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Innovators 100 Series Vol.27 小川 雅嗣

生物の動きから、画期的なシステム制御を生み出した研究者

2016年1月19日

Vol.27 CHAPTER1 生物の動きから、画期的なシステム制御を生み出した研究者 小川 雅嗣NEC クラウドシステム研究所 主任研究員:小川 雅嗣

交通やエネルギーマネジメントなど、高度化・複雑化する社会システム。こうした大規模システムの効率的かつ柔軟な運用は、IoT時代に向けた重要な社会課題。生物の適応メカニズムをヒントに、いままでにないシステム制御を可能にしたアルゴリズム開発者小川 雅嗣。経験のない異分野への挑戦、ユニークな逆転の発想、IoT時代に向けた活用への期待など、独自技術実現の裏側を語ります。

IoT時代に向け、新たな社会システム制御を。

―まず「自律適応制御技術」とはどんな技術なのか、わかりやすく教えてください。

写真:小川 雅嗣 氏

小川:簡潔に言うと実社会の複数の人やモノを、環境/状況変化に合わせて全体最適にリアルタイムで制御するNEC独自の技術です。

大量のデータを集めて分析し、全体のルールを作っていく従来の方法では、突発的な環境変化への対応が難しいという課題があります。この技術はシステム全体を細かなサブシステムに分類し、個々のサブシステムに「自分がどう動けばいいのか」というシンプルな仕組みを埋め込んで、動的かつ自律的にシステム全体を動かします。

これにより、環境が変わってもシステムが協調して、全体最適に向けた動きを実現することができます。リアルタイムなデータを使い、システム自らが次のアクションを自律的に制御することが、これまでの技術とは大きく異なる点です。

―「自律適応制御技術」の開発の背景とは、何でしょうか。

小川:IoTの進展などで、交通やエネルギーなどの社会システムやインフラはますます高度化、複雑化します。そんな大規模システムをリアルタイムに、柔軟かつ効率よく運用することが今後ますます重要になる。これが、開発の根本的な背景です。

大規模システム全体をすべてモデル化したり、スーパーコンピュータなどを使った大量データ処理によって、社会インフラの制御を行うという方法もあると思います。ですが、システム全体のモデル化は非常に大変ですし、スパコンでは多くの電力を消費します。わずか20W程度の電力で動作する人間の脳のように、もっと軽く、速く、柔軟にシステムを動かす仕組みが作れないだろうか、というのがそもそもの出発点でした。

大規模システム制御のヒントは、アメーバ?

―NEC独自の「自律適応制御技術」を可能にした、コア技術を教えてください。

写真:小川 雅嗣 氏

小川:コアとなるのは、生物の適応メカ二ズムをヒントに開発した、制御アルゴリズムです。いままでと違うやり方で、システムを動かすにはどうしたらいいのか。そこで、着目したのがアメーバや虫などの生物の情報処理の仕組みでした。

たとえばアメーバは捕食したい餌の位置に合わせて、その姿を効率よく全体最適に変化させます。そこで、私が所属するクラウド研究所では、数年前から脳や生物の情報処理の仕組みについて、基礎から検討する小さなチームを立ち上げ、研究をスタートさせました。

その成果のひとつが、今回の制御アルゴリズムの開発です。このアルゴリズムにより、複雑なモデルやルールを作ることなく、目的によってシステム全体を制御するという、逆説的なコンセプトにもとづいた「自律適応制御技術」が実現できたのです。

―「自律適応制御技術」開発における、小川さんの役割とは何ですか。

小川:「自律適応制御技術」の制御アルゴリズム開発をメインで担当したのが私です。研究開発チームは、当時私と若手研究員というわずか2名でスタートしました。小さな研究チームでしたから、技術コンセプトづくり、アルゴリズムの研究開発をはじめ、いろいろなことをやりました。

たとえば、アルゴリズム開発後には、「自律適応制御技術」の事業化への道筋をつけるため、活用に向けたアルゴリズムのプロトタイプをいくつか作成して、さまざまな事業部へ提案のために足を運びました。また顧客開拓では、事業部のスタッフに同行して、お客様へ活用提案を行いました。実際にお客様にお会いして、アルゴリズム開発者の立場から活用のアドバイスを行ったり、お客様から生の声をお聞きして技術の改善に役立てたりしました。

実際にお会いした中では、タクシー業界のお客様やエネルギー管理を行う建築会社、ビル管理会社などのお客様が、大きな関心を寄せられました。現在チームは4名体制となり、私は特定用途に向けた新たなアルゴリズム開発などに携わるほか、汎用的な用途に役立つ新たな研究テーマの策定、予算計画など、さまざまなマネジメント業務も行っています。

まるで知性があるように、システム同士が協調

―「自律適応制御技術」によるシステム制御には、どんな特長があるのでしょうか。

写真:小川 雅嗣 氏

小川:「自律適応制御技術」の特長は、大きく3つあります。第1の特長は先程も少し触れましたが、最初に全体の制御目標を決めるだけで、複雑な制御ルールやシステム全体のモデルを作ることなく、システム全体が目標に向かって協調しながら最適化を図るという点です。突発的な環境変化が起こっても、個々のサブシステムが柔軟に協調してシステム全体の最適化と効率化を図ります。

次は第2の特長です。制御アルゴリズムの役目はサブシステムや機器単体の動作を決めるだけなので計算量が非常に軽く、高速処理が可能です。そのためリアルタイムな適応性にすぐれています。IoTが進んでいくと、情報量がますます増大します。そうした膨大な情報を1ヵ所に集めて、処理・分析し、さらに制御するとなると、時間や処理能力などの課題も生まれます。現場の機器やシステム同士が通信して、リアルタイムで協調しながら全体をうまく動作させるこの技術はIoT時代のインフラ制御にも、大いに期待できます。

第3の特長は、すぐれた耐障害性です。たとえば一部のサブシステムに故障やデータ欠如があっても、決められた目標に近づくように、残りのサブシステム同士が互いに情報通信しながら、次はどう動けばいいのか自律的に判断して、動作し続けることができます。まるで、知性があるかのようにサブシステムが仲間同士で頑張り合う(笑)仕組みなので、ダウンが許されないインフラ制御などに強みを発揮します。

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