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アニュアル・レポート2017

2018中期経営計画の進捗と新たな中期経営計画の策定について

2018中期経営計画の振り返り

当年度は大型案件の期ズレや期待案件の失注、海外事業の伸び悩み、ハードウェアの減少などの要因により下方修正を強いられ、期初の売上・利益計画は未達に終わりました。

ここでは2018中期経営計画に対する当年度の課題・成果を振り返りながら、新たな中期経営計画策定に向けた考え方をご説明します。

課題

当年度は、当社の課題が浮き彫りになった1年でした。当年度の経営成績は2017年1月の下方修正により、期初の計画を大きく下回る結果となりましたが、この最大の原因は、市場環境や顧客動向の変化に対応したマネジメントの実行力が不足していたことだと考えています。

当初、2018中期経営計画は、国内を中心とした既存事業が横ばいで推移する中で、海外を中心とした注力3事業で売上を伸ばすという考え方で計画を立てました。しかし、既存事業が目標に届かなかったことに加え、海外を中心とする注力3事業の立ち上げが遅れたことにより、売上成長は実現できませんでした。

営業損益については、テレコムキャリア事業やスマートエネルギー事業の収益悪化や、社会インフラ領域での新たな不採算案件の発生などにより、前年度に比べて大きく悪化しました。

さらに、当年度は公正取引委員会の立ち入り調査を受けていた3件の事案について、違法行為の認定、排除措置命令、課徴金納付命令などを受けて偶発損失引当金繰入なども計上しました。

2018中期経営計画(初年度)の課題。市場環境や顧客動向の変化に対応したマネジメントの実行力が不足。既存事業での目標未達、新規事業の遅れ→海外を中心とした注力3事業の立ち上げでの実行力の不足。個別事業の採算性・収益性悪化→テレコムキャリア事業 : 注力事業へのリソースの流動化・最適化、2018年3月期は、2019年3月期中のキャリアへの5G商用試作機リリースに向けての開発を加速。スマートエネルギー事業 : オペレーションベースの損益(除く一過性要因)は改善方向、2018年3月期は、大型蓄電システムと電極を中心とした売上拡大と採算性改善を想定。新たな不採算案件の発生 : 2018年3月期は全社を挙げてSI・サービス系ノウハウの横展開を加速。ガバナンス、コンプライアンス(公正取引委員会からの排除措置命令および課徴金納付命令)→偶発損失引当金繰入等の計上(2017年3月期)、指名停止に伴う業績への影響(2018年3月期)

成果

このように、反省すべき点が多い当年度でしたが、一方で、成果が出始めている領域もあります。当年度は2018中期経営計画の初年度として、同計画で掲げた2つの経営方針「収益構造の立て直し」と「成長軌道への回帰」に取り組みました。

まず、「収益構造の立て直し」では、営業利益率5%の実現を目指し、①課題事業・不採算案件への対応、②業務改革推進プロジェクト、③開発・生産機能の最適化に取り組みました。このうち、業務改革推進プロジェクトはほぼ計画どおりに進捗し、業務効率化やIT費用の効率化などにより前年度比で約140億円の効果を実現しました。また、開発・生産機能の最適化については2017年4月1日付で、国内のハードウェア開発・生産子会社とソフトウェア開発子会社をそれぞれ再編・統合し、2019年3月期の効果額100億円の実現に向けて着実に進捗しました。

「成長軌道への回帰」では、社会ソリューション事業のグローバル化を目指し、注力事業として設定したセーフティ事業、グローバルキャリア向けネットワーク事業、リテール向けITサービス事業の伸長に力を注ぎました。

セーフティ事業では米国国立標準技術研究所(NIST)が実施した動画顔認証技術のベンチマークテストで第1位の性能評価を獲得しました。過去の静止画顔認証技術のベンチマークテストも考慮すると当社は4回連続で第1位の評価を獲得しており、この領域での強みを確固たるものにできていると考えています。また、グローバルキャリア向けネットワーク事業では、SDN/NFVで欧州・中近東や北米の大手通信事業者から10件の商用案件を獲得しました。商談中の案件も着実に増えており、通信事業者の導入機運の高まりを、今後の事業拡大につなげていきたいと考えています。リテール向けITサービスでは、米国7-Eleven, Inc.から、米国、カナダにある約8,600の店舗に向けたPOSシステムと保守サービスを受注しました。

さらに、当社の社会ソリューション事業を差異化するための鍵となるAIやIoTの領域で、将来の事業拡大を見据え、産学連携や他社との提携・協業に積極的に取り組みました。

2018中期経営計画(初年度)の成果。業務改革推進プロジェクトが順調に進捗。収益構造の立て直し→業務改革推進プロジェクト:前年度比約140億円の効果額を実現(ほぼ計画どおりの進捗)。開発・生産機能の最適化:ハードウェア子会社、ソフトウェア子会社の再編・統合。成長軌道への回帰→セーフティ: 動画顔認証技術で第1位の性能評価を獲得(静止画の顔認証テストに続き、4回連続の第1位)*1。SDN/NFV*2: 欧州・中近東および北米などで大手通信事業者から10件の商用案件を獲得パイプラインは半年で1.6倍に拡大、2018年3月期の売上目標は前年度比1.5倍を計画。リテール向けITサービス:米国7-Eleven, Inc.からPOSシステム・保守サービスを受注AI(人工知能)・IoT*3:産学連携や他社との提携・協業を推進。*1 米国国立標準技術研究所(NIST)が実施したベンチマークテスト結果。*2 SDN:Software-Defined Networking、NFV:Network Functions Virtualization。*3 IoT:Internet of Things※ 予想値は、2017年4月27日現在

新たな中期経営計画の検討・策定について

当社が2013年に掲げた社会ソリューション事業への注力、つまりICTによって社会課題を解決する社会価値創造型企業を目指すという目標は、現在も変わっていません。当社が社会の中で持続的に存在し、成長する意義は明確になっています。

しかし、この目標を実現するためには、激しく変化する市場に対し、我々自身がそれらの変化を上回るスピードで変わり続ける必要があります。このたび、新たに中期経営計画を検討するにあたっては、まず、中期経営計画および年度計画の策定プロセスを見直し、戦略策定から実行への落とし込みの迅速化をはかります。加えて、コーポレートの機能強化策としてチーフオフィサーへの権限移譲を進め、役割・責任・権限を明確化することによって意思決定スピードを加速していきます。

経営方針の考え方としては、課題事業の変革も含め、国内事業の収益性を改善すること、そして、注力3事業に加えて海外でのさらなる成長を実現するための具体策を検討することが柱となります。経営目標としては、規律・メリハリの効いたポートフォリオ経営の推進による営業利益率5%の収益構造の確立にこだわっていきます。

中期経営計画の具体的な数値目標は現在精査を進めているところですが、とにかく次期中期経営計画では、私たちが責任をもってやり遂げることのできる目標、さまざまなステークホルダーに対して達成に向けた道筋をしっかりと説明できる目標にしていきたいと考えています。

今後の経営について。新たな中期経営計画を年内で検討・策定。経営スピードの向上→中期経営計画・年度計画の策定プロセス変更コーポレートの機能強化、チーフオフィサーへの権限委譲、役割・権限・責任を明確化。経営方針の考え方→課題事業の変革も含めた国内事業の収益性改善海外での成長方針は不変も、注力3 事業に加えさらなる成長のための具体策を検討。経営目標の考え方→営業利益率5%の収益構造の確立、規律・メリハリの効いたポートフォリオ経営