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ものづくり未来戦略

-chemSHERPAが変える含有化学物質管理のこれから-

製造・装置業システム開発本部 シニアエキスパート 森 伸明

NEC
サービス・テクノロジー本部 シニアエキスパート 森 伸明

略歴
10年以上にわたり、製造業における環境管理システムの開発に従事。JAMPや経済産業省の「chemSHERPA」など、含有化学物質管理に関する標準スキームの策定に積極的に参画。お客様の環境配慮分野での課題に関するコンサルテーションをはじめ、環境パフォーマンスやリサイクル、グリーン調達など多彩なソリューションを手がけ、含有化学物質管理ソリューション「ProChemist」の開発責任者をつとめる。

電気・電子業界における、化学物質に関する規制が世界的に強まっています。
たとえば、欧州RoHS規制では禁止物質が4物質追加され、欧州への輸出メーカーは自社製品における調達品について、4物質の非含有を再確認しなければなりません。
一方、含有化学物質の調査フォーマットは統一されておらず、部品メーカーや商社は輸出メーカーに合わせた調査回答業務に多大な負荷を抱えていました。そこで、2015年に経済産業省は、サプライチェーンにおける新たな製品含有化学物質情報の伝達スキームとして、「chemSHERPA*1」(ケムシェルパ)を運用開始しました。
今回は新伝達スキームである「chemSHERPA」の概要と、メーカーが取り組むべき課題、そしてNECが提供するchemSHERPAに対応した含有化学物質管理ソリューション「ProChemist」(プロケミスト)について紹介します。

電気・電子業界の標準スキーム「chemSHERPA」とは

近年、製品の含有化学物質規制がさらに厳しくなり、調達先もグローバルに拡大しつつあることから、化学物質の的確な調査・管理が求められています。特にヨーロッパでの規制は厳しく、RoHS(6物質非含有)*1の規制はEU諸国全体に及んでいます。また、REACH*2という規則では、年々増え続けるSVHC(高懸念物質)とされる含有化学物質の情報開示が義務づけられています。この2つの規制・規則への対応が、今日の電気・電子業界では最優先の課題となっています。
国内には、もともとJGPSSI*3とJAMP-AIS/MSDSplus*4の標準スキームがありますが、政府主導ではなく業界団体が策定したもので、団体ごとに個別に運用され統一されていませんでした。そこで、経済産業省が含有化学物質の統一的な調査・管理のために、既存の2つのスキームを包括するchemSHERPAを策定、普及させようとしています。(図1)
また電気・電子業界の国際標準化組織IECは、グローバル標準規格として含有化学物質管理に関するIEC62474*5を策定しています。製造メーカーは、同規格をベースとした経済産業省が推進するchemSHERPAに対応することで、海外メーカーを含む国内外の企業との情報交換が容易になり、サプライチェーン全体の効率化が実現できます。

  • *1RoHS:特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令
  • *2REACH:欧州域内で製造・輸入される化学物質の情報登録を義務付けた法律
  • *3JGPSSI:RoHS指令をベースとしたグリーン調達調査共通化協議会の情報伝達フォーマット
  • *4JAMP-AIS/MSDSplus:JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)が推奨する情報伝達シート
  • *5IEC62474:電気・電子業界およびその製品に関する国際標準のマテリアルデクラレーション

拡大する図1:含有化学物質情報フォーマットの潮流

厳しくなる規制で含有化学物質の調査・管理が不可欠に

加工メーカーや商社は、そもそも含有化学物質の管理知識やノウハウがなく、調べ方がわからないといった話を聞きます。また、原材料を提供する化学メーカーでは、製造ノウハウの物質が含まれている成分を公開したくないなど、含有化学物質情報の流通過程には様々な課題が存在しています。
さらに、欧州のRoHSを例にとれば、従来は規制対象物質は6物質でしたが、2019年には4物質追加されて10物質になることが決定しています。これからは、新たに4物質を追加して調査しなければならず、規制が始まる前に既存の6物質で調査済みの部品についても、再確認をする必要があります。サプライチェーンに内在する課題と、新たな規制対応による課題を解決するためにchemSHERPAの活用と普及は重要です。chemSHERPAでは、サプライチェーンの川中企業までは成分情報を伝達し、川下企業へは必要な規制遵法情報を伝達するなど、柔軟な情報流通が可能になります。(図2)
一方、自動車業界では、調達部品の含有化学物質の全成分を申告させる仕組みが、すでに確立されています。自動車メーカーが、サプライヤーの部品メーカーに情報を登録してもらうIMDS*6を構築し、部品メーカーが購入品ごとの含有化学物質データを登録することで、クルマ1台のすべての含有化学物質がわかるようになっています。
昨今の自動車部品の90%が電気・電子部品ですので、今後、chemSHERPAの普及の先には、両業界における標準スキームの円滑な連携運用が期待されています。

  • *6自動車部品の素材データを登録するためのサプライチェーン向けデータベース

拡大する図2:chemSHERPAの目指すところ

ものづくり企業とICTベンダーの2面を持つNECだからできること

NECは、ものづくりの企業であると同時にICTベンダーです。社内で含有化学物質管理のシステム化を推進し、そこで蓄積された経験やノウハウをもとに、お客様へ同分野のICTソリューションを提供しています。
まず、ものづくり企業として、NECは標準化を推進する立場です。もともと独自のフォーマットにこだわらず、JGPSSIの立ち上げにも参画して標準スキームを主導的に創り上げてきました。今回のchemSHERPAも策定レベルから参画して、業務面からの支援とIEC62474に対応したchemSHERPA入力支援ツールの検討などのICT面からの支援を実施し、両面から標準化を推進してきました。
さらに、ICTベンダーとしての貢献は、chemSHERPAを活用した製品含有化学物質管理システムを提供することです。サプライヤーから含有化学物質情報を入手し、製造メーカーのBOM(Bill of Materials)に従い自社の製品単位に含有化学物質を積み上げ、集計する含有化学物質管理データベースの提供がそのひとつです。BOM管理システムは、私どもの「Obbligato III」を含めPDMと呼ばれるもので、これと連携したシステムが必要になります。
NECでは、Obbligato IIIなどBOM管理システムの中で含有化学物質を管理する方法と、外付けでデータベースを装備しBOMデータにもとづいて収集したデータを製品単位に集計する方法の、2つのソリューションを実現しパッケージとして提供します。
お客様によって導入しやすい方法をお選びいただき、お客様の管理レベルの向上とコンプライアンスの精度向上のためにご支援をするべく、含有化学物質管理の課題に取り組んでまいります。(図3)

拡大する図3:NECの含有化学物質管理ソリューション

データの収集から蓄積、製品集計をワンストップで実現

さらに含有化学物質管理業務で重要なのは、サプライヤーからの情報入手の効率化です。メールで調査し、その情報を先の含有化学物質管理システムに手動で登録する手間を省くため、また、サプライヤー側で間違いのないデータを登録するために、含有化学物質調査のWebシステムを提供しています。
化学物質調査をWeb上で行い、サプライヤーが入力したデータを直接製造メーカーのデータベースへ取り込む方法です。この一連の流れを実現したのが、サプライヤ向けWeb調査サイト「ProChemist/AS」です。一度サプライヤーが登録したchemSHERPAのデータはサイト上に保存され、更新が行われると、以前に提供した製造メーカーへ変更データが自動的に送信されます。サプライヤーにとっても複数の製造メーカーへ変更データを送信する手間を省くことができます。(図4)

拡大する図4: ProChemist/ASサプライヤ調査のイメージ

ProChemistは、1つのパッケージで含有化学物質データの収集から蓄積、そして製品単位に情報を集計し管理するという2つの機能をワンストップで実現します。特にサプライヤーへの調査機能も含め、クラウドと連携したソリューションで提供できるのは、ProChemistならではの特長です。
また、取引先からのデータを自社内へ直接取り込めるのと同時に、サプライヤーには入力データが正しいかどうかをチェックする機能も提供します。これにより、製造メーカーとサプライヤーとの間でデータの修正などのやり取りの手間を極小化し、業務の効率化を推進します。(図5)

拡大する図5:ProChemistの環境BOM機能

NECでは2009年から、製造メーカー向けにサプライヤーへの含有化学物質調査機能を提供する、先進的なクラウドサービスに取り組んできました。NECグループでも活用していますが、現在約1万社を超えるお客様にご利用いただいています。

chemSHERPAの普及とICTにより更なる業務効率化へ

含有化学物質管理は、製品に使われている化学物質を調査すると同時に、サプライヤーの化学物質への体制や対応状況も確認することが重要です。ProChemistは、サプライヤアセスメントサービスをオプションとして提供していますので、サプライヤーへのアンケート業務のご支援も可能です。調査回答状況と合わせてアセスメント結果が参照できますので、サプライヤー単位のコンプライアンスリスクを把握することが容易になります。(図6)

拡大する図6:サプライヤアセスメントサービス

また、含有化学物質の規制だけでなく、武装勢力が関与する紛争鉱物に対するドッド・フランク法*7など、サプライチェーンをさかのぼって調査しなければならない規制に対しても、含有化学物質調査窓口と同じ資材購買部門が対応することが多く、ProChemist/BMでは紛争鉱物管理オプションを提供しています。
今後はchemSHERPAの普及・拡大を、ProChemist の提供を通じて積極的に推進していきたいと考えています。NECでも2017年4月から、chemSHERPAによる調査を開始します。chemSHERPAは、製造メーカーの業務を効率化すると同時に、電気・電子業界全体の効率化にも貢献できるという観点で、これからも同標準スキームの普及へ積極的に取り組んでいきたいと考えています。

  • *7ドッド・フランク法:2010年に米国で制定された包括的な金融規制改革法

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