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Innovators 100 Series Vol.21 藤原 法之

海底地震/津波観測の進化をサポートする案内人

2015年3月31日

Vol.21 CHAPTER2 海底地震/津波観測の進化をサポートする案内人 藤原 法之NECネッツエスアイ キャリアソリューション事業本部 サービスプラットフォーム事業部 海洋エンジニアリング部 担当部長 理学博士: 藤原 法之

―海底地震/津波観測システム開発のプロジェクトは、どのように進むのでしょうか。

写真:藤原法之 氏

藤原:プロジェクトは、海洋調査に始まり、機器調達・製造、システム組立て・試験、海洋敷設工事、総合動作試験というフローで進みます。NECはグループの総合力で、これらの工程すべてを支えています。システムの規模によって異なりますが、納入まで2年位のものから、長いものでは4年位かかることもあります。

海底地震/津波観測システムはお客さまの目的によって、観測装置などの設置場所に対する要望も変わってきます。ですから、綿密な海洋調査により最適な場所(海底)にシステムを設置するためのルート設計が特に重要になってきます。

―海底地震/津波観測システムのルートは、どうやって決められるのですか。

藤原:海底地震/津波観測システムも通信システムも、お客さまが希望するルートに正確にシステムを設置することが大前提ですが、それ以外にもルート設計にはいろいろな注意や配慮が必要です。海底にも高い山や深い谷があったりします。ひょっとしたら沈没した難破船があるかも知れません。

また、サンゴ礁や漁礁などの生態系などに対する環境配慮も必要です。浅い海では、漁船の底引き網や船の錨に対する注意も欠かせません。こうした注意や配慮は、通信用の光海底ケーブルシステムにおいても、海底地震/津波観測システムにおいても共通です。

ですが、大きく異なる点もあります。通信用の光海底ケーブルシステムでは、海底地震や火山活動のない、比較的安定した海域に敷設します。一方、海底地震/津波観測システムは、地震などの活動を正確に観測することを目的としているので、あえて海底地震や火山活動が活発な場所などを敷設ルートとして選ぶ必要があります。そのため、海底地震計や海底津波計の設置場所が特に重要で、お客さまが決定した設置場所にピンポイントで機器を設置する敷設技術が要求されます。例えて言うなら、富士山頂からボールを投げて、地上の小さな的に当てるような正確さが求められるのです。

図インラインシステム概念図

―海底観測における、世界の国々の動きはどうなっているのでしょうか。

藤原:いままで私たちが多く手がけてきたのは、地震計や津波計などの観測機器を光海底ケーブルに直接つなぐ「インライン方式」というものでした。2000年以降になると、「ノード方式」というシステムの開発が日本やアメリカ、ヨーロッパ諸国で進められるようになりました。この「ノード方式」では、地震や津波など地球物理的活動のほかに、潮流や海水温、海水成分など、より広範囲な海洋環境変動観測を目的としたセンサの接続が可能となりました。

「ノード方式」は、陸地の2カ所から光海底ケーブルをループ状に敷設します。光海底ケーブルの途中には、複数の水中着脱コネクタを装備したノードと呼ばれる中継装置が設置されています。ノードは、家庭でさまざまな家電機器を接続する「電源タップ」を想像するとわかりやすいと思います。目的や用途に応じてさまざまな観測機器を自由に組み合わせて接続するなど、柔軟なシステム構築が可能です。

今後、「インライン式」と「ノード式」は、それぞれのシステムの特徴を活かし、システムの運用目的などに応じて使い分けされながら共存する中で、いままで以上に防災と減災に貢献するシステムに発展していくと思います。

海底資源探査に向けての新たな取り組み

―日本では、「ノード方式」の開発でどんな取り組みが行われているのですか。

写真:藤原法之 氏

藤原:日本では、南海トラフ地震・津波に対する常時観測と監視を目的として、JAMSTEC(海洋研究開発機構)様が、2006年より熊野灘沖の東南海震源域にける地震・津波観測監視システムDONET1(Dense Oceanfloor Network System for Earthquakes and Tsunamis)の研究開発を進めてきました。そして2011年には5台のノードをはじめ強震計、広帯域地震計、水圧計、ハイドロフォン、精密温度計などの複数センサを1式とした合計20式のマルチの測定機器すべてがノードを介して海底ケーブルでつながったシステムが完成し、正式運用されています。

これにより、ゆっくりとした地殻変動や大小さまざまな規模の地震動まで、海底のあらゆるタイプの動きが確実に捉えられるようになり、地震予測モデルの高度化や地震発生メカニズムの研究・解明などに役立っています。

―「ノード方式」のDONET1開発における、NECグループの関わりを教えてください。

藤原:DONET1の開発では、ノードをはじめとする観測機器の新規開発/製造、そして約300kmにおよぶ基幹ケーブルの敷設を担当しました。このシステムでは、地震の発生を100万分の1秒という時刻精度で正確に記録する技術の開発も実現しました。

光海底ケーブル部分の敷設の後は、JAMSTEC様が保有されている無人潜水艇(ROV)によって、ノードの設置や観測機器の接続が行われました。無人潜水艇は、観測機器を任意の場所へピンポイントで設置・接続するほか、機器の追加や変更、メンテナンスなどさまざまな作業をこなします。

図ノードシステムのイメージ(JAMSTEC様 DONET)

写真DONET1のNODE外観(JAMTEC様)

現在、国内で2つのプロジェクトが進行中

―海底地震/津波観測システムの活用状況、進行中のプロジェクトを教えてください。

藤原:現在、日本では太平洋側を中心にインライン方式による8つのシステムと、ノード方式による1つのシステム(DONET 1)が稼働しています。

さらに、2つのプロジェクトが進行中で、いまは機器製造が終了してシステムの敷設が行われているところです。プロジェクトのひとつは、JAMSTEC様が四国/紀伊半島沖に設置され、2015年度に稼働予定のDONET2です。

もうひとつは、防災科学技術研究所様が東日本で構築している日本海溝海底地震津波観測網(S-net)です。このシステムは、光海底ケーブルの総長約5,600kmで150台の海底地震計/津波計で構成されている、世界でも類を見ない大規模なインライン式のシステムです。従来のインライン方式では、地震計と津波計は別々の容器に収められていましたが、このシステムは地震計と津波計が同じ容器に収められているハイブリッド型となっていることが大きな特徴です。

NECグループは、多種多様な海底地震/津波観測システム開発において国内のほとんどのプロジェクトを手がけているだけでなく、海外プロジェクトでも台湾の気象局にシステムを導入した実績があります。

―仕事に関する藤原さんの苦労ややりがいとは、何ですか。

藤原:お客さまによって、海底地震/津波観測システム開発に対するニーズやご要望はそれぞれ異なります。開発するシステムはつねに、お客さま固有の唯一無二といっても過言ではない特徴的なシステムとなっています。

つまり、私たちの仕事は世の中にまだ存在しない唯一無二のシステムを、NECの光海底ケーブルという共通のプラットフォームの上に実現し続けているのです。その中で、お客さまのご要望を具体的な案件に結びつけるのが私の仕事です。お客さまによって個々に異なるニーズや課題をきちんと理解して、システム開発の可能性を判断する。そうした仕事にはいろいろな苦労もありますが、逆にそれがやりがいにもなっています。

私としては、NECグループの総合力を活かし、防災や減災を通じて、安心・安全な暮らしを支えるインフラづくりに貢献していることに、いちばんのやりがいを感じますね。自分たちの仕事が、多くのみなさんの笑顔につながることが、大きな励みになっています。

―海底観測システムについて、NECグループの今後の貢献を聞かせてください。

藤原:地震や津波を観測するシステムの進歩や強化を、お客さまのニーズに即して実現していくことは、これからも取り組むべき重要なテーマです。一方で、光海底ケーブルやノードを活用した、いままでにない新たな取り組みが始まっています。それは、内閣府が主導している政府の取り組み「戦力的イノベーション創造プログラム(SIP)」のひとつとして、JAMSTEC様が推進している次世代海洋資源調査というプロジェクトです。

その目的は、日本周辺に眠っている海底熱水鉱床やレアアースなどのモニタリングや資源探査などを、深海底で行うということを可能にする技術開発および実用化と理解しています。NECグループはこれまでの実績と技術を背景に、JAMSTEC様のご指導のもと、従来の光海底ケーブルや次世代のハイパワーノードなどを開発して、先進プロジェクトのプラットフォームの実現に取り組んでいます。

写真:藤原法之 氏

―藤原さんの趣味やオフタイムの過ごし方を教えてください。

藤原:4年前から、趣味としてランニングを続けています。最初は3kmレースにチャレンジしたのですが、その時は500mも走れず自分でも愕然としました。それから練習を重ねて5km、10kmと距離を伸ばして、現在ではハーフマラソンを2時間余りで走れるようになりました。

先日は、30kmマラソンにも挑戦しました。土日の午前中、多摩川の河川敷を走るのが習慣です。走ることは気持ちいいですし、走った日のビールの味はまた格別です。いつの日か、ホノルルマラソンを走るのが、私の夢ですね。

(2015年3月31日)

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