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エネルギー革新戦略が目指す新たな市場創造

第1回
再生可能エネルギーの導入拡大に向けた課題と展望

2016年3月4日

エネルギー革新戦略が目指す新たな市場創造

2013年6月14日、安倍首相が設置した日本経済再生本部から「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」が発表された。日本再興戦略では、健康長寿・エネルギー・次世代インフラ・地域資源の4分野を戦略市場と位置付け、日本の成長をリードする新市場創造を目指すことを掲げた。このうち、エネルギー分野については「クリーン・経済的なエネルギー需給の実現」が目標として掲げられ、1.クリーンで経済的なエネルギーが供給される社会、2.競争を通じてエネルギーの効率的な流通が実現する社会、3.エネルギーを賢く消費する社会を構築することが掲げられた。

その後、日本再興戦略は二度の改訂(2014年6月24日「日本再興戦略改訂2014-未来への挑戦-」、2015年6月30日「日本再興戦略改訂2015-未来への投資・生産性革命-」)を経て、着実に進められてきた。エネルギー分野では岩盤規制改革の一環として、実に60年来ともなる電力システム・ガスシステム改革が行われてきた。今後は、成長戦略を加速する官民プロジェクト「改革2020」の6つのプロジェクトのうちの1つとして、技術等を活用した社会的課題の解決ならびに課題解決のためのシステム・ソリューション輸出を実現するために、「分散型エネルギー資源の活用によるエネルギー・環境課題の解決」が実施される計画である。

こうした状況の中、日本再興戦略改訂2015で謳われている「未来への投資・生産性革命」の一翼を担うべく、資源・エネルギー政策を所管する資源エネルギー庁において「エネルギー革新戦略」が策定された。下記の3つの目標を通じて、エネルギー投資の拡大を通じた経済成長とCO₂排出抑制の両立を目指すものである。

  1. エネルギーシステム改革の実行とエネルギーミックスの実現を通じたエネルギー投資の拡大
  2. エネルギー投資の拡大によるGDP600兆円達成への貢献
  3. エネルギー投資の拡大によるエネルギー効率の向上及びCO₂排出抑制

上記目標の実現のために、1.徹底した省エネルギー化、2.再生可能エネルギーの導入拡大、3.新たなエネルギーシステムの構築を行うことを掲げている。こうした施策によって、日本でも省エネルギー関連市場、再生可能エネルギー関連市場、そして新たなエネルギーシステム市場は、さらに大きく成長していくものと考えられる。

[拡大する]拡大する図表-1 エネルギー革新戦略における主な検討課題

出所:資源エネルギー庁「エネルギー革新戦略の検討状況」(平成27年12月)を基に日本総研作成

中長期的にCO₂を削減していくに当たり、再生可能エネルギーの導入は引き続き重要な施策として位置づけられている。2014年7月、2030年のエネルギーミックスが公表されているが、2030年の電源構成目標は、石油火力:3%、石炭火力:26%、LNG火力:27%、原子力:20~22%、再生可能エネルギー:22%~24%とされており、2030年に向けて再生可能エネルギーの導入を進めていくという政府の姿勢が示された。

[拡大する]拡大する図表-2 2030年のエネルギーミックス

出所:経済産業省「長期エネルギー需給見通し」(2015年7月)

変局を迎える再生可能エネルギー市場

日本政府は、CO₂削減を目的として、1997年に「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法による補助金」を施行した。その後、一般電気事業者に対するRPS法(Renewable Portfolio Strategy)の施行による一定量の再生可能エネルギーの調達義務化、2009年からの太陽光発電システムの余剰電力(=太陽光発電システムの導入量-自家消費量)に対する固定買取制度の適用が開始された。そして2012年、太陽光発電システムの他、風力、水力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーに対して、発電種別・規模別に一定期間・一定価格で買い取る固定買取制度(通称:FIT制度(Feed-in-Tariff))の施行に至った。

以上のような制度の変遷を経て、日本における再生可能エネルギーの導入は着実に拡大してきた(図表-2)。しかし、FIT制度導入以降、他の電源と比べて相対的に買取価格が高く、かつ開発期間が短いメガソーラーに投資が集中した結果、太陽光発電の設備認定量が急増した。

[拡大する]拡大する図表-3 我が国における再生可能エネルギー導入状況

出典:JPEA出荷統計、NEDOの風力発電設備実績統計、包蔵水力調査、地熱発電の現状と動向、RPS制度・固定買取制度認定実績等により資源エネルギー庁作成

太陽光のように、天候等によって出力が急激に変動する電源の場合、短周期での出力変動と長周期での出力変動への対応が課題となる。北海道電力のように、地域内の送配電の容量が十分に大きくない場合、曇天等による日射量の変動に伴う発電量の急峻な変動を発電機の出力調整で吸収できなくなる場合があり、系統の周波数調整に影響が生じる。また、九州電力のように、地域内の送配電の容量が十分であっても、特定の送配電区域内に集中して太陽光発電が導入されることで、太陽光の出力低下にそなえてバックアップ電源を具備しなければならないなど、需要と供給のバランス確保に影響が生じる。

[拡大する]拡大する図表-4 再生可能エネルギーの導入に伴う課題

出所:九州電力及び北海道電力公表資料を基に日本総研作成

このような状況の中、系統安定化の確保のため、経済産業省は2014年1月に省令改正を行い、東京電力、中部電力、関西電力を除く電力7社を指定電気事業者とし、従来の30日という上限枠を超える無制限、無補償の出力制限を認め、この条件に従う限りにおいて、接続を受け入れることとなった。

求められる出力制御への対応

本省令改正を踏まえ、一般社団法人太陽光発電協会は、九州電力を始めとする指定電気事業者管内の再生可能エネルギーの系統接続量の増加に伴う出力制御に関するシミュレーションを公表しているが、九州電力管内においては、系統接続量が1,300万kWに至った段階で、10kW以上の太陽光は実に年間23.4%も出力が制御される結果が報告されている。再生可能エネルギー事業者にとっては、系統接続条件への対応や、出力制御への対応が必要になる。

[拡大する]拡大する図表-5 九州電力管内における太陽光の出力制御シミュレーション
(ベースロード:477万kW)

出所:一般社団法人太陽光発電協会
「系統接続制約問題の影響度を判断するための『出力制御シミュレーション』について」

長周期変動に対応した出力制御方法は、現在、経済産業省・総合資源エネルギー調査会・省エネルギー・新エネルギー分科会・新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループにて議論されているところ。出力制御指令に関して、全ての事業者が公平に扱われることを念頭に置き、1日毎あるいは1時間毎など、出力制御指令対象電源を切り替えていくような交代(輪番)制御が想定されている。

表-6 出力制御の考え方

(1)出力制御対象全ての事業者の年間出力制御日数が30日に到達するまで

  • 旧ルールと指定ルール事業者間の公平性確保の観点から、両事業者を区別せず、制御が必要な日毎に出力制御対象事業者を順次交替する制御方法により、年度単位で、両事業者の制御日数が同等となるよう調整を行う
  • 10kW未満太陽光(住宅用)の出力制御は、省令改正の趣旨を踏まえ、10kW以上太陽光の出力制御を行った上で実施する。

(2)出力制御対象全ての事業者の年間出力制御日数が30日に到達した以降

  • 旧ルール事業者に対して、指定ルール事業者の制御日数が大きく増加しないよう、出力制御は、年度単位で、旧ルール事業者の制御日数上限30日を最大限活用することを基本とする。〔出力制御機会差(日数・時間)が極力小さくなるよう努める
  • その実施にあたっては、年度当初は、接続可能量算定における出力制御の考え方に基づく必要制御量(kW)の配分により、旧ルール事業者と指定ルール事業者の出力制御を進め、年度末に向けて、旧ルール事業者の出力制御量を30日一杯となるよう調整を行う。
  • 10kW未満太陽光(住宅用)の出力制御は、省令改正の趣旨を踏まえ、10kW以上太陽光の出力制御を行った上で実施する。

出所:資源エネルギー庁・系統WG・九州電力「出力制御ルール、
出力制御見通し算定の考え方について」(2015年2月17日)日本総研作成

今後、出力制御のあり方は事業者間に出力制御機会差が生じないように、運用を通じて徐々に改善が行われていくことが想定される。

一般電気事業者の送配電部門にとっては、技術革新の動向を踏まえながら、現状の交代制御から、日射量等を考慮した最適制御の採用など、なるべく発電事業者間で出力制御機会の差が生じないように運用を行っていく方向が模索されるだろう。

一方、発電事業者あるいは発電事業者グループにおいても、一般電気事業者の送配電部門の出力制御ルールの動向を見据えながら、売電機会の向上や、蓄電池容量の最適化等を図っていくことが必要になることが想定される。

再生可能エネルギー導入拡大に向けたNECの取り組み

[拡大する]拡大する図表-7 再生可能エネルギー発電の抑制のための出力制御技術

NECでは、このような出力制御ルールを見据え、「再生可能エネルギー発電の抑制のための出力制御技術」を開発している。

本システムを活用することで、メガソーラー等の再生可能エネルギー事業者に対して出力制御を指示する一般電気事業者においては、発電所毎の交代(輪番)制御での公平な抑制対応を可能とする。また、将来的にさらなる精緻な制御が可能になった環境を見据えて、天候を考慮した上で、個々の発電所毎の発電上限値を細かく設定したうえで、出力制御指示を出すことで、抑制量そのものの低減も可能となる。

また、出力制御を受け入れる発電事業者等のオーナー側に対しても、NECが研究開発を進めている階層協調システムを活用することで、分散する太陽光発電や蓄電池群を一括管理し、高効率・高信頼な制御が可能となり、例えば、出力制御されるはずだった発電電力を蓄電池群へ充電することで出力制御を回避し、電力の需要家側への融通消費の促進など、無駄なく電力を活用できる環境を整備できる。

[拡大する]拡大する図表-8 蓄電池を用いた太陽光発電の抑制回避技術

今後、2030年の目標に掲げたエネルギーミックス実現に向けて、再生可能エネルギー導入が進むが、需要側・供給側双方での、ICTを活用した肌理細やかな制御が無駄のない電力活用を実現し、もって日本のCO₂削減に寄与すると考えられる。

(2016年3月4日)

著者プロフィール

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段野 孝一郎(Koichiro Danno)
株式会社日本総合研究所 総合研究部門 ディレクタ/プリンシパル
京都大学大学院工学研究科博士前期課程修了(工学修士)
技術戦略及びマーケティング戦略の観点に基づき、エネルギー(電力・ガス・再生可能エネルギー)、環境・CO₂削減、情報通信・ICT、スマートシティ、次世代自動車、水ビジネスなどの社会インフラ分野を対象に、経営戦略・事業戦略、新規事業開発に関するコンサルティングを実施している。

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