成長領域への投資や財務基盤の充実をはかりつつ、株主還元に努めることを資本政策の中心に据えて企業価値向上に取り組みます。代表取締役 執行役員常務 兼CFO(チーフフィナンシャルオフィサー) 川島 勇

2017年3月期の業績

当年度の売上収益は、2兆6,650億円と前年度に比べ1,598億円(5.7%)減少しました。これは、テレコムキャリア事業やパブリック事業が減収となったことなどによるものです。収益面では、営業利益は前年度に比べ496億円悪化し、418億円となりました。これは、販売費及び一般管理費の削減に取り組んだものの、売上の減少により売上総利益が減少したことなどによるものです。親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の悪化に加え、法人所得税費用が増加したことなどにより、前年度に比べ486億円悪化し、273億円となりました。この結果、自己資本利益率(ROE)は3.4%と、前年度に比べ6.1ポイント悪化しました。なお、当年度の年間配当金は、親会社の所有者に帰属する当期利益が計画比で減益となったものの、配当金総額を上回る利益を確保したことなどから、期初に公表した1株につき6円を実現しました。

売上高2016年3月期実績28,248億円、2017年3月期初計画28,800億円、実績26,650億円。海外収益2016年3月実績6,031億円、2017年3月期実績5,710億円。海外収益比率2016年3月期実績21.4%、2017年3月期自席21.4%。営業利益2016年3月期実績914億円、2017年3月期初計画1,000億円、実績418億円。売上高営業利益率2016年3月実績3.2%、2017年3月期初計画3.5%、実績1.6%。親会社の所有者に帰属する当期純利益2016年3月期実績759億円、2017年3月期初計画500億円、実績273億円。自己資本利益率(ROE)2016年3月期実績9.5%、2017年3月期3.4%

当年度末の財政状態

当年度末の総資産は、2兆6,840億円と前年度末に比べ1,551億円増加しました。流動資産は、現金及び現金同等物が増加したことなどにより、前年度末に比べ554億円増加し、1兆5,087億円となりました。非流動資産は、有形固定資産やその他の非流動資産の増加などにより、前年度末に比べ997億円増加し、1兆1,753億円となりました。

負債は、退職給付に係る負債の減少などにより、1兆6,679億円と前年度末に比べ238億円減少しました。有利子負債残高は、前年度末に比べ126億円減少の4,669億円となり、デット・エクイティ・レシオは0.55倍(前年度末比0.07ポイント改善)となりました。また、有利子負債残高から現金及び現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は前年度末に比べ602億円減少の2,270億円となり、デット・エクイティ・レシオ(NETベース)は0.27倍(前年度末比0.10ポイント改善)となりました。
資本は、非支配持分やその他の資本の構成要素が増加したことなどにより、前年度末に比べ1,788億円増加し、1兆161億円となりました。
この結果、親会社の所有者に帰属する持分は8,543億円となり、親会社所有者帰属持分比率は31.8%(前年度末比1.4ポイント改善)となりました。

当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは925億円の収入で、前年度に比べ53億円悪化しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは64億円の収入で、前年度に比べ386億円収入額が増加しました。これは、関連会社株式の売却による収入や子会社の取得による収入が増加したことなどによるものです。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは990億円の収入となり、前年度に比べ333億円改善しました。

資本の増加やキャッシュ・フローの改善には株式売却などの一時的な改善要因を含んでいますが、財務基盤は健全性を保っています。

「ネットD/Eレシオ」「自己資本、自己資本比率」「営業キャッシュ・フロー、投資キャッシュ・フロー、フリー・キャッシュ・フロー」のグラフ

2018 中期経営計画の見直しと次年度の取り組み

当年度の業績は、2018中期経営計画の初年度としての計画値を大幅に下回り、市場環境や顧客動向の変化に対応した「経営スピード」と「実行力」について課題を残しました。課題事業の変革も含めた国内事業の収益性改善と海外での成長を目指して新たな中期経営計画の策定を進める次年度は、新計画のスタートとなる2018年度に向けて、その土台を一層強固なものにするための大切な1年といえます。

次年度の売上収益は、公正取引委員会からの排除措置命令および課徴金納付命令を受けたことなどに伴う指名停止によるマイナス要因はありますが、注力事業(セーフティ事業、グローバルキャリア向けネットワーク事業、リテール向けITサービス事業)での拡大や日本航空電子工業(株)の連結化により、2兆8,000億円を目標としています。また、営業利益は、戦略投資や構造改革費用を織り込んだうえで500億円の利益を、親会社の所有者に帰属する当期利益は300億円をそれぞれ目標としています。成長のための戦略投資や構造改革という「攻め」の施策を計画通り実行する一方で、コンプライアンス遵守を含めた「守り」の面では不採算案件の改善や効率化の成果を確実にあげ、1株につき6円*の年間配当を継続することで、みなさまからの信頼を回復したいと考えています。

*2017年10月1日を効力発生日とする株式併合が行われた場合、1株につき60円