NECが5年後10年後、そしてその先も社会から必要とされる存在であり続けるために、お客さまや社会にとっての「価値とは何か」を常に考え、新たな価値を創り出していきます。代表取締役 執行役員社長 兼 CEO新野 隆(にいのたかし)1954年 9月 福岡県出身、1977年 3月 京都大学工学部卒業、1977年 4月 当社入社、2008年 4月 執行役員、2010年 4月 執行役員常務、2011年 6月 取締役 執行役員常務、2012年 4月 代表取締役 執行役員副社長、2016年 4月 代表取締役 執行役員社長 兼 CEO

社会から必要とされる企業であるために

NECは、1899年の創業時から「ベタープロダクツ・ベターサービス」をモットーに、高い倫理観を持ってお客さまにとって価値のある商品やサービスを創造してきました。お客さまをはじめとするあらゆるステークホルダーから信頼され、選ばれる企業であり続けたい。この思いは、NECグループの企業理念やビジョンなど経営活動の仕組みを体系化した「NEC Way」として現在も脈々と受け継がれ、私たち自身にとっての規範となっています。

一方で、お客さまや社会が私たちNECに期待し、求める価値は常に変わり続けています。過去には私たちが持っている技術や製品そのものが、お客さまや社会にとっての価値として評価されてきましたが、現在はその価値を生み出すものが多様化しています。私たちが5年後10年後、そしてその先も社会から必要とされる存在であり続けるためには、「何が価値となるのか」を常に考え、新たな価値を創り出していかねばなりません。これは、避けては通れないことです。

その決心を内外に示すために、2014年にブランドメッセージ「Orchestrating a brighter world」を策定しました。この「Orchestrating a brighterworld」には、ネットワーク技術とコンピューティング技術を併せ持つインテグレーターとしてリーダーシップを発揮し、これらの技術とさまざまな知見・アイデアを融合することで世界の国々や地域の人々と協奏しながら、明るく希望に満ちた暮らしと社会を実現して未来につなげていくというNECの意志を込めています。私たちの根底に流れる「NEC Way」を規範としながら、「Orchestrating a brighter world」のもとで「人が生きる、豊かに生きる」ために必要不可欠な「安全」「安心」「効率」「公平」といった社会価値の創造に取り組んでいくことが、私たちの進むべき道です。

「Orchestrating a brighter world」では、私たちの強みを活かし、その解決に貢献できる社会課題を「7つの社会価値創造テーマ」として設定しています。これらの領域で社会価値創造型企業として価値を提供し続けることが、私たちにとってのサステナブル経営です。

サステナブルな社会の構築に向けた関心は世界的に高まっており、企業がサステナブルな発展を遂げる上で基本となる行動指針「国連グローバル・コンパクト」など、国際社会の枠組みも整ってきています。当社は2005年に「国連グローバル・コンパクト」に署名し、「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野における10原則を遵守した企業活動を推進しています。

また、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、当社が掲げる「7つの社会価値創造テーマ」と非常に親和性が高い内容であり、当社が社会価値を創造し続けることが、SDGsの達成にもつながると信じています。

NECグループ企業理念:
NECはC&Cをとおして、世界の人々が相互に理解を深め、人間性を十分に発揮する豊かな社会の実現に貢献します
NECグループビジョン:
人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー
NECグループバリュー:
イノベーションへの情熱、自助、共創、ベタープロダクツ・ベターサービス

コンプライアンスの再徹底

しかし、こうした取り組みを進める中で、当社は2016年7月に「東京電力(株)(現東京電力ホールディングス(株))との電力保安通信用機器の取引」について、公正取引委員会から独占禁止法違反行為があった旨の認定を受けました。また2017年2月には、「消防救急デジタル無線機器の取引」および「中部電力(株)とのハイブリッド光通信装置および伝送路用装置の取引」それぞれについて、公正取引委員会から独占禁止法違反行為があったとして、排除措置命令および課徴金納付命令を受けました。

コンプライアンスは、NECグループの経営上の最重要課題の一つであり、これまで、徹底と内部統制システムの整備・運用に継続して取り組んできました。結果として、このような事案が立て続けに発生したことは誠に遺憾であり、深く反省しています。

これらの事案の発生を受け、私から全従業員に向けてコンプライアンスに関するメッセージを繰り返し発信するとともに、公正取引教育の内容・方法の見直しと公正取引に関する社内審査・モニタリング制度の強化を行い、グループ全従業員の意識改革をはかっています。当社は、これらの対応を一時的なものとして済ませるのではなく、今後もコンプライアンス体制の不断の見直しを行うことにより再発防止を徹底し、信頼回復に向けてたゆまぬ努力をしていきます。

NECの課題

当社は、これまでお客さまにとって価値のある商品やサービスを創造し提供することで事業を拡大してきました。かつては、それぞれの事業部門が有する優れた技術・製品がまさにお客さまにとっての価値となっていたため、それを磨けば磨くほど事業が拡大していました。しかし、お客さまや社会が求めるものは常に変化するとともに多様化しており、現在は、もはや単一の技術や製品が優れていれば事業を拡大できる、という考え方は通用しにくくなっています。

それに対してNECも、保有するさまざまなアセットを組み合わせ、工夫し、どの領域でどのような価値を提供していくのか、組織の枠を超えて全社レベルで考え抜かなければなりません。これは、NECの歴史の中でも大きな変化であり、この変化に対応してNECの次の成長を担う柱を作ることが、今のNECにとっての最大の課題です。

この課題を克服するため、当社はこれまでの中期経営計画の中で注力領域を設定し、リソースを割いて事業拡大を目指してきました。いくつか成果が出始めている領域もありますが、いずれもまだ本格的な拡大には至っておらず、次の成長を担う事業、世界に通用する事業の柱を作りきれていません。

では、この課題をどう解決するか。私は、この鍵となるのが経営のスピード感だと考えています。

スピード感のある経営とCEOの役割

この数年間、社会やお客さまは目まぐるしく変化しています。その変化に対して、当社のビジネス展開が対応できているかと問われれば、後追いになっている分野があることは否めません。NECが時代の流れに取り残されずに、社会の変化に追いつき、さらにはリードする立場へと自らを変革していくためには、経営のスピードを目に見える形で上げる必要があります。

こうした危機感のもと、当社は経営スピードを向上するため、組織の枠を超えて取り組むべき9つのテーマに対して任命した8名のチーフオフィサーへの権限委譲を進めています。CEOである私が結果責任を取るのは当然ですが、CEOが何でも決裁する姿は合理的ではありません。それぞれのチーフオフィサーが責任と権限を持って判断し、進められることはどんどん進めていかねばなりません。

これはチーフオフィサーだけを見据えた施策ではなく、チーフオフィサーが変化・進化していく姿を社内に示し、変革の象徴としていきたいという思いを込めています。最終的にはその姿勢を現場の一人ひとりにまで伝え、NECの文化として浸透させていきたいと考えています。自ら考え、自ら動く文化を醸成し、組織を活性化することがスピード感のある経営につながると信じています。

デジタルトランスフォーメーションの時代をNECが生き抜いていくためには、事業の形態だけでなく、個人の意識や会社の文化までもスピード感を持って変えていく必要があります。

その中で、NECをどう変えていくのか、NECがどのような方向に進んでいくのか、その道筋を決めること、そして、人事や組織、業務プロセスなど総合的に会社がうまく回るように文化を作りあげていくこと。これこそが、私がCEOとして成すべきことであり、最大の役割だと考えています。

CGO :チーフグローバルオフィサー CISO :チーフインフォメーションセキュリティオフィサー
CFO :チーフフィナンシャルオフィサー CSO :チーフストラテジーオフィサー
CTO :チーフテクノロジーオフィサー CMO :チーフマーケティングオフィサー
CHRO :チーフヒューマンリソーシズオフィサー CCO :チーフコンプライアンスオフィサー
CIO :チーフインフォメーションオフィサー    

収益性改善に向けて

当社は、「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー」をありたい姿として掲げています。しかし、当社がグローバルで戦える企業になるためには、現状の利益水準はまだ十分なものではなく、収益性をより高めていく必要があります。その改善に向けては、3つのポイントがあると考えています。

1つめは、内部努力を徹底することです。不採算案件などによって生じる無駄を徹底的に省き、抑えこんでいく必要があります。

2つめは、国内事業の収益確保です。国内市場は既に成熟しており、当社の国内売上は今後大きく変わらないと想定しています。一方で、お客さまは絶えず変化しており、国内のビジネスモデルは大きく変わっています。このような環境下で、NECとして既存事業をいかにして収益があがるビジネスモデルに変えてくかがポイントとなります。

3つめは、グローバル事業の考え方です。今後の売上成長を考えると、グローバル事業の拡大は避けて通れないものであり、これはNECのこれまでの中期経営計画でも掲げていたポイントです。しかし、グローバルに事業を拡大するうえでは、国内の成功モデルにとらわれていてはいけない、ということを肝に銘じなければなりません。グローバル事業を進めていくうえで、我々がこれまで国内事業で培ってきた価値観、時間感覚はいったん忘れて、グローバルで売上・収益双方があがるビジネスモデルを作り上げていく必要があります。そのためにも、注力領域として設定しているセーフティやSDN/NFVなどの中でどういった領域を攻めるのか、そうした見極めを、パートナリングやM&Aも視野に入れてスピード感をもって取り組んでいきたいと思います。

これらの3つは、それぞれ優先順位をつけるものではなく、NECの置かれた状況を考えれば同時並行で進めていく必要があります。NECはこれまでも営業利益率5%という水準を一つの目標として掲げてきましたが、これは我々が早い段階で達成しなければ淘汰される、という危機感とともにある目標です。まずはこれを早期に達成し、グローバルで競争できる水準まで引き上げていきたいというのが私の思いです。

共創による企業価値の最大化

デジタルトランスフォーメーションによって世の中は大きな転換期を迎えています。私たちは、これを単なるトレンドとしてではなく、産業構造を変えるほどの影響力を持った動きとして捉えています。デジタルトランスフォーメーションが進む中では新たなビジネスモデルやスキームが生み出され、NECが1社でできることはどんどん少なくなっていきます。これからは、いかにしてお客さまをはじめとするさまざまなステークホルダーと共創し、NECが提供する価値を最大化していくかという点が重要であり、日本だけでなくグローバルな視点での共創を、倫理観を持って、これまで以上に積極的に進めていきます。

最後に、繰り返しとなりますが、NECの従業員一人ひとりが倫理観を持ち、「コンプライアンス最優先」の誠実なマインドでフェアに行動すること。この積み重ねによって、ステークホルダーのみなさまの信頼を回復しながら、健全な企業として企業価値の向上に取り組んでいきます。

2017年7月代表取締役 執行役員社長 兼 CEO 新野隆