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Innovators 100 Series Vol.01 飯島 澄男

カーボンナノチューブ発見のパイオニア

2013年11月6日

Vol.01 CHAPTER1 カーボンナノチューブ発見のパイオニア 飯島 澄男名城大学 大学院 理工学研究科 教授/独立行政法人 産業技術総合研究所 ナノチューブ応用研究センター センター長/
名古屋大学 高等研究院 特別招聘教授: 飯島 澄男

  • * 飯島氏が手にしているのは、カーボンナノチューブの模式モデル

1991年、新素材カーボンナノチューブの発見者として世界中を湧かせた
NEC 中央研究所 特別主席研究員 飯島澄男。
これまでの研究生活や研究者としての意気込み、いまなお挑む新たなテーマ、
さらにNECへの期待や若い研究者へのメッセージなど、熱き思いを語ります。

電子部品から、宇宙エレベータまで。

―はじめにカーボンナノチューブ、カーボンナノホーンとは何か?
それぞれの特長は何か?やさしくご説明ください。

カーボンナノチューブ(CNT)の顕微鏡写真と模式図

飯島:カーボンナノチューブは、その名前の通り炭素材料で、ナノメートル(ナノは10億分の1)サイズと非常に小さく、チューブ状の形状をしています。電気を非常に通しやすく、構造によっては半導体にもなるし、金属にもなる。また、鋼鉄の十倍というすぐれた強度があるなど、とても面白い特性を持っています。一方のカーボンナノホーンは、カーボンナノチューブの一種で、ホーン(角)のような形が集まったいがぐり状になっています。表面積が非常に大きいほか、生産するときに金属を使用しないので、金属の不純物が含まれないというのが特長です。どちらも基本構造は同じで、自然界にはない人工物です。

―カーボンナノチューブとカーボンナノホーンは、いま何に活用され、今後どんな分野に応用されていくのでしょうか?

飯島
:どちらも軽くて丈夫で、電気を通しやすいという性質を持っています。カーボンナノチューブは、スマートフォンのタッチパネルなどに、すでに活用されています。また、曲げられるトランジスタや飛行機の機体、宇宙エレベータのケーブルなどへの期待も高いですね。カーボンナノホーンは、比表面積が大きい、分散しやすい、安全性が高いという特長があり、電子機器部品や電池の電極、さらにガス吸着剤やバイオテクノロジーなど、幅広い領域への応用が考えられています。

高性能な電子顕微鏡に惹かれ、NEC入社。

―NECに入社するまでの研究者としての歩みを聞かせてください。

写真:飯島 澄男 氏

飯島:日本の大学院時代とその後12年におよぶアリゾナ大では、電子顕微鏡による微小物質の材料研究を主にやっていました。当時は、電子顕微鏡の能力を高めるための工夫や装置そのものの開発も重要なテーマでした。電子顕微鏡の分解能が高まれば、物質を構成している原子が見えるようになるはず。そうした探究心が、研究生活の原動力でしたね。

―日米の大学の研究生活はいかがでしたか。
飯島
:日本では、高分解能電子顕微鏡で原子を直接見る研究はまだ始まっていませんでした。実験を重ねながら物質の構造や特性などを解き明かす技術を磨きました。一方、アメリカで学んだことは、「若くてもいい仕事をすれば率直に認められ受け入れられる」ということ。アメリカでの研究生活時代に世界で初めて金属原子を直接観ることに成功したのも、そういう励みがあったからかもしれません(笑)。

―NECに入社したきっかけは何ですか?またNECでは、
どんな研究を行っていたのでしょうか?

飯島
:その当時、私は研究者として半導体の基板となるシリコンウェハの表面がどうなっているのかぜひ観てみたい、という願望がありました。そうした研究者の願望を理解してくれたのがNECだった。そう言うとカッコイイですが、実はNECなら大学ではなかなか手の届かない、高額で高性能な電子顕微鏡を買ってくれるという本音もありましたね(笑)。最先端の半導体材料の研究に力を注いでいたNECに入社したのは47歳。人生で初めての会社勤めでした。NEC時代は、さらに高性能な電子顕微鏡を開発し、高性能電子デバイス材料開発を行っていました。

いま挑戦しているのは、光と熱のコラボ。

―世界初の業績であるカーボンナノチューブは、
どのように発見されたのでしょうか?

写真:飯島 澄男 氏

飯島:カーボンナノチューブを発見したのは1991年でしたが、その頃新素材として世界中で注目を集めていたのは、フラーレンという球状炭素分子でした。
そんなフラーレンの分子構造を突き止めたい、その成長機構が見たいというのが、そもそものはじまりでした。フラーレンの大量生成のために各国の研究者は生成物ばかりに着目していましたが、原料である炭素電極を観察していた私が細長い新物質に気づいたのです。カーボンナノチューブ発見はまずNECの研究所内で報告したのですが、研究所の同僚たちはあんまり興味を示してくれなかったですね。何しろ当時の目玉は、フラーレンでしたから(笑)。

―カーボンナノチューブの発見は、偶然ではないのですか?

飯島
:偶然とは、ちょっと違いますね。カーボンナノチューブ発見の裏には、電子顕微鏡技術、炭素物質研究、鉱物学研究、いろいろな材料研究など、積み重ねてきた経験や実績があります。こうした事前の準備があってこそ、『セレンディピティ(偶然からモノを上手く見つけ出す能力)』が生まれるのだと思っています。アクティブやチャレンジといった自分の行動パターンが、研究者としての前進に役立っていますね。

―現在は、どのような研究を進めているのでしょうか?

飯島
:いま、カーボンナノチューブの工業的応用として関心があるのは、まだ手がつけられていない光と熱のコラボレーション領域ですね。照射した光を熱に変え、その熱伝導性を利用して何かをコントロールするというものです。たとえば頭の外部から光を当て、その温度変化によって脳を刺激し、DNAの活動をコントロールするといった、生体分野における基礎研究をはじめています。また、光を熱に変えてデバイスなどのスイッチングをコントロールするなど、量産しやすいカーボンナノホーンの新たな利用方法に、これからも挑戦していきたいですね。

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