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Innovators 100 Series Vol.23 角尾 幸保

共通鍵暗号アルゴリズム設計のスペシャリスト

2015年7月23日

Vol.23 CHAPTER2 共通鍵暗号アルゴリズム設計のスペシャリスト 角尾 幸保NEC クラウドシステム研究所・データセキュリティテクノロジーグループ 主席研究員・工学博士 選択理論心理士 認定心理士/WGI Practicum Supervisor:角尾(つのお) 幸保

―研究者としての角尾さんの歩みを教えてください。

写真:角尾幸保 氏

角尾:学生時代、プラズマ核融合の研究していた私が卒業後に就職したのは、日本原子力研究所向けのソフトウェアを開発する会社でした。

出向先の日本原子力研究所(東海村)に勤務していたある日、本屋さんで偶然1冊の本に出会いました。それが、暗号に興味をもつきっかけでした。「護りたい大切なものを護る技術」という点に惹かれたのです。

その後、NECソフトウェア北陸(現NECソリューションイノベータ)に転職して、汎用コンピュータの故障診断プログラムを制御するソフトウェア開発を行っていたのですが、『セキュリティの勉強がしたい。大学院で暗号知識を体系化したい』という想いは強くなるばかりでした。

そこで、社内留学制度を利用して1992年、北陸先端科学技術大学院大学の情報セキュリティを専門とする研究室に第一期生として入校し、「共通鍵」をテーマにした研究者としての一歩をスタートさせました。大学院卒業後しばらくして、NECの中央研究所に出向し、のちにNECに移籍しました。NECの中央研究所に出向後は、アルゴリズム開発を中心とした暗号研究一筋です。

―暗号開発における、NECの強みとは何ですか。

角尾:NECは、他社の暗号を含め数多くの共通鍵暗号の解読論文を発表しています。また暗号設計や評価はチームで行い、技術的な補完や人的ミスの防止に配慮したシステムになっています。こうした長年の技術蓄積と多くの優秀な人材によって、高強度の暗号や汎用性にすぐれた暗号を生み出すことができるのです。

さらに、NECが開発した「暗号強度評価支援システム」も、大きな強みです。このシステムは、評価対象となる暗号についてどこが強く、どこが弱いか、強化したポイントの改善効果はどうかなどを多角的に解析して3次元グラフで表示できます。

従来のように統計的な数値を並べて説明するよりはるかにわかりやすく、説得力も高くなります。評価にかかる時間も短くでき、暗号開発の専門家でなくても評価が可能なため、開発者はアルゴリズム設計に集中できるようになり、開発効率や生産性が大幅にアップしています。

インタフェースを変更するだけで、どんな暗号にも対応できるこのシステムは、お客さまにツールとして提供することもできます。

図版:線形特性図図版:スペクトル画像拡大する線形特性図

機械と人間。2つの視点からセキュリティ強化

―現在、角尾さんが行っている業務について教えてください。

角尾:新規のお客さまに暗号を提供する「新規需要」だけでなく、かつて暗号システムを提供したお客さまが最新技術の暗号にリプレイスしたいという「置換需要」があります。また、現在はサイバーセキュリティがキーワードとして注目されているので、サイバーセキュリティと暗号を組み合わせた提案活動も行っています。

今後IoTの流れが拡大していく中で、機械やシステム系に加えてますます重要になってくるのが、人間系という脆弱な側面からのセキュリティ対策です。人は騙されると、意識せずに、場合によっては、意識して積極的に情報を流出させてしまいます。偽の業務メールに添付されたファイルを開いたことでウイルス感染し、大量の個人情報が流出した事件や、オレオレ詐欺で大金を振り込む事件をニュースで見た記憶があると思います。

こうした人間系のセキュリティ対策を強化するために、ソーシャルエンジニアリングという分野の調査・研究にも私はいち早く取り組んでいます。私の名刺にある「選択理論心理士」「認定心理士」という資格も、ソーシャルエンジニアリング研究の一環として、学んだ成果になります。研究開発・事業推進以外では、大学での講義、講演、公的委員会、学会活動など、幅広く活動しています。

―暗号開発や研究における、苦労について聞かせてください。

角尾:暗号開発では、通常複数のアルゴリズム候補を作ります。その中から良いものを選んで改良を加えていきます。そうした候補を仲間たちとともに検討する過程で、自分でいいモノができたと思っても仲間から問題点を指摘されたり、解読されたりすると、せっかく時間をかけて積み上げてきた積木が一瞬にして崩れ去るような想いがしますね。

また、暗号というのは第三者に対して説明しにくい技術です。たとえばお客さまにAとBの暗号でどちらが、どれだけ強いかと聞かれた時など、理解・納得していただく説明に苦労します。かつて研究を始めた頃は、暗号に興味を示す人も少なかったため、暗号技術の重要性や事業メリットなどを上司や事業部へ説明するために、自分の研究時間を削って何度も足を運んだりもしましたね。

―暗号開発による角尾さんのNECへの貢献について教えてください。

写真:角尾幸保 氏

角尾:あるデジタルカメラメーカーの例ですが、海賊版のバッテリを使用すると発火の危険性があるため、正規品以外のバッテリが使えないようにしたいというご要望がありました。

そこで、デジタルカメラと正規バッテリ間の認証に、私たちが開発した暗号を活用することになりました。これにより、デジタルカメラのある機種に対応するすべての正規バッテリOEMメーカーが、同じ暗号を使うことになりました。

つまり、この例ではデジタルカメラメーカーのお客さま自身が、NECの暗号をバッテリメーカーに拡販してくれる結果となったのです。こうしたビジネスモデルがもっともっと増えるとうれしいですね。近年暗号技術の重要性が増す中で、長年にわたる暗号研究者として、自分が開発してきた暗号がNECのさらなる強みになればうれしく思います。

―暗号開発による、NECの今後の社会的貢献についてはいかがですか。

角尾:昔のセキュリティは、中央のコンピュータシステムと、そこにアクセスする人や運用管理する人など、護るべき領域が限られていました。しかし、いまではインターネットの進展によって護るべき場所や領域、情報を活用する人など、すそ野が飛躍的に拡大しています。攻撃を受ける人、物、場所、時間などすべてが脅威の増加につながりますね。

こうした世の中の変化に合わせて、セキュリティの在り方も変わっていかなければなりません。サイバーセキュリティを視野に入れ、先を見据えたヒューマンエンジニアリングへのいち早い取り組みも、今後の社会貢献につながると考えています。

研究者としてのこだわりは、あきらめないこと

―暗号開発における仕事のやりがい、開発者としてのこだわりとは何ですか。

角尾:自分で開発した暗号が実際に世の中で使われて、毎日の安心・安全な暮らしやみなさんの何気ない笑顔の一端を、陰ながら支えていることに、やりがいを感じますね。開発者としてのこだわりは、あきらめないことです。

ずっと努力してきて解けない暗号があったとしても、あと1日、あと1週間と挑戦することでひらめきやインスピレーションが生まれ、答えが出ることがあります。壁にぶつかった時でもそこで立ち止まらずに、あと一歩というネバリがあったからこそ、いまの私があると思っています。

―オフタイムの過ごし方や趣味を、聞かせてください。

角尾:最近の趣味は、自分で学んだ心理学を人に教えることです。脳の機能をシステムとみなす理論に基づいて、マネジメント、教育、セラピーなど「広く応用が可能な人間関係の技術」を教えることになります。自分自身に使えば、セルフコントロールの技術になりますし、研究目標の具体化や効果的な行動計画の立案といった業務にも応用できます。

それ以外では、現実世界より少し先の技術社会をテーマにしたSFのようなテレビアニメやドラマを観るのも好きですね。知的好奇心を満足させながら夢を追い続ける。これまでも、これからも、私の生き方は変わらないのかもしれません。

写真:角尾幸保 氏

(2015年7月23日)

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