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Innovators 100 Series Vol.14 佐々木 英作

世界と戦う小型無線通信開発のエキスパート

2014年8月19日

Vol.14 世界と戦う小型無線通信開発のエキスパート 佐々木 英作NEC モバイルワイヤレスソリューション事業部 シニアエキスパート:佐々木 英作

―NECにおける佐々木さんの仕事について、教えてください。

写真:佐々木 英作 氏

佐々木:私がNECへ入社を希望したのは、衛星通信システムの仕事に就きたかったからなのですが、入社後に配属されたのは地上の無線通信システム開発の部門でした。以来現在まで、一貫して地上無線通信システムに使われる変復調回路の開発を担当してきました。

わかりやすく言いますと、無線通信システムに関するハードウェアの開発・設計です。回路技術の開発や設計、検証などを行い、装置の製造につなげるのが私の仕事です。

「パソリンク」に関しては、アルゴリズムの開発や標準化などを通して、ハードウェアの小型・高性能化を進めてきました。現在の私は、無線通信システムを大きく進化させる2つの重要なミッションに取り組んでいます。

―無線通信を大きく進化させるミッションとは何か?具体的に教えてください。

佐々木:ひとつは、マイクロ波無線通信システムの大容量化です。つまり、大量のデータの送受信に対応するための「パソリンク」の進化です。

それを可能にするのが、変調方式の「多値化」です。「多値化」は、1回の変調で送ることができる伝送量を増やす技術なのですが、一方で多値化を図るほどエラーや劣化に対する難易度が上がってきます。そのため現在私たちは、多値化実現のキーテクノロジーとなる劣化を抑える新たな回路方式や回路構成の研究を進めています。

写真:iPASOLINKiPASOLINK

マイクロ波通信の大容量化に向けたもうひとつの取り組みが、変調信号の「多重化」という方法です。これは1つの同じ周波数で複数の信号を同時に流すことで周波数帯の利用効率を高め、大容量伝送を実現しようというものです。この多重化に関しても、信号同士の干渉などの課題をクリアする技術が不可欠になってきます。

私たちは、「多値化」や「多重化」の融合によって、大容量かつ高品質なマイクロ波無線通信システムの実現を目指しています。2010年9月にNECは、IP信号伝送にも対応した「iPASOLINK」を開発し、すでに110ヵ国以上へ50万台以上※も出荷。さまざまな国で、多彩なデータの送受信やIP化に対応しています。

  • 2014年6月末時点

―無線通信を大きく進化させる佐々木さんのもうひとつの業務とは、何ですか。

佐々木:もうひとつは、E-bandを活用した伝送装置の開発です。E-bandというのは、マイクロ波通信より波長が短い0.1~1cmのミリ波の領域の周波数帯域で、これまでのマイクロ波よりも広い帯域を使うことができるため、今後5年間で10~20倍に増加すると言われる通信量に対応することができます。

70~90GHzという高い周波数のミリ波を使って帯域幅を拡げ、さらに多値化や多重化などマイクロ波通信で培った技術を組み合わせることで、これまでのマイクロ波通信の数十倍という大容量伝送が可能になります。また、電波免許の取得が容易であったり、電波使用料が割安であるといったメリットもあります。

すでにNECでは、10Gbpsの大容量伝送を可能にする技術的な目途は立っているので、現在はできるだけ早い装置の開発を目指しているところです。マイクロ波通信と同じようにシステム構築が容易で、設備投資もランニングコストも低減できるE-band伝送装置が実現すれば、光ファイバでしか実現できなかった通信が無線で置き換えられる日が訪れるかも知れませんね。

30~50kmの長距離伝送が可能なマイクロ波通信は、帯域幅が狭いため大容量伝送が難しい。一方でE-bandは、高速・大容量伝送が可能ですがマイクロ波に比べ雨などの影響で減衰しやすく、1~2kmと伝送距離が短いなど、長所と弱点がそれぞれにあります。

もちろんNECとしては、それぞれの弱点を解消したり、長所を伸ばす技術的努力を続けていきますが、大切なのはそれぞれの特性を活かし、たとえばマイクロ波通信は広大な土地が拡がるルーラル地域、E-bandは人口の密集する都市部というように、うまく使い分けていくことが大切だと私は思っています。

ドキドキの試験結果は、達成感より安堵感

―佐々木さんのこれまでの仕事における苦労を、教えてください。

写真:佐々木 英作 氏

佐々木:いちばん苦労したのは1980年代の私がまだ新入社員の頃に、世界最高多値数の変復調回路にチャレンジしていた時ですね。当時のアナログ回路での取り組みは、温度変化によって回路特性が変わってしまうなど安定化が難しく、非常に苦労した記憶があります。そのアナログ時代の苦労や経験が、デジタル化への転換に向けた私自身の技術者としてのモチベーションアップにつながったのです。

1990年代のデジタル化時代に移ると、アナログ時代とは別の苦労というかプレッシャーがありました。当時、設計したデジタル回路はLSIというカタチにするのですが、回路設計を誤るとせっかくつくったLSIが修正の効かない不良品になってしまいます。

現在では、FPGAというソフト的にデータを書き換えると回路構成を変更できるLSIがあり、それによりLSIとしてのデバッグ作業が可能になっているのですが、当時そのような便利なものはなく、設計検証は自分の頭の中とシミュレーションによって行うしかなかったのです。

サンプル品としてつくったLSIが失敗すると、一瞬にして数百万円のコストがムダになってしまうので、絶対に回路設計のミスは許されないという緊張感の中で仕事をしていました。

具体的な作業としては、ソフトウェア上で回路を構成して何度もシミュレーションを行い、検証と確認を繰り返した上で実際のサンプルづくりに進みます。そうやってできあがったサンプル品のLSIに初めて電気を通して試験する時は、本当にドキドキでした。

試験を無事にクリアした時は、「やった」という達成感よりも、数百万円がムダにならなくてよかったという安堵感の方が強かったかも知れませんね(笑)。いまではFPGAで試験をした上でサンプル品づくりができるので、あの当時のドキドキは、もう感じなくて済むようになりました。

どこでも、いつでも、確実につながる未来へ

―無線通信システムにおける今後の展望を、聞かせてください。

写真:佐々木 英作 氏

佐々木:マイクロ波通信とE-bandをはじめとするミリ波通信。この2つの領域をさらに進化させていくことが、これからの目標です。マイクロ波通信では多様な用途に対応するとともに、送受信の品質をより高めていきます。一方ミリ波通信では、大容量伝送装置のいち早い製品化を進めていきます。

さらに、「つながらない」をなくすことも、今後の重要なテーマです。単につながらない場所をなくすのではなく、大勢の人が密集したイベント会場や災害現場においても、きちんとつながる通信システムの実現を目指しています。

通信システムの進化は、利便性の向上だけでなく、社会ソリューションの実現という役割もあります。NECは、離島・山間部や発展途上国などにおける情報格差の解消、さらに災害時の緊急連絡網などの社会ソリューションを通して、日本をはじめグローバルに貢献していきたいと思っています。

―最後に、佐々木さん自身として仕事のやりがいや趣味を、教えてください。

写真:佐々木 英作 氏

佐々木:通信システムの設計や開発では、理論が重要です。勘や経験に頼るとミスが生まれたり、ムダが生じたりします。なので、ふだんの仕事では理論をしっかり理解した上で、設計や開発に臨むことを、つねに心がけています。理屈に則って行った回路設計が、結果としてきちんと現れることに、やりがいを感じます。

また、自分が関わった「パソリンク」が、さまざまな人たちや社会の役立っているということがうれしいですね。私たちが長年にわたって蓄積してきた通信システムは、日本が世界と戦える技術のひとつです。技術先進国として、さらにモノづくりの日本として、性能や品質に加えてコスト面においても、世界に対する競争力を高めて行きたいと思っています。

趣味は、天体観測です。何年か前に天体望遠鏡を購入して、火星の接近などを観測して楽しんでいました。天体への興味は、子供の頃からありました。NECに入社する際、衛星通信システムの開発に関わりたかったのも、子供の頃から好きだった宇宙への興味が心の片隅にあったからかも知れませんね。

(2014年8月19日)

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