが、これらに対しても「流れ化」の思想を取り入れ、大幅な生産性向上を図ることができた。当初の狙い通り、3社統合によるものづくり力の結集が、かつてないレベルの生産革新につながったのである。

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