Please note that JavaScript and style sheet are used in this website,
Due to unadaptability of the style sheet with the browser used in your computer, pages may not look as original.
Even in such a case, however, the contents can be used safely.

法人向け蓄電システムの普及に向けて

地震、竜巻、ゲリラ豪雨など頻発する自然災害への備えとして、停電リスクに対応した蓄電システムのニーズが高まっています。NECグループは1990年代からリチウムイオン電池の開発に取り組んできた技術力とノウハウを活かし、安全性の高い法人向け蓄電システムを開発しました。すでに多くの企業・自治体が導入し、BCP/DR対策の強化を実現しています。その一方で、ビルや地域全体のエネルギー利用の最適化を図る実証実験を各地で推進。災害に強い強固な社会インフラと最適なエネルギー社会の実現を目指しています。


エネルギーインテグレーション事業部
シニアエキスパート
原田 季和
(2013年11月14日「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2013」より)


停電時の備えとして期待が高まる定置用蓄電システム

近年は気候変動による自然災害が各地で発生しています。自然災害によって引き起こされる深刻なリスクの一つが停電被害です。2013年9月には埼玉県で発生した竜巻で付近一帯の約3万世帯が停電しました。また、伊豆・大島に甚大な被害をもたらした台風26号は首都圏にも影響を及ぼし、都内では約1,000軒が停電。東京23区内でも最長6時間の停電が発生しています。

電力供給に影響が出ると、社会生活が混乱し、企業活動もストップします。事業継続計画(BCP)や災害復旧(DR)の一環として、緊急時に備えた電源を確保しておくことは企業や自治体にとって必須の課題といえるでしょう。そこで注目されているのが、蓄電システムです。

蓄電システムの製品化に向けて、NECはグループを上げて1990年代から四半世紀にわたってリチウムイオン蓄電池の開発に取り組んできました。特にマンガン系リチウムイオン電池については世界初の量産化に成功した実績もあります。身近な例では日産自動車の電気自動車(EV)「日産リーフ」に、NECのリチウムイオン電池が採用されています。



NECの法人向け蓄電システムは「高い安全性」と「安心の保守サポート」が強み

こうした技術と実績を活かし、NECは法人向け蓄電システムを製品化しました。ラインナップは5.53kWh出力の「小型蓄電システム」、より大出力を実現した「20kWh蓄電システム」、250kWhの大出力を実現したカスタム製品の「大型蓄電システム」があり、多様なニーズに対応できます。

最大の特徴は「高い安全性」と「安心の保守サポート」です。安全性については発熱を抑えるために、発電素子に優れた放熱性を持つラミネート型・積層式セル構造を採用。電池のコア部材には安全性の高いマンガン系材料を使用し、電池の構造と材料の両面から発熱・発火への安全対策を講じています。その安全性は公的機関からも高く評価されており、蓄電システムの安全性認証であるJET(SBA S1101)認証、S-JET認証などを取得しています。

筺体は二重構造になっており、筐体内部を密閉構造にすることで、万一の内部発火時も自動鎮火する仕組み。さらに内蔵のセンサーにより、蓄電システムの状態をインターネットで24時間365日、常時遠隔監視しています。万一の異常発生時には、クラウド上から即座に保守センターへ自動通知され、遠隔メンテナンスを実施します。

保守サポートについては全国に約700拠点を配備。お問い合わせや不具合などの発生時には最寄りの拠点からエンジニアが現場へ急行し、迅速に対応にあたります。


NECの蓄電システムの特徴

正極材料には安定性の高いマンガン系スピネル材料を採用し、放熱性に優れたラミネート型・積層式セル構造にすることで、高い安全性と長寿命を実現している。この技術によって開発されたNECの電極(電池の性能を決めるキーデバイス)は日産リーフに搭載されている


蓄電システムの「安心」を支えるサポート体制

蓄電システム内のセンサーから得られたデータはNECのクラウドに蓄積される。サポートセンターではインターネットを通じてシステムを常時監視しているため、利用状況のお問い合わせにも迅速に対応できる。異常があれば、センターから遠隔でメンテナンスを行う



災害時の地域拠点として、近隣住民向けに安心と利便性を提供

こうした点が評価され、NECの法人向け蓄電システムはすでに複数の企業・自治体で導入が進み、停電リスクを回避するBCP/DR対策に貢献しています。

BCP対策を実現した一例として、福岡市に店舗を構えるドコモショップ田川バイパス店様をご紹介します。2012年に福岡市を襲った集中豪雨による停電被害を教訓として、同店は新規オープンに伴い、NECの蓄電システムを導入しました。携帯電話はいまや重要なライフライン。安否確認や情報の共有・収集には欠かせないツールです。緊急時には蓄電システムを使って地域住民向けに充電サービスを開放するお考えです。

自動車用品販売のイエローハットグループの一員であるホットマン様もBCP対策に積極的に取り組んでいます。仙台市を拠点とする同社は東日本大震災時の停電の影響で、従業員の安否確認や店舗との連絡が取れずに2日間、孤立状態に陥りました。その経験から、NECの蓄電システムを導入。これにより、停電時でも店舗への連絡や情報収集が行えるようになったほか、重要機器をバックアップ運用できる環境が整い、本社機能の維持が可能になりました。

一方、DR対策に蓄電システムを活用しているのが、神奈川県立相模三川公園様です。同公園では、太陽光発電とNECの蓄電システムを組み合わせた“地産地消エネルギー”を実現。災害時でも継続して電力供給を維持することにより、避難者に対する利便性と安全性の向上を図っています。


蓄電技術とICTの融合により、地域全体での需給調整やピークカットを目指す

蓄電システムの活用領域はBCP/DR対策だけではありません。NECは蓄電システムとICTを活用した、新しいエネルギー社会の実現に向けた取り組みを行っています。その目的は、蓄電システムとクラウドを連携し、電力供給や需要状況などの収集・可視化・分析・制御を行えるようにすることです。これにより、エネルギー供給が逼迫している場合は重要拠点に系統電力の供給を優先し、それ以外の拠点は蓄電システムの電力を供給するといった柔軟な運用が可能になります。

実現に向けた取り組みも着実に進行しています。その一つが、横浜スマートシティプロジェクトの一環として取り組んだ2つの実証実験です。明電舎様とNECが共同で進めた商工業用蓄電システム実証実験(BEMS連携)では、横浜みなとみらいのショッピングセンター屋上に系統電力、250kWhの蓄電システム、ガスコージェネレーションシステムという3種類の電源設備を整備。エネルギーのベストミックス(複数のエネルギーをそのときの状況に応じて最適に利用すること)による再生可能エネルギーの効率的な活用、時差運用によるピークカット/ピークシフトを実現しました。

次に、EV向け次世代サービスステーションにおける蓄電・充電統合システム(BCIS: Battery & Charger Integration System)の実証実験も、JX日鉱日石エネルギー様、東京工業大学様と共同で進めています。実験では、50kWhの蓄電システムと系統電力につながる急速充電器を2基導入。蓄電システムと系統電力をコントロールしながら、複数EVへの同時充電を実現しています。実験は今も継続中で、充電時間短縮や充電電力のピークカット効果を検証しています。将来的にはこの実験で使用しているBCISを地域の電力需給調整に役立てることも考えています。

最後に紹介したいのが、オリックス様と共同で行っている、分散型エネルギー管理・制御システムに関する実証実験です。これは分散配置した蓄電システムの統合制御を目指すもの。東北地区の店舗やオフィス、スポーツ施設など5か所に分散導入した蓄電システムおよび太陽光発電を、クラウド型システムを介してリモート管理・制御し、地域のピーク時における電力を抑制します。系統電力の消費に合わせた時間帯別電気料金の導入や、ピーク抑制に対するインセンティブ制度の実現を目指すのが狙いです。

このようにNECは蓄電システムを通して、企業・自治体におけるBCP/DR対策や新しいエネルギー社会の実現に貢献しています。今後も蓄電システムの導入や実証実験を通じて、性能・技術の向上を継続的に推進。将来的には地域全体の蓄電システムをクラウドで統合制御できる仕組みを構築し、災害に強い強固な社会インフラと最適なエネルギー社会の実現を目指します。


実現を目指す新しいエネルギー社会

系統電力、再生可能エネルギー、蓄電システムを活用し、複数施設間の連携による電力の利用を制御。地域全体で需給調整やピークカットを実現し、エネルギー供給の最適化を目指している