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林エバンジェリストが語る 最新技術動向

林エバンジェリストの顔写真

エバンジェリストの林です。

今回は、電力線通信(PLC:Power Line Communication)を取り上げてみます。

家庭内で有線インターネットを利用する場合、ブロードバンドルータと呼ばれるインターネット接続事業者と家庭内を結ぶ通信装置を設置する必要があります。屋外から、光ファイバなどの通信線を屋内に引き込み、ブロードバンドルータと接続するわけです。ここから先が少々面倒になります。各部屋でインターネットを利用できるようにしようとすると、このブロードバンドルータから、イーサネットと呼ばれる通信線を各部屋に張り巡らす必要があります。無線を利用すれば、この通信線は不要になるのですが、反面、通信が不安定になったり、満足な通信スピードが得られなかったりなどの問題もあります。

この問題を解決するために生まれたのが、電力線通信と呼ばれる技術です。宅内にイーサネットを張り巡らせる代わりに、電力線(こちらの線は、各部屋に電力:コンセントを供給するために、既に住宅内に設置されています)を利用しようとするアイデアで、既に実用化されています。

この電力線通信ですが、最近では、無線LANの技術が進み、家庭内での利用は、ほとんど見られなくなりました。しかし、ビルに設置されるエレベータ内でリアルタイムのデジタルサイネージを利用できるようにしたいなどの特殊用途での利用が検討されています。

今回は、この電力線通信の基本的な概要と、その利用シーンについて紹介してみます。

第43回 PLC

PLCPower Line Communication)」とは、インターネットの世界で利用されているイーサネットと呼ばれる通信線の代わりに電力線を利用して通信するという新しい通信技術です。

家庭内で有線インターネットを利用する場合、ブロードバンドルータと呼ばれるインターネット接続事業者と家庭内を結ぶ通信装置を設置する必要があります。屋外から、光ファイバなどの通信線を屋内に引き込み、ブロードバンドルータと接続するわけです。ここから先が少々面倒になります。各部屋でインターネットを利用できるようにしようとすると、このブロードバンドルータから、イーサネットと呼ばれる通信線を各部屋に張り巡らす必要があります。無線を利用すれば、この通信線は不要になるのですが、反面、各部屋の壁や障害物の影響で通信が不安定になったり、満足な通信スピードが得られなかったりなどの問題もあります。

この問題を解決するために生まれたのが、電力線通信と呼ばれる技術です。宅内にイーサネットを張り巡らせる代わりに、電力線(こちらの線は、各部屋に電力:コンセントを供給するために、既に住宅内に設置されています)を利用しようとするアイデアで、既に実用化されています。

利用するためには、PLCモデムと呼ばれる装置を各部屋のコンセントに接続する必要があります。(通常の家電の電源ケーブルをコンセントに接続するイメージです)

日本の電力は、東日本50Hz、西日本60Hzで送電されています。同じ線上にデータを流す場合、同じ周波数は使えません。電力線通信には、低速PLCと高速PLCがあります。低速PLCの場合は、10KHz~450KHzの周波数帯を利用していますが、9600bpsの低速であり、現在低速PLC製品はほぼ存在していません。一方高速PLCは、2MHz~50MHz帯を利用(200610月の省令改正で利用可能となった)し、最大で240Mbpsの通信が可能なもので、現在の主流となっています。

国内で利用できる規格は、大ききHD-PLC、HomePlug AV、UPAの3種類です。

HD-PLCは、CEPCA (CE-Powerline Communication Alliance) という団体で作られた規格で、同団体の中心的存在でもあるパナソニックの登録商標です。変調方式にはWavelet OFDM/PAM、メディアアクセス制御方式はTDMA・CSMA/CA、暗号技術にはAES 128bitを採用しています。親機が電源OFFの場合、全機器が通信不能となります。

HomePlug AVは、アメリカの電力線通信の業界団体であるHomePlug Powerline Alliance (HomePlug) で作られた規格です。HomePlug 1.0、Turbo、AVなどの仕様があります。

UPAは、スペインのDS2が中心となって設立したUPA (Universal Powerline Association) という団体で作られた規格です。変調方式にはWindowed OFDM/QAM、メディアアクセス制御方式はトークン・バス、暗号技術には3DES 168bitを採用しています。親機・子機は自動設定であり、親機が電源OFF等で通信できなくなった場合は、子機1台が親機に昇格することで、通信の継続が可能です。

電力線通信は、コンセントさえあれば、どこでもすぐに使うことができ、無線LANが苦手とする障害物の多い場所や電波が混雑している場所での利用に適しています。また、設置が容易で、セキュリティ面も心配ないといったメリットがあります。反面、ギガバイトクラスの高速な無線通信と比べて通信速度が遅い、電力線が長いと通信速度が落ちるなどのデメリットも存在しています。また、PLCモデム自体が発生する電気ノイズが他の電化製品に影響を与えたり、逆に電化製品から発生するノイズが電力線を通り、PLCの通信速度に影響を与えたり、規格が異なるPLCモデムの相互利用ができない等の問題もあります。

電力線通信は、最近約200万台(パナソニック発表)規模の普及理台数であり、無線LANの技術が進み、家庭内での利用シーンは、ほとんど見られなくなりました。しかし、ビルに設置されるエレベータ内のデジタルサイネージへリアルタイムにデータ配信を行ったり、監視カメラでの利用などのIoTInternet of Things)を中心とした特殊用途での利用が進みつつあります。電力線のほかに、データ通信用のケーブルを配線する必要がなくなるというコスト削減効果が出ます。

電力線通信は、伝送路推定技術(電力線の利用状況に合わせて特性を推定し、高速化を実現できる技術)の採用や、マルチホップ機能による通信距離の拡大、接続デバイス数の拡張などの技術により、ビルや工場内等の産業用途として、既存の電力線を使いながら、必要な場分を電力線通信で補う等の使い方ができます。特に既存ビルなどでは、既設線を有効利用することができるようになり、配線コストの大幅な削減が期待できるでしょう。

電力線通信という、古くて新しい技術の有効活用を考えていきましょう。


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