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ものづくり未来戦略

-世界で勝てる製造業へ-

写真:松原 芳明

NEC
サービス・テクノロジー本部 主席ソフトウェアプロダクト主幹

略歴
20年以上にわたり、日本の製造業を中心として設計開発領域のシステム企画やシステム構築に従事。また、国内トップシェアのPLMソリューションである「Obbligato」 の製品主幹を担当。2010年からは、NECの設計開発領域の改革に取り組み、NECグループの開発プロセスの整備とPDMシステムの統合プロジェクトにも参画している。

1990年代以降、多様化する市場ニーズに対応し開発リードタイムを短縮するためには、「BOM(Bill of Materials)の戦略的活用が不可欠」ということが広く認知され、BOMを中核にして、図面などのさまざまな技術情報を関連づけて管理するようになりました。これがいわゆるPLM(Product Lifecycle Management)システムです。
昨今これに加え、グローバルものづくりにおける競争力強化の次なる一手として、BOP(Bill of Process)が注目されています。BOMが「どんな部品をいくつ使って作るか」を表す製品の構成情報、つまりWhatの情報であるのに対し、BOPは「どの工程で」「どのように」「何の設備や治工具を使って作るか」を表す製造プロセス情報、つまりHowの情報を指します。
企業はBOPマネジメントに取り組むことで、メガリコール時の品質トレーサビリティ強化や、設備の共通化による固定費削減、グローバル拠点での一貫したものづくり品質の維持など、全社レベルでさまざまな効果を期待できます。今回は、BOPの活用によって得られる経営メリットと、IoT時代のPLMシステムのあるべき姿についてご紹介します。

今なぜBOPが必要なのか?

写真:松原 芳明氏

製造拠点のグローバル化に伴い、設計と生産の間の情報連携の強化は最重要課題です。設計-生産間で伝達される最も重要な情報はBOMですが、設計者の視点で作成される設計BOMと、在庫や中間品などの生産側の情報を付加して作成される生産BOMは、その目的や形が異なるため、スムーズな連携が困難でした。設計BOMと生産BOMの間にBOPを定義し、それを仲介とすることで、設計と生産のシームレスな連携が可能となります。つまり、BOPはグローバルものづくりの最大のボトルネックである設計と生産の間の橋渡しをする役割を持っているのです。 (図1)

図1:BOP(Bill of Process)とは?

BOPは、経営戦略の1つとして、製造業に様々な効果を生むと期待されています。その効果を掘り下げて説明していきます。

BOP活用のメリット(1):製造ナレッジの蓄積・共有

日本の製造業では、製造プロセスが工場まかせで、個人的に紙やExcelで管理されている企業が多くあります。さらに、生産技術者の高齢化や退職が進むことによる、製造ナレッジの共有・継承が課題となっています。NECが考えるBOPとは、階層構造で定義した工順や工程に対して、使用する設備や治工具、金型などを関連づけたり、QC工程表や作業指示書などのドキュメントを関連づけて管理する、製造ナレッジのデータベースです。
生産技術者が、工程設計するための情報をBOPとして集約することで、製造ナレッジを継承・共有することが可能となり、若手を早期に立ち上げることができます。また、製造プロセスの標準化が進み、それを流用することで工程設計の生産性を向上できます。(図2)

図2:製造ナレッジの蓄積・共有

BOP活用のメリット(2):設計と生産の連携強化

「今なぜBOPが必要か?」でも既述しましたが、設計者が作る設計BOMは、製品の部品構成を表現するものであり、生産管理者が作る生産BOMは、設計BOMが完成してから生産性検証を経て、部品の在庫情報や発注情報などを付け足して作られるため、後になってからの設計への手戻りが多くなり、結果、納期に間に合わなくなるといった問題が発生しています。
また、設計者からは設備の情報が見えないため、設備の共通化が進まず、ラインの変更や新拠点立ち上げ時に固定費がかさみ、経営投資に大きな影響を与えています。そうした課題を解決するためにも、BOPが活躍します。
設計BOMと生産BOMの間にBOPを定義し、両者を仲介することで、設計-生産技術-生産管理の間のシームレスな連携が実現し、精度の高い生産BOMを早期に作成することが可能となります。
また、生産性検証結果を設計へ早期にフィードバックすることで手戻りを防止し、設計と生産技術の協調設計を促進することで開発期間を大幅に短縮できます。
さらに、設計時から、設備や工程を意識した設計が促進されることで、設備の共通化による固定費削減が期待できます。(図3)

図3:設計と生産の連携強化

BOP活用のメリット(3):品質トレーサビリティの強化

昨今、様々な製品におけるリコール問題などを背景に、品質のトレーサビリティ強化も強く求められています。NECのPLMソリューション「Obbligato III」の新バージョンR4.1では、BOMとBOPはそれぞれのアイテム間で関連づけることができるため、設計変更や不具合が発生した際には、部品だけでなく工程や設備も含めて影響範囲を特定し、グローバル拠点に渡って迅速に対処することが可能になります。
例えば、下図(図4)では品目Bに設計変更が発生した場合は、影響するのは、品目A-1、工順B、工程A-1、設備1、治具1、というように迅速に関連をたどっていくことができるのです。

図4:品質トレーサビリティの強化

BOM/BOPとMES、IoTの関係

さて、近年、IoT(モノのインターネット)を活用してPLC(シーケンサ)を備えた設備などからリアルタイムの情報が収集できるようになり、その実績データをMES(製造実行管理システム)に蓄積し、可視化や分析ができる環境づくりが盛んに行われています。BOPは、実はMESやIoTと深く関わりがあります。
PLMで定義されたBOPは、MESに引き継がれ、製造指示情報として製造現場へ迅速・正確に伝達されることで、ものづくり全体を通して漏れのない設計変更を徹底することができます。
さらに、IoTやAI技術を活用してリアルタイムに製造現場の実績を収集・可視化できるようになれば、BOPと実績を比較分析することにより、設備投資の無駄をなくし、ライン構成や設備の設定条件が最適になるよう、BOPの定義を継続的に改善・最適化していくことができます。製品開発のPDCAを回し、企業全体の生産効率の最大化を図ることができるのです。 (図5)

図5:BOMおよびBOPとITシステムとの関係

BOMとBOPのグローバル統合

写真:松原 芳明氏

BOMやBOPはグローバルで統合管理されることで、さらに大きな効果を発揮します。
工場ごとにバラバラであった製造プロセスを、PLM上で集約し国内外に配信することにより、グローバルな生産拠点全体で一貫したものづくり品質を維持することが可能になります。
さらに、PLM上に集約されたBOMとBOPを活用すれば、グローバルにおける新生産拠点を短期間で立ち上げることができ、新製品の世界同時立ち上げが実現できます。
需要変動や不測の事態の際でも、製造拠点の情報はPLMで統合管理されているので、迅速で柔軟な生産移管を行うことができます。(図6)

図6:BOMとBOPのグローバル統合

IoTやAI技術を活用した次世代ものづくりにおけるPLMの役割

IoTやAI技術の導入により、企業はものづくりの過程で発生する実績データや、使用中の製品のパフォーマンスに関する情報を取り込んで利用できるようになり、その結果、企業の生産性および製品自体を大幅に改善できる可能性があります。
NECが提唱する、IoTを活用した次世代ものづくりコンセプト「NEC Industrial IoT」では、最先端AI技術を活用して、自律制御により最適な生産を可能とする「プロセス・イノベーション(つながる工場)」と、製品の付加価値を高める「プロダクト・イノベーション(つながる製品)」を目指した各種ソリューションを提供しています。
PLMソリューション「Obbligato Ⅲ」は、この「プロセス・イノベーション」と「プロダクト・イノベーション」をつなぐ次世代ものづくりの中核となるシステムです。
「プロセス・イノベーション」では、ものづくりのマスター情報(BOM/BOP)をグローバルに渡って統合管理することで、工場内と工場間をつなぎます。「プロダクト・イノベーション」では、出荷済み製品の稼働状況を取り込み保守サービス向上につなげたり、顧客の声を商品企画に取り込んだりすることで、顧客満足度の向上を実現します。
これらを、自律的に成長させるには、AI技術の発達が不可欠です。AI技術により、目に見えない情報がリアルタイムで集積できるようになり、PDCAサイクルでマスター情報の精度を向上させることもできます。その進化は、製造業のものづくりへ、かつてないイノベーションをもたらします。私たちは、その変革に大きく貢献できるのではないかと考えています。(図7)

図7:IoTやAI技術を活用した次世代ものづくりにおけるPLMの役割

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