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Innovators 100 Series Vol.05 岩田 淳

Mr.OpenFlow(ミスター・オープンフロー)

2014年1月31日

Vol.05 CHAPTER1 Mr.OpenFlow(ミスター・オープンフロー) 岩田 淳NEC 情報・ナレッジ研究所 所長代理/工学博士: 岩田 淳

ネットワークの世界に20年に1度の革新をもたらすというSDN。
そんなSDNを実現するOpenFlow(オープンフロー)技術対応の製品をNECは世界で初めて世に送り出しました。OpenFlow技術の研究と製品開発の双方に関わり、Mr.OpenFlow(ミスター・オープンフロー)と呼ばれる岩田 淳。新たな価値創造に対する想いや研究者としてのこだわりを語ります。

ネットワークを革新する、いま注目のSDN。

―はじめに、ネットワークを革新する考え方として、いま注目を集めている
SDN(Software-Defined Networking)について、ご説明ください。

岩田
:SDNをひと言で表すと、ソフトウェアでネットワークをコントロールすることです。これまでは、ネットワークの中に大量に存在するルータなどのネットワーク機器を1台1台設定をしていかなければならず、特殊な知識やノウハウを持った人しかネットワークの運用や設定ができませんでした。SDNは、ネットワーク機器の上位にソフトウェアを置いて、ネットワーク全体をコントロールするというものです。これにより、専門知識やノウハウがない人でもネットワークの制御や運用ができるようになります。わかりやすい例をあげると、渋滞している道を迂回したり、道を知らなくても最適なルートを自動的に選んで教えてくれるカーナビのような便利さをネットワークの世界で実現することです。

もうひとつの特長は、アプリケーションに合わせたネットワークの最適化があります。オフィスなどでは、データベースサーバやウェブサーバなどさまざまなアプリケーションが動いています。従来のネットワークではそうした機能をただつなぐだけでしたが、SDNはそれぞれのアプリケーションの性能を最大限に引き出せるようにネットワークの最適化を行うことで、処理スピードを10倍に上げるといったことも可能になります。つまり、SDNはネットワークを運用する人たちにとっても、ICTシステムを活用するエンドユーザにとっても大きな価値を生み出す技術として、いま注目を集めています。

―次に、SDNを実現する代表的な技術であるOpenFlowとは何か?
説明をお願いします。

岩田
:ソフトウェアというひとつの頭脳によって、ネットワークを集中制御するのがOpenFlowだと、よく言われます。ですが、これはOpenFlowのある一つの側面です。ソフトウェアによってネットワークが物理的な制限の壁を越えて自由に、柔軟にコントロールできる。また、ネットワーク機器ベンダーごとの特殊な仕様に縛られない、オープン化されたネットワークを容易にプログラムできる。この2点が、OpenFlowの本質だと私は考えています。たとえば、OpenFlow技術を利用すると、企業やビル、業務単位や人単位でネットワークを最適にコントロールするといったことも可能になってきます。

―SDNなどネットワークのオープン化の背景には、どんな理由や
背景があったのでしょうか?

岩田
:大きく2つの理由があると思います。第一は、お客さまのビジネス上におけるネットワーク課題です。データセンター事業者や企業ではこれまで、業務の追加や新たなサービス提供を行う時、ネットワークの変更や設定に多大な時間やコストがかかっていました。市場に新しいサービスを提供する場合、サーバなどは仮想化の進展ですぐ準備ができても、ネットワーク変更に数週間という時間がかかり、すばやいサービスインができないなど、経営に直結した課題も生じていました。こうした課題を解決したいというニーズが高まってきたのが、ひとつの理由です。第二は、クラウドやビッグデータなどに代表される大量データ活用の進展です。膨大なデータ処理を高速で行い、それをリアルタイムでフィードバックするといったスピードに対応できるネットワークの革新が求められてきました。NECは、これまでさまざまな業種ソリューションを提供してきた実績があり、こうした経験からお客さまのネットワーク課題やニーズなどを早くからつかんでいました。また、データセンター構築や運用も手掛けているNECは、クラウド活用などに対応できる新たなネットワーク技術の必要性も実感していました。こうした時代の流れを先取りして、NECはいち早く新たなネットワーク開発の研究に取り組んでいました。

20年に1度というネットワークの革新に向けて。

―OpenFlow技術の研究開発。そのきっかけや経緯を教えてください。

写真:岩田 淳 氏

岩田:2006年にアメリカのスタンフォード大学を訪問した際、コンピュータサイエンス学科のNick Mckeown教授から申し出があったのです。それは、これまでのネットワーク技術を改革するのではなく、新しいネットワーク技術をゼロから考えて開発する研究活動(Clean Slate Program)というものでした。当時、新世代ネットワークと呼ばれる研究が国内で議論されていた時期で、新しいネットワークの研究を早くから進めていたNECは、スタンフォード大学からの申し出に賛同して共同研究をスタートさせました。共同研究のテーマはいろいろありました。当時はまだ、OpenFlowという言葉はありませんでしたが、研究テーマのひとつにOpenFlowの原点となる研究開発があったのです。OpenFlowの共同研究では、SDN実現に役立つシーズのようなものが当時あったので、それをもとに議論を重ねながら徐々に方式を固めていきました。

―NECとスタンフォード大学におけるOpenFlowの共同研究とは、
具体的にどのようなものだったのでしょうか。

岩田
:簡単に言うと、OpenFlow対応のソフトウェアを従来のスイッチに組み込み、新たなネットワーク制御のアプリケーションをコントローラ上にプログラムし、実際のネットワークを使ってトライアル検証を進めながら仕様の完成度を向上していくというものでした。具体的には、まずNECが製造・販売している既存のスイッチのソフトウェア機能だけをOpenFlow対応にする改造を、日本の研究所で行いました。NECの事業部とともに、OpenFlowに対応したスイッチの原型となる試作機をつくり上げたのです。そして日本でつくった試作機をアメリカのスタンフォード大学に送り、ネットワークを使って様々な実証実験を繰り返して行いました。初めは自分たちが使っている身近なネットワークで検証を行い、次第に学内のさまざまなビル、さらに複数の大学へと実証実験の対象を拡げ、検証結果の実績を高めていきました。
 実証実験から得られたさまざまなデータは再び日本に送られ、ソフトウェアの改良や試作機のバージョンアップのために利用します。そしてバージョンアップした試作機をアメリカに送り、また実証実験を行うという繰り返しで、かなり大変な作業でした。実際のネットワークを動かしながら、スイッチの機能や性能を上げていくというスタイルは、クルマを実際に走らせながらその性能をチューンアップしていくF1マシンの開発に似ているとも言えますね。

世界初、SDNを実現する製品化に成功。

―OpenFlow対応として世界で初めてNECが製品化に成功した
「UNIVERGE PFシリーズ」開発について教えてください。

岩田
:スタンフォード大学との間での2年間ほどの共同研究の後、2009年頃には製品化への道が見えてきたため、事業部に対して製品化の打診を行いました。もちろんその当時は、OpenFlowに対応した製品がどのように世の中に受け入れられるのか、まったく予測できない時期でした。またNECでは、これまでネットワーク機器の製造販売、SIerとしてさまざまなネットワークの構築や運用などを手がけていました。そうしたこれまでのNECの事業に対して、新たなOpenFlow対応の製品はどんな影響を及ぼすのか。さらにお客さまへ提供できる新たな価値や10年後のNECのビジネス像、さらにグローバル市場の成長などを見据えた結果、製品化に踏み切り、OpenFlow領域をNECがけん引して行こうという結論に達したのです。そして約2年の製品開発の末、ついに2011年に世界で初めてOpenFlowに対応した「UNIVERGE PFシリーズ」として製品開発を成功させました。

―「UNIVERGE PFシリーズ」の開発では、どんな裏話や苦労がありましたか?

岩田
:UNIVERGE PFシリーズの製品開発のために発足したプロジェクトでは、いろんな事業部から開発メンバーが集まってチームを編成しました。わかりやすく言うと、IT系とネットワーク系に精通したプロたちの混成チームでした。IT系とネットワーク系では、まず使っている言葉が違います。文化や仕様、テストの進め方も違います。なので、まず最初にやったことは言葉合わせでした(笑)。考えや主張のぶつかり合いなど、最初のころは喧々諤々いろんなやり取りがありました。そうした中でお互いの良さを認め合い、いいとこ取りを行っていくうちに、ITとネットワークの強みを融合した成果として、世界に先駆けた製品を生み出すことができたのです。

―2011年、OpenFlowの製品化に成功した頃、
SDNの実現に向けた世界の動きは、どのような状況だったのでしょうか?

岩田
:NECが世界で初めてOpenFlow対応製品「UNIVERGE PFシリーズ」として製品化した2011年、時を同じくしてOpenFlow技術を標準化しようという大きな動きが世界で始まりました。日本ではNTTやNEC、海外ではヤフーやグーグル、フェイスブック、マイクロソフト、さらにはドイツテレコムなど、世界を代表する大手通信キャリアやプロバイダ、ICTベンダーがメンバーとなった標準化団体であるOpen Networking Foundation(ONF)が発足しました。いま、OpenFlowの標準化への動きがグローバルに拡がっています。NECは、OpenFlowに関する研究開発、製品化、そして標準化と、さまざまな側面から時代をリードしてきたと言えるでしょう。

OpenFlow対応製品「UNIVERGE PFシリーズ」のコントローラ(左)、スイッチ(右)

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