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Innovators 100 Series Vol.28 大塚 聡子

宇宙ロボット開発の進化を支え続ける宙(そら)のエンジニア

2016年2月24日

Vol.28 CHAPTER1 宇宙ロボット開発の進化を支え続ける宙(そら)のエンジニア 大塚 聡子NEC 宇宙システム事業部 プロジェクト推進部 エキスパートエンジニア:大塚 聡子

国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に設置され、さまざまな実験作業を支援するロボットアーム。宇宙飛行士若田光一さんが操作するニュース映像などでも知られるロボットアームの設計開発をはじめ、約30年にわたり宇宙ロボット開発に関わってきた大塚聡子。「ロボットアームの母」と呼ばれるワケ、宇宙ロボットへのやさしい思い、宇宙環境保全への新たな取り組みなどを、語ります。

「ロボットアームの母」と呼ばれる、そのワケとは。

―最初に、宇宙におけるロボットアームの役割について教えてください。

写真:大塚 聡子 氏

大塚:ロボットアームは、宇宙ロボットの一つと言えます。宇宙に限らずロボットは、人間を支援する何らかの使命を持ち、その役割を果たすことが求められます。

私たちがJAXAのもとで開発したロボットアームは、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟で行われる、実験をはじめとするさまざまなミッションを支援することを目的としたものです。

具体的には、「きぼう」の船外実験プラットフォームで実験装置の移動・設置をするほか、小型衛星の放出、「きぼう」のメンテナンス作業などをサポートします。

―次に、ロボットアームの概要や仕組みについて聞かせてください。

大塚:「きぼう」のロボットアームは、肩や肘、手首など6つの関節で先端を目的の場所に移動させることができる長さ約10mの親アームと、その親アームの先端に接続可能な長さ約2mの子アームから成ります。アーム本体や船外実験プラットフォーム上に設置された複数台のカメラの映像を、「きぼう」内にある2台のモニターで見ながら、コンソールでの操作で動かします。2つのアームを目的に合わせて使い分ける親子アーム構成というのは、日本独特の方式です。

サンプル画像「きぼう」日本実験棟船内実験室

サンプル画像「きぼう」ロボットアームの親アームに把持される子アーム

―ロボットアーム開発における、大塚さんの主な業務とは何ですか。

大塚:宇宙で稼働するロボットアーム開発は大きなプロジェクトで、設計と言ってもロボットアームの機械設計や制御設計など、さまざまな業務があります。そうした中で私は、運用や操作画面設計などを、主に行ってきました。開発したロボットアームの操作の仕方を、宇宙飛行士にレクチャーするのも私の業務の一つでした。

操作のレクチャーでは、宇宙飛行士たちに、「きぼう」で使用される実物のコンソールやロボットアームを操作してもらい、操作性を評価確認してもらいました。
宇宙飛行士としての彼らの意見を受け入れながらも、システム開発者として譲れない部分もあります。彼らにとって、時にはキツイ意見も言う私は、まるでロボットアームを守る母親のように映ったのでしょう。それが、「ロボットアームの母」と呼ばれるようになった、そもそものきっかけなのです(笑)。

「きぼう」のロボットアーム操作性評価試験。右が土井宇宙飛行士、左が大塚。

日本製ロボットアームは、海外の宇宙飛行士にも評判。

―ロボットアーム開発業務で、最も重要なことを聞かせてください。

写真:大塚 聡子 氏ロボットアーム縮小模型

大塚:宇宙関連の機器や部品は、高い品質や信頼性など宇宙仕様のモノが求められます。加えて、私たちのロボットアーム設計で特に重視したのが、安全性です。

ロボットアームの誤動作は、修復不能な大きな事故につながりかねません。そこで私たちは、「モノを不用意に離さない」「衝突しない」という2つのポイントを徹底的に追求しました。

「きぼう」やロボットアームの開発で共通していること。そこには、日本のモノづくりの特長である「まじめさ」と「丁寧さ」が根底にあります。日本で設計開発されたロボットアームは使いやすさだけでなく、フォルムの美しさにおいても、海外の宇宙飛行士からの評判が高いですね。

―ロボットアームの開発で、大塚さんたちが工夫した点や苦労を教えてください。

大塚:操作性におけるソフト面での工夫があります。先程の安全性につながることですが、ロボットアームが触れてはいけないモノや機器を予めプログラミングしておいて、作動中のロボットアームがそこに近づくと自動停止するという仕組みです。

苦労と言えば、交渉や調整が多かったということでしょうか。プロジェクトは、社内外の多くの人や企業が参加して進められます。たとえば、船内実験室、通信システム、エアロック、船外実験プラットフォーム、船外パレットなど、システムや機器ごとにメーカーが異なります。そのため、交渉する企業や人がとても多岐にわたり、大変だったという思いがあります。

開発に参加するやりがいや楽しさを、スタッフ全員が実感できるチームづくりを。

―開発チームの取りまとめ役としての大塚さんの役割とは何ですか。

写真:大塚 聡子 氏

大塚:ロボットアーム開発チームは、機械設計や運用設計、製造、品質保証など、スタッフ編成も多岐にわたり、多い時には数百人にもおよぶスタッフがいました。開発は、全体をバランスよく進めることが重要です。

チームの取りまとめ役としての私は、開発の全体を見ながら、社内の各部門だけでなく社外の担当者との間できめ細かな交渉や調整を頻繁に行い、正しい判断や方向付けを行うなどの役割を果たしてきました。

―開発チームのまとめ役として、心がけたことや留意した点とは何ですか。

大塚:開発チームには、さまざまな人がいます。それぞれの個性を大切にしながら、一つの目的に向けてバランスのとれたチームワークが発揮できるように心がけました。仕事に真剣に取り組むことはもちろんですが、みんなで楽しく仕事がしたいというのが、モットーです。

スタッフに対しても、一人ひとりが開発に参加していることを実感して欲しいと、つねに思っていました。ですから私はメールよりも、直に会って話したり、会話を通じて相手の心の動きや感情を感じることができる電話の方が好きですね。

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