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勤怠管理システム導入の“前と後”(前編)
社会保険労務士レポート第1回

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直接的な業績への貢献度が一見低そうな勤怠管理。実は手を入れれば目に見える経営への改善効果が得られることをご存じでしょうか?日ごろから、様々な会社の勤怠管理に関わっている社会保険労務士が、「勤怠管理システム」導入の前後で業務がどのように改善されていくのか、その効果をレポートします。

特定社会保険労務士 産業カウンセラー 大島 祐美子 氏

特定社会保険労務士・産業カウンセラー
日本女子大学文学部卒業。大学を卒業後、外資系計測器メーカーに入社。人生の転機となるできごとをきかっけに参議院議員の公設秘書へと転職。法律を学ぶ中で従業員教育などの重要性を感じ、資格を取得後に社会保険労務士として独立。「話しを聞いてもらえてよかった。いてくれてよかった」をモットーに、中小企業の労務にかかわる。

1.勤怠管理の重要性

社労士のこれまでの悩み

毎月15日。この日がくると、その後、約1週間、私の事務所は忙しくなります。15日が締日の給与計算が大量にあるからです。手書きの出勤簿がFAXから次々に出力され、スタッフは全員でチェックに追われます。

勤怠のチェックは人海戦術でやらなければならない単純作業です。熟練したとしても時間の短縮には限度があるため、給与計算時期が重なるお客様は一定以上に増やすことができません。

勤怠情報はそのままお客様の重要な経営情報であり、個人情報でもあるため、給与計算の時期だけ短期のアルバイトを複数雇うことも難しいのです。これは自社内で給与計算を行っている会社にとっても同じでしょう。

いまもこの時期が忙しいことは変わりませんが、だいぶ様変わりしました。このお客様がクラウド型勤怠管理システムを導入されたためです。クラウドを利用した電子的な勤怠管理について、2回にわたってレポートを行います。

イメージ:社労士のこれまでの悩み

しっかりした勤怠管理が求められる背景

企業が、従業員の勤怠(始業・終業時刻、労働時間等について)を管理しなくてはならない理由は主に2つあります。1つは法律上の義務であるため、もう1つは企業を守るためです。

(1)法律上の義務

労働基準法第108条に基づいて作成が義務づけられている書類の1つに賃金台帳があります。賃金台帳には、労働日数、労働時間、残業・休日・深夜労働時間などの勤怠情報を記載する必要があり、この勤怠情報を確認するために出勤簿が必要です。また、同法109条により、賃金台帳及び出勤簿は3年間の保存が義務づけられています。

(2)企業を守る

勤怠管理を行わない=従業員の労働時間が把握できないことで、企業がさらされるリスクには大きく2つのものがあります。

  • 給与支給が正しくできないこと(未払い残業代請求への反証材料が無い)
  • 従業員が過重労働になること

このサイト内に、弁護士がコラムを持っていますので、詳しくはその記事(「これだけは知っておきたい経営者のための法律知識」)に譲りますが、企業と従業員のあいだにおける紛争件数は増加傾向にあります。その中でも、未払い残業代請求は、退職後にまとめて請求されることが多く、1人に払うことで他の従業員からも請求される場合があることなどから、いったんトラブルが起きてしまうと、解決のための費用は、数百万、数千万といった高額に及ぶこともまれではありません。また、某大手エステ会社のようにマスコミに取り上げられることがあれば企業のイメージダウンは計り知れません。このように未払い残業代は企業にとって大きなリスクとなっています。

また、勤怠管理は、従業員の健康管理にも大きな関係があります。労働契約法において企業には安全配慮義務が定められており、労働安全衛生法においても、従業員の安全と健康を確保することは企業の責務となっています。

平成27年12月から労働安全衛生法によって、従業員50人以上の企業において、従業員にメンタルチェックを行うことが義務化されます。長時間労働はメンタルヘルスに大きな影響を与えます。勤怠管理を行わず、長時間労働を放置していたところ、従業員がうつ病を発症してしまったり、最悪の場合には、自殺してしまったりということもありうるのです。

このように労働時間を正しく把握することは、法律上の義務であるだけでなく、企業の防衛上、必要なことです。

経営を圧迫する勤怠管理の手間とコスト

タイムカードを利用した勤怠管理にはどのくらの時間とコストがかかっているのでしょうか。

マネージャーは、部下1人分の勤怠の確認をするのに平均5分かかるとします。5分×100人で500分。給与担当者(総務や人事)は、送られてきた勤怠をチェックし、入力し、さらに入力にミスがないか確認します。従業員1人分の処理に、平均5分かかるとして500分。

全員で使った時間の合計は1,000分つまり約2.1日分にも及びます。仮に従業員全員の平均を日給1万円だとすると100人の従業員を持つ会社の毎月勤怠管理のコストは21,000円(一人頭210円)にも及ぶのです。

勤怠の正確な把握による経営効果

正確な勤怠の把握は経営に大きな影響を与えます。勤怠は、給与という経営に直結するコストに結びついていることはもちろん、職場の問題や経営改善に役立つ情報を提供してくれます。

たとえば、ある人がいつも長時間労働をしていた場合、

  • 本人の業務知識が足りない
  • 後輩の指導に時間がとられる、仕事量が多すぎる
  • だらだら残業をしている
など、さまざまな理由が考えられます。

業務知識が足りないのであれば、研修を受けさせたり、1日先輩をつけて見本を見せたり、本人の業務の滞りがちな箇所を確認してその部分について一緒に改善策を考えることなどで解消することもできます。

指導に時間がとられたり、仕事量が多いということであれば、人員配置の見直しが必要でしょう。時間単価の高い人が、昼間に本来の業務を行い、夜遅くにファイリングをしているということがあるとします。このような場合、ファイリングやその他の雑務をしてくれる時間単価の低いアシスタントを1人つけた方が人件費は下がります。

また、長時間労働が改善されれば、疲労が減って仕事の効率があがることも考えられます。だらだら残業をしている人がいれば、指導や注意が必要でしょう。

正確な勤怠の把握から、自社の教育研修の不足、人員配置の問題に気づくことができ、従業員が感じている疲れや不安などを知り、解消に向けた働きかけができれば、従業員のやる気や離職率といった経営の改善にもつながるでしょう。

2.クラウド型勤怠管理システムの基本的なメリット

リアルタイムでの把握

これまでは締日がきてからタイムカードや出勤簿を集め、チェックしていたために、締日の後に仕事が集中し、申請もれや過重労働について、把握と対応は事後になっていました。

しかし、クラウド化された勤怠管理システムでは、各地を飛び回るマネージャーさんも、本部や人事担当者も、勤怠データをリアルタイムで見ることが可能であるため、申請誤りや勤怠の問題についてもそのときどきに把握することができ、問題が起きる前に対応することができるようになります。

残業時間が増加傾向の従業員さんがいれば、月の途中で、面談して事情を聞く機会を設けることも可能ですし、給与を支払う段階になって予算との乖離に焦ることもありません。

行列の解消

タイムカードを使用している会社の従業員さんとお話しをすると、朝、始業時刻の前にタイムカード前に行列ができるため、貴重な時間が浪費され、本当にいらいらすると聞きます。このような「いらいら」を解消する一つの方法としてスピードに強い電子化は役に立ちます。

イメージ:行列の解消

たとえば、非接触型ICカードや携帯電話、指の静脈認証、目の虹彩認識などの最新のインターフェイスを利用することによって、「脱タイムカード」ができる勤怠管理システムがあります。

指の静脈認証であれば、事務所入口に打刻用PC一台と専用スキャナー(指ハイブリット認証)を用意すれば、従業員さんは出退か休憩を選択してスキャナーに指をかざすだけで、瞬時に本人が認証されます。一瞬で出勤等の記録がされ、行列ができることはありません。

なりすまし打刻(代理打刻)などの不正がなくなる

「遅れそうだから代わりに押しておいて」、「ちょっと過ぎちゃったけど9時にきたことにしよう」など、短時間の勤怠の不正申告は軽い気持ちで行われてしまうことがあります。生体認証による打刻を使えば、本人がその場にいないため、このような不正をなくすことができます。日常的な不正をなくすことにより、規律的な風土が醸成されるという派生的な効果も望むことができます。

給与計算に連携

勤怠管理システムの導入によるもっとも大きなメリットの一つはデータをそのまま給与計算ソフトに取り込める点です。残業時間計算や集計の手間が無く、入力誤りも発生しません。また、タイムカードで行えるのは勤務時間の管理のみですが、勤怠管理システムでは、有給休暇の付与や残日数の管理も行うことができ、紙や別の電子ファイルでチェックする手間も必要ありません。

不自然な記録の発覚

電子的な勤怠管理システムでは、出退勤の時刻は自動的に記録され、修正には申請・承認の手続きが必要となり、過大申告はもちろん、過少申告も行われる前に見つけることができます。修正した場合にも、履歴が残るため、不自然な記録があった場合には誰の手によって修正が行われたものか確認することもできます。

過剰労働の発見

さらに、勤怠の電子化によって過剰労働の発見はたやすくなります。月の時間外労働の限度が45時間であれば、30時間と40時間にアラートを設定しておくことなどにより、限度時間をオーバーする前に対応することができます。データは一覧表示でき、他の従業員や他部署と比較したり、経年変化を比較することができるため、従業員の変調にも気づきやすくなります。

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