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Innovators 100 Series Vol.13 百瀬 真太郎

次世代スーパーコンピュータの開拓者

2014年7月23日

Vol.13 CHAPTER2 次世代スーパーコンピュータの開拓者 百瀬 真太郎NEC ITプラットフォーム事業部 第3サーバ統括部 技術エキスパート 博士(情報科学):百瀬 真太郎

―最新鋭スーパーコンピュータ「SX-ACE」について、まず開発コンセプトを聞かせてください。

写真:百瀬 真太郎 氏

百瀬:開発コンセプトは、演算速度だけを評価するベンチマーク性能ではなく、アプリケーションを動かした時の実効性能の追求です。つまり、実際にスーパーコンピュータを活用するお客さまにとって価値ある性能を提供すること。これはスーパーコンピュータ開発でずっと継承してきたSXシリーズのDNAでもあります。そのためにSX-ACEは演算性能とともに、データを供給するメモリ帯域を重視してアプリケーションの高速化にこだわっています。

こうしたDNAを受け継ぎながら、新開発の「SX-ACE」は課題であった低コスト化や低消費電力化、省スペース化の実現が大きな目標でした。前機種のSX-9は、16個のCPUと1TBの共有メモリを1つの筐体に入れていたのですが、SX-ACEは1個のCPUとメモリを組み合わせた小型のノードカードを複数連携して稼働するという方式です。小型化したことにより低コスト化、低消費電力化、省スペース化を実現しています。

写真:ノードカードノードカード

写真:SX-ACE 単体ラックSX-ACE 単体ラック

―「SX-ACE」開発における、百瀬さんの具体的な業務を教えてください。

百瀬:先ほども少し触れましたが、私は主にスーパーコンピュータ開発の初期のフェーズに関わっています。5年後を見据えた新製品のコンセプトづくり、システムの基本構成の決定、技術やスペックなどを含めた製品企画などを行っています。もちろん、製品企画では技術動向などを視野に入れながら設計部門との連携が不可欠です。

開発が詳細設計段階に入ると私の手を離れますが、その頃には次期製品の検討がスタートします。さらに新製品のプロモーションや、お客さまに対するご説明なども私の大切な仕事のひとつです。

従来比1/10の省電力、1/5の省スペース。

―最新鋭機「SX-ACE」の特長や新たな工夫などを聞かせてください。

百瀬:ひとつは、膨大な数のコアを使う超並列に頼らず、より少ないコアで高い実効性能を生み出す工夫です。SX-ACEでは、1個のCPUに世界最速※のシングルコア性能と世界一のコアメモリ帯域を誇るNECが自社開発したビッグコアを4つ搭載するマルチコア方式を初めて採用しました。演算処理とメモリ帯域のバランスの最適化を図ることで、さまざまな活用領域で高いアプリケーション性能を発揮することができます。

図版:SX-ACE CPUSX-ACE CPU

もうひとつは、「オールインワンプロセッサ」の実現です。キャッシュを格納したコアをはじめ、メモリ制御部、ネットワーク制御部、I/O制御部などのすべてをワンチップ化しています。これによりLSIの数を従来の1/100に削減できました。加えてプロセッサの高電力効率設計やソフトウェアによる高効率運転などにより、従来機種に比べて1/10の省電力を実現しています。また、ワンチップ化したプロセッサを1枚の小型カードにすることで、いままでの機種に比べ1/5という大幅な省スペースも可能にしています。

  • NEC調べ

―「SX-ACE」の運用における特長とは、何でしょうか。

百瀬:SX-ACEには、ソフトウェアによるさまざまな運用支援があります。最新の言語規格に準拠し、実効性能の高いアプリケーション開発を支援するソフトウェア環境の提供をはじめ、仮想シングルシステムでベクトル型・スカラ型それぞれのシステムのリソースを有機的に活用できる統合スケジューラ、さらにシステム全体でデータの共有ができるNEC独自開発の分散共有ファイルシステムを提供しています。使いやすいシステムであることを目指し、運用面においてもNECはお客さまの生産性向上を追求しています。

社会を支えるスーパーコンピュータ。

―「SX-ACE」開発において、百瀬さんがいちばん苦労したことは何ですか。

写真:百瀬 真太郎 氏

百瀬:それは、設計の根幹となるアーキテクチャの転換ですね。SX-ACEは1個のCPUとメモリを1セットにするいままでにない方式です。

従来のSXシリーズはお客さまがプログラミングさえ行えば後は何もせずにフルオートマチックで、大規模演算の高速処理を行っていました。研究者にとって手間がかからないというのが、SXシリーズのひとつのセールスポイントでした。

SX-ACEの場合、1CPU単位のセットを連携して使用するので、セット間を連携するためのプログラムを書く必要があります。一方で、この方式を採用することで価格や電力を下げることができます。この点をお客さまはどう評価されるのか、正直不安がありました。さまざまなお客さまにヒアリングを行い、大丈夫という手応えをつかんだ上で、製品化を決定しました。SXシリーズに新たな方向性を生み出す決断。ここがいちばん苦労しました。

―「SX-ACE」の導入実績、今後期待される活用領域について教えてください。

百瀬:SX-ACEの国内の導入は、東北大学様、大阪大学様、国立環境研究所様が、すでに決まっています。海外では、ドイツのキール大学様で導入が決定しています。また、現在進行中の商談も複数あります。やはり超高性能と使い勝手を重視してくださるお客さま、特に天気予報や気候変動予測などの気象・気候分野、航空機設計などの流体シミュレーション分野、地震・津波などの自然災害対策分野などでより多くのお客さまに使っていただくことを期待しています。

NECでは、お客さまのプログラムをお借りし、SX-ACEで実際に走らせて成果を検証するトライアルも行っています。「スーパーコンピュータなんて、ウチには関係ない」なんて思わずに、メーカやサービス分野など幅広いお客さまから気軽にお問合せいただいて、SX-ACEの実効性能をぜひご自身で実感していただけたらと思います。

やりがいは最先端のモノづくりに対する喜び。

写真:百瀬 真太郎 氏

―スーパーコンピュータ開発者としての百瀬さん自身について、聞かせてください。

百瀬:学生時代は、情報科学研究科で機械学習の並列処理による高速化の研究をしていました。自分たちでパソコンを数台つないで、自作の小型スーパーコンピュータを制作し処理の高速化などに取り組んでいました。そうした経験や知識を活かせる職場として選んだのがNECでした。NECに入社して約10年ですが、調査などを含め一貫してスーパーコンピュータの製品企画や、製品の初期検討、製品プロモーションに携わっています。

―スーパーコンピュータ開発における百瀬さんのやりがいとは、何ですか。

百瀬
:自分たちが考えた概念や骨組みに則って、実際に最先端のスーパーコンピュータ製品が生まれるという喜びですね。また、新製品が雑誌やWebの記事に取り上げられたり、最先端の研究に自分たちが開発したスーパーコンピュータが使われていることを実感するととてもうれしいです。スーパーコンピュータを導入するお客さまは、日本を代表する大学や研究機関の先生が多いので、そうしたお客さまと直にお会いして技術的なお話ができるのも、スーパーコンピュータ開発者の醍醐味だと思いますね。

―NECのスーパーコンピュータ開発における今後の計画や展望を教えてください。

写真:百瀬 真太郎 氏

百瀬:SX-ACEの後継製品の検討を進めていますが、詳しい内容についてはヒミツです(笑)。ただ、ビッグデータ領域など、これまでの科学研究分野以外の新しい分野での活用にどう踏み込んでいけるかが、ひとつの大きなテーマになっています。

SXシリーズはSX-ACEで10世代目となり、次機種の開発が大きな節目でもあります。これまでは、システムあたり数千万円から数百億円という大型システム指向でしたが、これからはビッグデータのプラットフォームとして、個人で購入して手軽に活用できるようなモデルから、スーパーコンピュータセンターなどの超大規模システムまで、幅広いレンジに対応できるスーパーコンピュータを検討しているところです。

この新世代ベクトル製品を従来の先端研究分野を中心とする適用領域から、地震・津波シミュレーションなどの防災・減災分野、自動車設計などのものづくり分野、手術シミュレーションのような医療画像分野、顔認証などのセキュリティ分野、そして今後爆発的に需要が増えるビッグデータ分野へと拡大していきたいと考えています。

我々の持っているベクトル技術を使い、世の中のあらゆる課題・問題を解決し、効率的で安心・安全な社会の実現に貢献することが我々の果たすべき役割であると考えています。

―最後に仕事を離れたオフの過ごし方や趣味を教えてください。

百瀬:オンはしっかり働いて、オフは思いっきり遊ぶ。この姿勢を大切にしています。仕事も遊びも充実することが、自分にとっては最も大事なポイントです。以前はクルマが趣味でした。クルマのエンジンや足回りなどを自分で改造し、サーキットを走っていました。ドリフト走行なんかもやりましたね。クルマを自分で改造した経験や知識は、スーパーコンピュータのメカ周りや冷却システムの改善などにちょっぴり役立っています。近頃の休日はルアーを使ったブラックバス釣りにハマってます。土日は近場の神奈川などに行きますが、1週間の長い休暇には、クルマに釣り具を満載して、東北や関西まで足を伸ばしたりもします。

(2014年7月23日)

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