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SX-9の高速ディスク装置

藤森 英明 ・滝柳 真澄 ・田中 洋次

要旨
近年、ブロードバンドの爆発的な普及により、eメール、動画コンテンツなどを代表とするデータ量が年率1.6倍で増大し、インターネットを介して様々なデータのやりとりが行われています。特に、ITシステム内におけるストレージにおいて、最も注目されている課題として、データ量の急増、管理の複雑化、業務停止時の影響が大きいことが挙げられます。本稿では、それらの課題に対する解決策としての、スケーラビリティ、マネージャビリティ、アベイラビリティの特長を持つ「iStorage D8」と、高いコストパフォーマンスと簡単導入や省スペース設計の特長を持つ「iStorage D1/D3」について論じます。

キーワード

  • ストレージ
  • ディスクアレイ装置
  • RAID
  • キャッシュ制御
  • 無停止拡張
  • 無停止増設
  • 消費電力機能(MAID)
  • 分散アクセス
  • バックアップ

1. はじめに

近年、ブロードバンドの爆発的な普及によりインターネットを介した様々なやり取りが激増し、eメール、動画コンテンツなどを代表とするデータ量が年率1.6倍で増大しています。企業のITシステムではこれらの環境に対応することが急務となっています。特に、スーパーコンピュータシステム内におけるストレージにおいて、最も注目されている課題として、データ量の急増、管理の複雑化、業務停止時の影響が大きいことが挙げられます。本稿では、これら企業が持つストレージの課題に対する解決策としての、「iStorage Dシリーズ」について論じます。

2. お客様が抱える課題

ストレージを導入しているお客様の課題として、第一に、予測困難なデータ量急増への対応が挙げられます。初期コスト削減を目的として小型ストレージ製品を導入した場合、データ量がその小型ストレージの最大容量を超えてしまうと、上位製品への買い直しが生じ、データ移行のためにシステム停止が必要となります。逆に、余裕を持たせて当初から大型ストレージを導入すると初期コストがかかることになります。

第二に、個別最適化によりシステムを乱立するとストレージの増大や多様化で運用管理のコストが増大し、業務変化に伴うストレージ構成変更も煩雑になっていることです。例えば運用するストレージの台数が増大することによって、管理が複雑化します。また、TCO削減を目的とした大型ストレージによるストレージ統合は、データ移行のためのシステム停止と綿密な設計作業が必要となります。

第三に、業務のグローバル化や企業間、企業内システムの連携などによる運用時間の長時間化が挙げられます。ストレージは常に多数のサーバからアクセスされており、ストレージの故障によりシステム停止を余儀なくされるケースが存在し、そのようなシステム停止は社会的信用を低下させる危険性を伴っています。特にスーパーコンピュータシステムではこのような無停止要求が顕著になっています。

3. NECが提案するストレージの解

第2章で挙げた各課題に対するNECの解決策として、先進仮想化テクノロジを採用した次世代スケーラブルストレージ、「iStorage Dシリーズ」を開発しました(図1)。ペタバイトまで柔軟に拡張が可能なスケーラブルストレージ「iStorage D8」と、ハイコストパフォーマンスストレージ「iStorage D1/D3」を製品ラインナップに加え、エントリクラスからハイエンドまでのご要望にお応えします。

3.1 iStorage D8

iStorage D8はSAN(Storage Area Network)対応のストレージ製品であり、3つの大きな特長を持ちます。

(1) スケーラビリティ

初期導入時スモールスタートしたシステムを、ペタバイト規模までの容量拡大とリニアな性能向上を業務無停止で実現します(図2)。ノードと呼ばれるストレージ装置の単位を最小1ノードから最大4ノードまで無停止で拡張することにより、容量拡大だけでなく、従来頭打ちとなっていたストレージ性能を、リニアに向上させることが可能となりました。

この特長を実現するテクノロジとして、業界で初めてのビルディングブロック構造、および分散キャッシュ方式を採用しました(図3)。これにより、柔軟な構成変更を可能としたノード増設とモジュール増設を実現しました。また、従来キャッシュへのアクセスが集中し、性能が頭打ちとなっていたものを、アクセスをノード単位に分散することによって競合を低減し、リニアな性能向上を実現します。さらに、キャッシュモジュールにMPU(Micro Prossessing Unit)を搭載するインテリジェントキャッシュ方式により、複雑なキャッシュデータ制御をキャッシュモジュール内に閉じて実行し、性能を向上しています。

(2) マネージャビリティ

iStorage D8では、仮想化テクノロジにより、業務に必要なリソースを自在に割り当て可能とするiStorage VirtualStoragePartitioningを提供します。

これは、ストレージ内の物理リソースをプール化し、プールから業務のタイプに応じて必要なリソースを割り当てた仮想ストレージを構成する機能です。仮想ストレージへのリソース追加や変更は、サーバやアプリケーションへの影響なく動的に実施可能です。また、仮想ストレージ単位に管理者を設定するユーザ管理機能を提供します。これにより、管理権限のない仮想ストレージへのアクセスを制限し、誤操作や不正アクセスを防止して、業務の機密性を確保します(図4)。

仮想ストレージのリソース割り当てには、業務タイプに応じて、リソースを専有して割り当てる性能重視型の方式と、リソースを共用して割り当てる効率重視型の方式があります(図5)。

1 性能重視型

ホストポート、キャッシュ、ディスクプールを仮想ストレージへ専用に割り当てます。リソースを専用で割り当てることにより、業務間のリソース競合を排除し、他の業務との性能影響を極小化できます。

2 効率重視型

各リソースを業務間で共有する、利用効率を最適化した仮想ストレージです。ディスクプールの容量効率を上げると共に、性能影響の大きいキャッシュについては業務ごとに割り当てる最小サイズの設定など、木目細かい制御を実現しています。

(3) アベイラビリティ

SX-9システムに要求される可用性向上に向けて、SPOF(Single Point of Failure)を徹底排除しています。多重化、モジュール構造化により、万一の障害発生によるシステム停止の極小化を実現しています(図6)。

また、HDDの二重障害でも業務の継続を可能とするRAID-6(Redandant Array of Independent Disks)に加えて、RAID-1の性能、RAID-6の冗長性を共に兼ね備えたRAID-TM(Triple Mirror)を実現しました(図7)。従来では、複雑なRAID演算処理を行う際にコントローラに実装されているMPUを利用していましたが、自社開発のLSI「高速RAIDエンジン」によって高速な処理を実現します。

3.2 iStorage D1/D3

「iStorage D1/D3」はiStorage D8の運用性・可用性を継承し、かつ、高いコストパフォーマンスと簡単導入や省スペース設計を実現しました。2Uのコンパクトな筐体でありながら最大12台のHDDを実装可能とし、また最大12 FCホストインタフェースポートまで増設でき、さらにDE(Disk Enclosure)を接続することによって最大144HDDまで実装可能としました(iStorage D3)。また、「iStorage D8」と同じように多重化、冗長化し、RAID-6、RAID-TMなどのテクノロジを採用することによって、SX-9システムに要求される高可用性を実現しています。

さらに、導入コスト削減の要望に応え、ストレージの専門知識がなくてもストレージの導入が簡単に行える導入簡易化を実現しました。WebSAM iStorageManagerの初期設定ウィザードにより、ストレージの設置からソフトウェアのインストール、ストレージの構築及びサーバへのディスク割り当てまで、一連の導入手順をナビゲートします。また、ストレージのディスカバリ機能により、導入対象のストレージやディスクを割り当てるサーバを自動検出します。これらの機能により、ストレージ導入の手間と時間を徹底的に簡略化し、従来ストレージと比較して、操作の手間を1/3、導入時間で2/3まで改善しました(図8)。

3.3 省エネ機能

ストレージシステムの規模が大きくなればなるほど、消費電力が大きくなり、ランニングコストも増大します。iStorage Dシリーズでは、MAID(Massive Arrays of Inactive Disks)技術を採用したiStorage StoragePowerConserverにより、環境にやさしい、システムの省エネ運用を実現します。

これは、ボリュームの使用状態に応じて、ボリュームの属するプールを構成するHDDの稼働停止/開始を制御する機能を提供します。これにより、バックアップ用途など、常時使用しないHDDを必要時のみ稼働させることで、最大30%の消費電力削減を実現します(図9)。このiStorage StoragePowerConserverは、ストレージシステムの環境配慮型製品としてNECのエコシンボルを取得しています。

4. おわりに

お客様が抱えるストレージの課題を解決する「iStorage Dシリーズ」について、その特長を中心に論じました。今後も、お客様ニーズの変化や市場動向に合わせてタイムリーな製品強化を実施する所存です。NECでは、これからもお客様に満足していただけるストレージ製品の提供を行ってまいります。

執筆者プロフィール

藤森 英明
第一コンピュータ事業本部
システムストレージ事業部
シニア海外企画マネージャー

滝柳 真澄
第一コンピュータ事業本部
システムストレージ事業部
技術エキスパート

田中 洋次
第一コンピュータ事業本部
システムストレージ事業部