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電力システム改革に伴う新たな市場の誕生

第1回
新規参入者の事業ノウハウ充足ニーズに商機

2015年9月8日

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電力システム改革後の電力市場では、ICTがより重要に

「電力システムに関する改革方針」(2013年4月2日)に基づき、電力システム改革が急ピッチで進められている。これまでのところ、電力会社の管轄区域を超えた電力の効率的な融通を実現するための広域的運営推進機関の設立など、段階的に改革案が実行に移されてきており、足元では2016年4月に予定されている電力小売業への参入の全面自由化に向けた制度の詳細設計がなされているところである。2016年4月の電力小売の全面自由化に続き、2018年~2020年を目途とする送配電部門の法的分離および電気小売料金の全面自由化を経て、日本の電力市場は諸外国と同様に、送配電部門の法的分離および一般電気事業者と新規参入者との間の非対称規制の撤廃により、完全なる自由化が実現される見通しである。

電力システム改革と並行して、電力市場におけるICTの活用は、より一層進む見通しであり、こうした要因も今後の電力市場に大きな影響をもたらすと考えられる。2013年6月14日に発表された日本再興戦略では、クリーンかつ経済的なエネルギー需給を実現するために、①クリーンで経済的なエネルギーが供給される社会、②競争を通じてエネルギーの効率的な流通が実現する社会、③エネルギーを賢く消費する社会を構築することを掲げている。特に「賢い消費」を実現するうえで、これまでに実施されてきた各種のスマートコミュニティ実証の成果の活用(デマンドレスポンスなど)、家庭や工場へのスマートメーター導入促進(2020年代早期に全戸導入)およびスマートメーターの導入と並行したエネルギー・マネジメント・システム(HEMS、BEMS等)の導入促進、スマートメーター、HEMS等を活用した多様な電気料金メニューの設定・拡充の促進が政策として掲げられている。

図版[拡大する]拡大する図表-1 日本再興戦略における戦略市場創造プラン

出所:日本再興戦略を基に日本総研作成

諸外国では、電力自由化・発送電分離がなされた後、通信・ICT分野の技術革新に影響を受け、スマートメーターの導入、デマンドレスポンスの商用化などが図られており、電力市場において情報通信・ICTは、段階的に導入されてきた。一方で日本においては、電力システム改革と情報通信・ICTの導入がほぼ並行して進んでおり、電力システム改革後には、情報通信・ICTが必要とされる新たな市場が生まれると考えられる。

図版[拡大する]拡大する図表-2 電力システム改革後の電力市場セグメント

出所:日本総研作成

このような事業環境の変化を見据え、電力市場に参入意向を示す企業が続々と登場しており、新電力による販売電力量のシェアも一貫して増加傾向にある(2015年6月末時点で、特別高圧+高圧契約における新電力の販売電力量シェアは6.9%)。

今後の電力市場ではICTを活用したエネルギーマネジメントやデマンドレスポンスの普及も進むと考えられ、従来からエネルギー事業を手掛けてきた一般電気事業者、新電力、都市ガス事業の他、流通・小売事業者、家電メーカー、ハウスメーカー、通信キャリアといった異分野からの参入が進むだろう。

図版[拡大する]拡大する図表-3 現状の自由化領域における新電力シェア(販売電力量ベース)

出所:資源エネルギー庁「電力調査統計」を基に日本総研作成

新規参入者は、事業運営ノウハウの充足がポイント

電力小売事業は、図表-4に示すバリューチェーンで構成される。

  1. 顧客獲得
    広告宣伝や営業活動による顧客開拓
  2. 電源調達
    必要な電源(容量・需要曲線)の同定を行ったうえで、自社で電源を保有して電力供給を行う他、一般電気事業者からの常時バックアップや、卸電力・新電力・電力取引所から、必要な電力量を調達
  3. 送配電
    一般電気事業者の送配電部門へ委託(託送料を支払う)
  4. 検針
    一般電気事業者の送配電部門から検針データを受領
  5. 需給管理
    電力需要量と供給量のバランス制御(現在は30分毎の実需での同時同量だが、電力システム改革により計画値に対する同時同量の制度に切り替わる予定)
  6. 課金・徴収
    検針値に従い、料金計算・課金請求を行い、口座振替、クレジットカードなどで決済を行う
  7. 顧客対応
    トラブル時のカスタマーサポート 等

図版[拡大する]拡大する図表-4 電力事業のバリューチェーン

出所:日本総研作成

上記のバリューチェーン上の機能・ノウハウの充足状況から、電力市場への新規参入者を分類すると、大きく次の2つの類型に分類される。

  1. に既存の自由化領域において電力事業を実施しており(PPS(Power Producerand Supplier 特定規模電気事業者 )ノウハウ有り)、新たに低圧・家庭向けの電力事業を開始しようとする事業者(都市ガス事業者、石油元売など)
  2. 多数の需要家を抱えており、本業の付帯事業として、新たに電力事業の提案を行おうとする事業者(通信、LPガス、電機メーカー、ハウスメーカー、自動車メーカー、小売事業者など)

前者における事業運営上の課題は、低圧・家庭向けの顧客に対するアプローチである。そのため、今後は低圧・家庭向けの顧客基盤を有する通信・流通等の事業者と、特別高圧・高圧市場でPPSノウハウを有する事業者の提携がより一層、進展するだろう。

後者における事業運営上の課題は、まずもって電力事業の運営ノウハウ(電源調達、需給管理)の獲得であり、次いで低圧・家庭向けの電力供給に関する顧客管理、課金徴収スキーム/システムの整備である。また、単に機能を充足するだけでなく、実際のオペレーションを通じて、事業ノウハウを充足していくことも必要である。特に需給管理においては、需要予測を通じて実需を正確に予測し、インバランスの発生率を抑制することが、電力小売事業の収益に大きな影響を及ぼし得る。

図版[拡大する]拡大する図表-5 新規参入事業者の電力事業ノウハウの充足状況

出所:日本総研作成

NECの貢献可能性

こうした新規参入事業者の課題に対して、NECの持つ「電力サプライヤーソリューション」は非常に有効だろう。

NECの電力サプライヤーソリューションでは、新規に電力小売事業を始める事業者が必要なシステムをまとめて提供するとともに、電力自由化によりもたらされる様々な新ビジネス事業者をサポートする。

その中心的なソリューションが電力需給管理システムだ。NECの電力需給管理システムは従来から実績のある電力事業者向け顧客情報管理システム(電力CIS)と連携でき、これまで金融等のミッションクリティカルなインフラ分野で培ったICTに基づき、需要家毎の予測補正機能を備えた精緻な需要予測支援機能や、インバランス発生原因の特定機能を備えており、事業運営経験が浅い事業者にとって収益に大きな影響を及ぼすインバランス料金の発生を抑制することが期待できる。さらに、新制度である計画値同時同量に対応し、電力需給量の迅速な把握や、1時間前市場の入札を可能とする機能を備えるとともに、電力需要予測ソリューション、太陽光発電予測ソリューションなど、他のエネルギーマネジメントシステムとの連携により、インバランスを抑制し、新電力事業者の利益拡大に貢献する。

NECの電力サプライヤーソリューションは、オンプレミス型(パッケージ)に加えクラウドサービスでも提供を予定だ。

図版[拡大する]拡大するNECの電力需給管理システム

(2015年9月8日)

著者プロフィール

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段野 孝一郎(Koichiro Danno)
株式会社日本総合研究所 総合研究部門 ディレクタ/プリンシパル
京都大学大学院工学研究科博士前期課程修了(工学修士)
技術戦略及びマーケティング戦略の観点に基づき、エネルギー(電力・ガス・再生可能エネルギー)、環境、情報通信・ICT、交通、水道などの社会インフラ分野における経営戦略・事業戦略、新規事業開発に関するコンサルティングを実施している。

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