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「インダストリー4.0」実践の第一歩、現場のデータ取得のカギを握る技術とは?

2015年12月28日

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ドイツ連邦政府が主導するものづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」、米国主要企業が取り組むIICなど、IoTを活用した製造業革新の動きが加速してきた。これらに対し、ICTやIoTを導入した製造現場の実現を考えた時、まず突き当たるのが「現場の情報をどう取得するか」という問題だ。


ドイツ連邦政府が主導するものづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」、米国主要企業が取り組むIIC(インダストリアルインターネットコンソーシアム)など、IoTを活用した製造業革新の動きが加速してきた。これらの取り組みのカギを握るのが「サイバーフィジカルシステム」という考え方だ。サイバーフィジカルシステムとは「フィジカル(現実の世界)」の情報を「サイバー(コンピュータの世界)」に取り込み、コンピューティングパワーで分析して得た知見を、現実の世界に再度フィードバックする。これにより最適な結果を現実の世界で得るというものだ。

実はこのサイバーフィジカルシステムを目指す上で、すぐ直面する課題となるのが「いかなる手段によって、“モノ”や“コト”をデータ(情報)に変えて、現場の実態を把握(見える化)するのか」という点だ。

大量の「現実世界」の情報をデータ化するポイントは“画像認識”

「現実世界」の情報を、データ化する手段としては、マシンデータを利用する方法がある。装置による生産が主流の状況であれば問題ない。ただし、そのためには膨大な数のセンサーやICタグを現場の隅々にまで配置したり、個々の製品に添付(貼付)したりする必要がある。加えて、これらの部材から生成されるデータを受け取る無線リーダー装置なども必要となり、大きな設備追加が避けられない。また、現状のセンシングで取得するのが難しい情報のデータ化は不可能だ。

そこでマシンデータを補完する、もう1つの方法として注目が集まっているのが“画像”の活用だ。現場の“モノ”や“コト”をありのままに捉えてデジタル化する。カメラ技術の進化により画像の取得技術が急速に進歩している他、「その画像がどういう意味を持つか」という画像認識技術の進化も目覚ましく、画像を撮影するだけで一度に大量の現場情報をデータ化できる。

図版IoTによるデータ取得の流れ

人間の視覚に相当する画像は、多様な情報を保有する。そのため“作る現場”から“運ぶ現場”まで幅広い応用が期待できる。実はその画像認識技術で世界でも高い評価を受けているのがNECである。

実際にNECでは、世界最高水準の画像認識技術をパッケージ化し、クラウドで身近に提供できる画像認識サービス「GAZIRU」として提供。製造業、流通業、報道など広い分野で高い評価を得てきた。さらに、このGAZIRUと各種技術を組み合わせることで、経済的で容易な画像認識技術の導入を可能にしており、高度な技術を身近な問題の解決策として利用できることを強みとしている。

一方、NECでは2015年6月にIoTを活用した製造業の革新を支援する「NEC Industrial IoT」を発表。ものづくりのノウハウからIoT関連技術まで総合的にサポートしていく方針を示している。製造業革新の動きは、ドイツのインダストリー4.0や米国のIICの他、企業レベルでもさまざまなグループが生まれているが、その中でNECが競合他社になく、そして今後製造業の革新を実現するカギを握る強みとして挙げたのが「画像認識技術」である。

「今ここにある問題」を解決する画像認識

NECは、郵便関連の読み取り技術からスタートし、文字認識技術や指紋認証技術、顔認証技術など世界最高水準の認識技術を多数保有する。半世紀にも及ぶ技術開発の中、現在も絶え間ない革新を続けており、生み出される技術は多岐にわたる。この技術の蓄積は将来的な「次世代ものづくり基盤」を視野に入れつつ、製造現場における「今ここにある問題」の解決にも大きく貢献している。

図版画像活用により製造業で生み出される効果

グローバル化や全世界における共同調達、モジュール化などの世界的なものづくりの動きから「安心・安全」に対する重要性はかつてないほどの高まりを見せている。世界のさまざまな地域から調達した1個の小さな部品の不良や作業ミスが、重大な事故や製品欠陥を引き起こす可能性が生まれているのだ。

とはいえ、例えばネジのような部品に識別タグを付けたり、特殊加工を行ったりするのは困難で、何よりコストが見合わない。これらの課題は実は画像認識技術を活用することで解決できるという。

写真:NEC グローバルプロダクト・サービス本部 ITネットワークソリューション部マネージャー 西田 諭 NEC
グローバルプロダクト・サービス本部
ITネットワークソリューション部マネージャー
西田 諭

例を挙げてみよう。NECが打ち出したのは、一つ一つのモノを識別する「物体指紋認証」と呼ばれる技術である。NEC グローバルプロダクト・サービス本部 ITネットワークソリューション部のマネージャー、西田諭氏は「生物だけでなく、実はモノにも個体固有の特徴が存在します。製品や部品の製造時に表面上に自然発生する微細な紋様で、これをNECでは『物体指紋』と呼んでいます。これを用いれば、同じ金型から作られた工業製品かどうかを判断できます。さらには、同じ金型から作られた部品の個体差まで見分けることができます」と説明する。

もちろん、これまでも電子顕微鏡などの特別な装置を使えば、同様の個体識別も不可能ではなかった。NECの物体指紋認証技術が世界的に見ても非常にユニークで優れているのは、それをスマートフォンなどに搭載された一般的なカメラを用いて実現したことにある。大量生産品の製造元を識別する際にも、少量のサンプルを登録するだけで、全品の製造元を判別することができる。ちなみに、金属やプラスチック製のボルト1000個に対して、それぞれ1000回の識別(トータル100万回の識別)を行った実証実験の結果によると、認証スピードは約1秒で、認証率は100%だったという。

「個体そのものを認識するため、バーコードやICタグなどの作り込みは不要です。登録・認証用デバイスも容易にそろえることができる低コストかつ汎用的な個体識別のソリューションとして、工場や物流の現場に幅広く利用できます」と西田氏は強調する。実際にNECの物体指紋認証技術には、既に多くの引き合いが寄せられており、例えば以下のような活用が考えられているという。

  • 部品の流通管理(トレーサビリティ):バッグや財布など服飾製品の部品の「物体指紋」を登録・認識して個体を識別。これにより、いつ、誰が、どの店舗で購入したかなど、製品のトレーサビリティを向上する。販売店・製造ルートの特定による製品保証の信頼性向上、製品のプロモーションなどにも活用が可能だ
  • 製品の正当性判定:工業用機械に付与されるエンブレムやロゴマークの「物体指紋」を登録・認証して個体を識別。これにより、特殊な識別用タグやシリアルナンバーがなくても、製品の真贋判定が可能となり、低コストかつ効率的な模造品対策、ブランド保護を実現する
  • 部品確認、保守・点検作業の支援:先に述べたネジやボルトのように識別用タグやシリアルナンバーを付けることが困難な小部品の「物体指紋」を登録して認識。これにより部品管理をIT化し、部品の形状・長さなどの確認を、取り付けた後でも外すことなく可能とする。また、保守・点検作業の効率化や付け間違いによる事故の防止にも貢献する

現場・現物・現状のデジタル化

設備保全や保守点検などの現場業務における、作業性向上や未熟練者向けサポートを目的とした画像活用では、ウェアラブル端末を利用した遠隔業務支援システムにも注目が集まっている。

複数の現場作業者が装着したグラス型ウェアラブルデバイスの映像や音声を、遠隔地にいる管理者のPCにストリーミング送信して共有。管理者は作業者に対して音声でリアルタイムに指示する他、キャプチャーした画像にテキストやイラストを書き込んでフィードバックし、より詳細に手順などを説明することもできるというシステムだ。

こうして経験の浅い新人や外注作業者のスキルを補完するのである。また、作業者の位置を常時ビーコンで把握しており、例えば、誤って危険ゾーンに踏み込んでしまった場合など、自動的にアラームを表示して安全を確保する。

「同様の遠隔業務支援システムは、作業現場の要所要所に貼り付けられた『マーカー』を読み取ることで行われるのが一般的でした。しかし、過酷な環境の中で剥がれてしまう、正面から読み取らないと正確に認識できないといった弊害もしばしば起こっていました。今回NECが開発した遠隔業務支援システムは、『マーカー』方式に代わり得意とする画像認識技術を活用し、AR(Augmented Reality:拡張現実)と組み合わせることでこの問題を克服しました」と西田は語る。

この他にも、作業者の動きをカメラで読み取って作業環境の改善を支援する「動線把握システム」、計器表示版の文字をカメラで読み取ってリアルタイムに実績管理を行う「計器文字読み取りシステム」といった画像活用のソリューションなどの実用化を進めている。

「工場の生産ラインをはじめ、設備保全や保守点検などの多くの現場が、作業者自身の属人化された熟練によって成り立っているのが実態です。NECの画像認識技術は、作業者個人にプロフェッショナルとしての熟練を要求しません。言い換えれば誰でもプロフェッショナルと同等の作業を遂行できる、高品質で安全な現場を実現できます」と西田は語る。

“運ぶ現場”で検品作業をオートメーション化

さらに、NECの画像認識技術は“作る現場”から“運ぶ現場”へと、適用領域のさらなる広がりを見せ始めている。「画像・重量検品ソリューション」は、そうした画像活用のダイナミズムを象徴する代表的な取り組みだ。

写真:NEC システムデバイス事業部 技術部長 近藤 克彦 NEC
システムデバイス事業部
技術部長
近藤 克彦

企業活動のグローバル化や国際間取引の増加、通販市場の拡大などにより、小口貨物の取扱量が急増するとともに荷物が多様化している。NEC システムデバイス事業部の技術部長である近藤克彦氏は、物流現場の大きなテーマとして「サービスの多様化」「省力化コストダウン」「品質維持」が浮上している現状を踏まえつつ、「物流工程全体でオートメーション化が進む中で、まだまだ手作業が多い検品作業の効率化が急務になっています」と語る。

この課題に応えるために開発されたのが「画像・重量検品ソリューション」である。近藤氏によると、同ソリューションは以下のような3つの機能から構成されている。

  • 画像自動検品機能:画像認識技術を初めて物流現場で実用化したもので、バーコードなどの商品識別情報を持たない荷物についても、品目を即座に特定する。荷物を斜めに置いたり、一部が隠れていたり、はみ出している場合でも許容しながら照合できる
  • 重量(数量)自動検品機能:重量計で計測した商品重量とあらかじめ登録しておいた商品重量情報を照合し、商品の数量間違いを即座に特定する
  • 目視検品サポート機能:外見の特徴が少ない、違いがほとんどない商材が複数存在するなど、自動認識の対象外となる荷物については、商品画像と注目すべき領域(チェックポイント)をディスプレイに表示。自動検品と同じ流れの中で、商品画像と現物を簡単に比較することができ、目視検品の精度と効率を向上する

画像・重量検品ソリューションは、既にヤマトシステム開発株式会社に導入され、実際の現場業務で大きな成果を上げている。「顧客側で導入効果を試算したところ『従来よりも2割ほど少ない人数で検品作業が可能となった上、時間もコストも約2割削減』という結果を得ることができました。また、これまで検品に関わっていたオペレーターを、別の仕事にシフトできるというメリットも生まれています」と近藤は語る。

2015年7月23日には新たに、食品・飲料品・医薬品など立体物の商品の自動検品を可能なシステムを発表。2015年度第4四半期から提供を開始するとしている。

写真立体物の商品を自動検品する「画像・重量検品ソリューション」

画像がもたらす手順の簡略化

次世代ものづくり基盤を求める動きもあり、将来的にこれらの「データ化」の動きは今後ますます強くなってくるものとみられている。画像認識技術を活用することで、これまで不可能と思われてきたモノやコトも含めて、「つながる工場」が現実的に負担を軽く実現することが可能になる。世界最高水準の画像認識技術を持ち次世代ものづくり基盤への取り組みを行う一方で、さらに「今効果を発揮する」ソリューションを豊富にそろえるNECは安心できる先導役になってくれることだろう。

(2015年12月28日)

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