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林エバンジェリストが語る 最新技術動向

林エバンジェリストの顔写真

エバンジェリストの林です。

今回は、IoTInternet of Things)を考えるうえで重要な項目となりそうな「フィジカル・コンピューティング」を取り上げてみます。

「フィジカル・コンピューティング」は、IoTの為に作られたものではなく、もともとはニューヨーク大学から始まった教育プログラム(研究指針)です。身の回りの物理的な世界とコンピュータ上の仮想的な世界との間に対話を作り出すという考えのもとに作り上げられました。より具体的には、既存のマウスやキーボード、ディスプレイ、スピーカといった入出力装置に、センサ、アクチュエータ、マイクロコントローラを組み合わせ、人間とコンピュータとの意思疎通の幅を拡げることがフィジカル・コンピューティングの目的です。

今回は、この「フィジカル・コンピューティング」に焦点を当て、どのような技術が利用されており、どのような使い方ができるのか等のポイントをIoTとの関係を含めて、ご紹介します。

第35回 フィジカル・コンピューティング

「フィジカル・コンピューティング」は、IoTの為に作られたものではなく、もともとはニューヨーク大学から始まった教育プログラムITP (Interactive Telecommunication Program)です。同大学の准教授であるトム・アイゴらが中心となって作り上げられました。

身の回りの物理的な世界とコンピュータ上の仮想的な世界との間に対話を作り出すという考えのもとにできた分野となっています。より具体的には、既存のマウスやキーボード、ディスプレイ、スピーカといった入出力装置に、センサ、アクチュエータ、マイクロコントローラを組み合わせ、人間とコンピュータとの意思疎通の幅を拡げることがフィジカル・コンピューティングの目的です。

例えば、芸術家の創作物にエレクトロニクスを利用したり、エレクトロニクスを利用した新規ビジネスを創造したりする場合、従来はエレクトロニクスの専門家の助けが必要でした。しかし、「フィジカル・コンピューティング」を利用すれば、エレクトロニクスの専門家の助けが不要となり、自分の思い通りのやりたいことが、自分の力で実現できるようになります。近年では、これらを利用した「メイカー・ムーブメント(企業ではなく、個人でインターネットとフィジカル・コンピューティングを駆使して物作り、販売を行う動き)」といった動きも出てきており、新しい産業分野として確立されてきています。

専門家以外の人がエレクトロニクスを利用するには、難しい部分を排除し、できるだけシンプルに実現したいことができるようにする必要があります。例えば、何らかのセンサを利用しようとした場合、従来であれば、そのセンサを制御するためのCPUやメモリ、バッテリー、データのやり取りをするためには、TCPIPWi-FiBluetoothZigBeeなどのインタフェースといった様々な要素を検討し、作り上げる必要がありました。「フィジカル・コンピューティング」では、この難しい部分(この部分は、本来の芸術やビジネスの目的ではなく、手段となる)に相当する様々なものが用意されています。

最近では、Arduinoや、RaspberryPiといった「てのひら」にのるサイズの1ボードコンピュータシステムが安価に販売されています。しかも、これらの1ボードコンピュータは、全てオープンソースで開発されています。すなわち、ハードウェアの回路図が公開されており、誰でも入手できます。また、アプリケーションソフトウェアの開発ツールも無料で利用することができ、PCさえあれば、誰でもすぐにアプリケーションソフトウェアの開発が可能です。特に、RaspberryPiは、OSとしてLinuxWindowsIoTなどを無料で利用することができます。さらに、これらの1ボードコンピュータは世界中で利用されているため、あちこちにコミュニティが存在し、分からないことなどは、そのコミュニティの掲示板などから簡単に情報を入手することができます。

最近注目が集まっているIoTシステムへの「フィジカル・コンピューティング」の適用も進んでいます。一般的なIoTのシステム構成は、以下の図の通りですが、このうち「フィジカル・コンピューティング」の中心部分は、下部のデバイスやセンサ層と、その上のセンサ・ネットワーク層の部分になります。

この部分のシステムを作り上げるのに、「フィジカル・コンピューティング」を利用すれば、簡単に、安価にシステムを作り上げることができます。最近では、ICTベンダにIoTシステムの相談をする前に、ユーザサイド(ユーザ側の情報処理部門)で簡単な実験システムを作り、実験をしたうえで、うまくいくという確認を行ってからICTベンダに相談するといった場合も増えてきています。

「フィジカル・コンピューティング」で利用するセンサ(入力装置)やアクチュエータ(出力装置)は様々なものが用意されており、自分がやりたいことに合わせた入出力装置を用意し、上述のArduinoRaspberryPiといったボードに接続すれば、様々な目的に応じたIoTシステムを素早く、簡単に作り上げることができるのです。

「フィジカル・コンピューティング」を利用すれば、自分の思い通りのIoTシステムを構築することも夢ではなくなります。ぜひ、「フィジカル・コンピューティング」の世界に触れて、試してみてください。世界が広がることでしょう。


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