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林エバンジェリストが語る 最新技術動向

林エバンジェリストの顔写真

エバンジェリストの林です。

今回は、「GPS」を取り上げてみます。

GPSGlobal Positioning System)」は、衛星を利用した位置情報測位システムで、カーナビゲーションシステムに代表される現在の位置を知る技術です。近年では、カーナビゲーションシステムのみでなく、スマートフォンに搭載されることにより、道案内に利用したり、自分がいる場所の周りにどのような施設があるか(たとえばレストラン検索など)等を調べたりするのにも利用されています。有名になったポケモンGOも「GPS」がなければ、動かすことができません。

もともとは、米国で軍事用として開発されたものですが、現在では広く民間に開放されており、誰でも利用することができます。

今回は、この「GPS」に焦点を当て、どのような方法で位置測位を行っており、どのような使い方ができるのか等のポイントをご紹介します。

第38回 GPS

GPSGlobal Positioning System:全世界測位システム)」は、地球の外周を回っている複数の人工衛星を利用した位置情報測位システムで、カーナビゲーションシステムに代表される、現在の自分の位置を知る技術です。当初は、米国の軍用としてしか利用することができませんでしたが、現在では民間にも精度を落とした形で開放されており、誰でも無料で、自由に利用することができます。

GPS」で、現在の位置測位を行う場合に、ポイントとなるのは正確な時計です。「GPS」衛星には、非常に正確な時計が搭載されており、地上に向けて発信している信号に、この時刻情報が入っています。衛星から発信された時刻データをGPSレシーバ(受信機)で受け取ると、発信された時刻と受信された時刻の差が出ます。電波の空間を移動する速度は、光の速度と同一(30万km/秒)であり、この信号到達時間の差から、衛星と受信機間の距離を計算します。

1基の衛星の位置(軌道計算で正確な位置が割り出せます)とそこからの距離が分かると、地球上では1つの円周上のどこかに位置していることが分かります。(衛星の位置を頂点とした円錐をイメージすれば分かりやすいと思います)同様に2基目の衛星からの距離を計算し、再び地球上に円周を描くと、1基目の円周と2基目の円周の交わり(2点)のどちらかにいるということが分かります。そこで3基目の衛星を利用して、その交点のどちらに位置しているかを判断することにより、位置を推定します。

実際には、地球は平面ではなく、その場所の高度(海抜)に差があるので、正確な位置を測位するためには、もう1基の別の衛星情報が必要です。もちろん電波を受信できる衛星の数が多ければ多いほど、正確な位置が測位できることになります。一般的には5-8基程度の衛星の電波を受信することにより測位しています。

GPS信号の受信精度もさることながら、このように複雑な計算を瞬時に行うのは大変なので、いかに計算方法を簡素化するかでGPSの性能に差が出てきます。一般的には、すべての計算を端末で行う自立型と、地上のネットワークを利用してサーバで計算を行う網依存型と呼ばれる手法などが存在しています。また、位置測位の計算方法も、多種多様な手法が存在しています。

さて、一般的に「GPS」というと米国が軍事用に作り上げた上記のシステムになるのですが、米国が作り上げたシステムに依存していると、有事の際にはサービス提供をやめるといったケースが発生する可能性があるので、主要各国では、自前の衛星測位手段を用意するようになってきています

欧州は「ガリレオ」、ロシアは「グロナス」、中国は「北斗」、インドは「イルナス」といったシステムを構築しており、日本も「準天頂衛星」といった自前の衛星測位手段を構築中です。ただし、衛星の製造、打ち上げにコストがかかるため、どの計画も当初のスケジュールから遅れています。

日本における「準天頂衛星」は、最終的には7~8基の衛星を利用した測位システムで、「GPS」と異なり、地球上のどこでも利用できるというわけではなく、日本とオーストラリアの一部で測位が可能なシステムです。衛星の軌道の関係で、そのようになっています。ただし、「GPS」衛星で測位をする場合、地平線からの角度が48度以内に空を見ることができない(たとえば高層ビルなどにより、その方向の空が見えないなど)と、そちらからの衛星電波を受信することができなくなってしまいます。「準天頂衛星」の場合は、この角度が60度となるので、衛星からの電波の受信状況が相当改善されます。また、測位精度も誤差数cmと非常に高く測位できるのが特徴です。

近年では、カーナビゲーションシステムのみでなく、スマートフォンにGPSレシーバが搭載されることにより、道案内に利用したり、自分がいる場所の周りにどのような施設があるか(たとえばレストラン検索など)等を調べたりするといった目的にも利用されています。あの「ポケモンGO」も、GPSが普及していなければ、ありえなかったでしょう。

位置情報をアプリケーションから見た場合、大きく、自分で測位した情報を自分で利用する自己位置情報ベースと、自分で測位した情報を第三者に送ることにより利用する第三者位置情報ベースに分類されます。

前者のケースでは、エリア情報、ナビゲーションなどの利用方法があり、後者では、トラッキング、マーケティングといった利用方法があります。

いままでは、飛行機や船舶に搭載されており、一般の人が利用するのが難しかった「GPS」ですが、カーナビゲーションシステムで利用されるようになり、さらには、スマートフォンでのGPSレシーバの標準搭載となったおかげで、安価に位置情報の測位ができるようになりました。今では、GPSレシーバはワンチップ構成で数百円程度のコストで利用が可能になっています。

GPS」を利用して、位置を測位することにより、新たなビジネスの可能性が広がります。精度が上がれば、精密な測量などでも利用できるようになります。今後、ますます位置情報の利用が普及してくることでしょう。


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