ページの先頭です。
ここから本文です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. NEC Information Square
  3. Solution Report
  4. 日本の伝統工芸の漆器が持つ美しさを実現したバイオプラスチックを開発!
ここから本文です。

日本の伝統工芸の漆器が持つ美しさを実現したバイオプラスチックを開発!
~“和の美”を持つ「ジャパンブランド材」の実現へ ~

2016年8月18日

バイオプラスチック(漆ブラック)写真

将来訪れる石油枯渇の懸念や地球環境への配慮から、植物を原料にしたバイオプラスチックのニーズが高まっている。NECは今回、京都工芸繊維大学と、日本を代表する漆芸家の下出祐太郎氏との共同で、草や木など非食用の植物を原料にし、漆器が持つ独特の美しい漆黒(漆ブラック)を実現したバイオプラスチックを開発した。今後、この漆黒(漆ブラック)のバイオプラスチックを自社製の電子機器のほか、自動車内装、インテリア建材、高級家電、高級日用品など高付加価値製品に適用していきたい考えだ。都内では17日、記者説明会が開催された。

記者説明会には、京都工芸繊維大学 伝統みらい教育センター センター長、教授の濱田泰以氏(写真左から2番目)、漆芸家 下出蒔絵司所三代目・京都産業大学教授の下出祐太郎氏(左端)、NEC IoTデバイス研究所 所長の津村聡一(右から2番目)、NEC IoTデバイス研究所 主席研究員の位地正年(右端)が登壇した

バイオプラスチックとは?

現在、全世界で生産されているプラスチックの多くは、限りある石油由来の原料を使い、高温・高圧条件下で反応させて作ったものである。このため、生産過程で発生するCO₂の多さも課題となっている。これら資源枯渇や地球温暖化といった課題を解決するため、再生可能な植物を由来としたバイオプラスチックの量産化が進んでいる。現在は、デンプンを原料に使ったバイオプラスチックが主体であるが、将来の食料不足への懸念から、非食用である草や藁、木材などの主成分のセルロースを使ったバイオプラスチックに注目が集まっている。

これから期待されるバイオプラスチックの原料は、非食用の藁や木材など

NECでは2000年から独自のバイオプラスチック「NeCycle(R)」(ニューサイクル)の開発に取り組んでおり、環境への調和と機能強化を進めてきた。デンプン原料のポリ乳酸複合材は、植物率75%以上でありながら(有機成分中)、耐久性に優れた難燃性バイオプラスチックであり、デスクトップPCやプロジェクタなどの製品だけでなく薬品への耐性が必要となる、ガソリンスタンド用給油システムにも使用されている。

高度な装飾性の実現による高付加価値製品への展開

これまでセルロースを原料としたバイオプラスチックは、文具、玩具、生活用品などの一部に利用されてきた。その利用範囲をさらに拡大するため、環境にやさしいだけではなく、装飾性など、新たな付加価値となる特性の創出が求められている。

そこで、今回発表したのが、NECが京都工芸繊維大学と漆芸家の下出祐太郎氏と共同で開発した、セルロース原料の漆ブラック・バイオプラスチックである。下出氏は2015年に創業100周年を迎えた下出蒔絵司所の3代目、京都産業大学教授であり、これまで京都迎賓館漆工芸調度品など最高級の漆工芸品を制作してきた、日本を代表する漆芸家である。同大学と下出氏との協力により、低い明度、高い光沢性に加え、漆特有の深み、温かみ、艶といった高級な漆器が示す美しい漆黒(漆ブラック)が、このバイオプラスチックによって初めて実現された。

漆芸家の下出祐太郎氏

下出氏が制作した「高台寺蒔絵 復元的制作 蒔絵屏風『源氏雲に菊楓五七桐紋散らし』」

具体的には、はじめに下出氏が基材の透明樹脂に漆の塗布と表面研磨を繰り返すことで、最高レベルの漆器のモデルを制作した。次に、京都工芸繊維大学とNECにおいてこの漆器モデルの光反射特性などを科学的に解析。最後にNECがこの評価と解析結果をもとに、バイオプラスチックに混ぜる添加成分の最適な配合技術を開発した。下出氏が制作した漆器モデルが示す究極の漆ブラックには、極めて低い明度(1レベル)、鏡面に匹敵する最高レベルの光沢度(100レベル)に加えて、深さや温かさといった漆器特有の“和の美”が備わっていた。そこで、バイオプラスチックによるこの漆ブラックの実現には、着色性や光の反射性を調整する添加成分の分子構造の最適化やこれらの樹脂中での高分散化が肝となった。

高級漆器が持つ高度な「漆ブラック」を実現

従来の漆器では、基材の表面に漆を塗布し磨いて仕上げていた。これに対して本開発のバイオプラスチックは、通常のプラスチックのように加熱して溶融させ、金型(鏡面加工)の中に押し流して成形(射出成形)できる。これにより、さまざまな形状の漆器調の製品を、コストを抑えつつ量産できるのが魅力だ。

漆ブラック・バイオプラスチックの成形体

NECでは今後、この従来の石油系プラスチックにはない独特な“和の美しさ”を持つ「漆ブラック・バイオプラスチック」を、装飾性を要する高付加価値製品に使用していきたい考え。材料メーカー、耐久製品メーカーとの連携を深め、2020年には「ジャパンブランド材」として世界に展開することを目指している。NECの位地は「海外の耐久製品メーカーとの面談などを通じて、欧米各国で日本の漆器の美しさに高い関心が払われているのを実感した。漆がもつ特有な美しさは、海外の人にとって憧れ。しかも日本独自の文化・技術であるため、外国のメーカーが手を出しにくい領域だ。ここに大きなニーズが存在する」と解説していた。

(2016年8月18日)

ページ共通メニューここまで。

ページの先頭へ戻る