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知っておきたい勤怠管理の話(前編)
これだけは知っておきたい経営者のための法律知識(勤怠管理篇)第1回

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適切な勤怠管理は、コンプライアンスが重視される昨今、企業にとって必要不可欠です。勤怠管理の中でも、特に従業員の労働時間管理の重要性に焦点を当て、事例を交えてわかりやすく解説します。

3.飲食店経営のA社の事例

前述のような法令上定められた労働時間の管理義務を適切に実施しなかったために、トラブルとなった事例として、飲食店を営むA社従業員Bさんの事例をご紹介したいと思います。

Bさんは、Aさんの営む居酒屋Cで働く店長でした。

居酒屋Cの営業時間は18時~25時です。休憩は業務中に1時間取得することとされていました。そのため、A社の社長は、開店準備や後片付けの時間を入れても、Bさんの実労働時間は概ね1日8時間程度であろうと考え、Bさんの労働時間については、タイムカードやICカード等による始業・終業時間の確認を何ら実施しませんでした。

しかし、居酒屋Cは従業員が常に不足していたため、店長であるBさん自らが接客応対に追われる等、とても営業時間中に1時間ものまとまった休憩を取得することなどできる状況ではありませんでした。

また、開店前には、発注していた資材の受け取りやその他の開店準備のために、遅めの出社の日でも16時頃には職場におりました。さらに、閉店後には、店舗の片づけ、アルバイト従業員のシフト表の作成、売上・在庫管理、翌日以降に必要となる資材の発注作業等の多種多様の業務があり、これらを全て終えると、いつも時計は午前4時を回っていました。

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Bさんは一所懸命、店長としての職責を果たそうと尽力していました。しかしBさんがどれだけ頑張ろうとも、そもそも労働時間を管理していないA社から残業代等の賃金がBさんへ支払われることはありませんでした。そのため、BさんはA社を退職し、労働基準法違反の事実を労働基準監督署に申告するとともに、A社に対して未払い残業代の支払請求訴訟を提起しました。

前述したように、A社にはタイムカード等の始業・終業時刻を客観的に示す資料は存在しません。しかしA社では、1日の作業が全て終了した時点で、その日の売上金額、来客数、その他の事務連絡を、店舗内に備え付けられたPCから、メールで毎日報告することが義務付けられていたので、そのメールの送信時刻等が決め手となり、A社はBさんに対して、結果として、約400万円の未払い残業代を支払うこととなりました。

4.労働時間管理(勤怠管理)の重要性

A社のように全く労働時間を管理していなかったケースは極端な事例ではあります。しかし、従業員の実労働時間が適切に把握できていない場合、仮に従業員が恒常的に長時間労働に従事していても気付くことができません。対応策を講じることのないまま放置する形となってしまいます。従業員間で業務量を適切に配分することもできず特定の従業員に負荷が集中してしまう等、知らぬ間に傷口がどんどん広がって行きます。一旦紛争となってしまうと多額の未払賃金や賠償金を一時金として用意しなければならなくなる等、会社経営に深刻な影響を与える結果となることも多々あります。

特に、月間60時間を超えて従業員に残業させる場合には、超えた時間の労働については、通常の25%以上の割増率ではなく、50%以上の割増率で計算した残業手当を支払わなければならないとされているため(労働基準法第37条1項ただし書)、支払うべき残業代の金額は大幅に跳ね上がります。

この割増率については、現在、資本金の額や常時使用する労働者数が一定以下の事業主については、適用が猶予されておりますが(同法138条)、猶予措置は近年撤廃される予定なので、今から実労働時間を正確に把握し、労働時間の短縮に向けた改善措置を講じる準備をしておく必要があります。

さらには、以前ご紹介した定額残業手当制度を導入している会社においても、知らぬ間に、定額の残業手当に含まれる月間残業時間数を超過し、さらに超過部分に対する残業代の支払がなされていなかったために、定額残業手当制度そのものの有効性が否定されるようなケースも近時増加傾向にあります。

このように、労働時間の不適切な管理には大きなリスクが伴います。次回は、恒常的な長時間労働に会社が気づかなかった結果、従業員の過労死という最悪の事態を招いてしまったケースを題材に、労働時間管理の重要性についてお話をしたいと思います。

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