Mobile World Congress 2017 English

2月27日~3月2日にスペイン・バルセロナで開催されたモバイル通信業界最大のイベントMobile World Congress 2017において、代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの新野隆が、2月28日に実施した基調講演のダイジェストです。

Driving Digital Transformation for Social Value Creation
NEC President Delivers Keynote Speech

写真:代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの新野隆

企業が、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の支援において不可欠な役割を果たしていることは疑いの余地がありません。企業は自社の利益だけを追求するのではなく、持続可能な将来の発展にも貢献しなければなりません。

NECは、ICTサービス・製品をグローバルに提供するにとどまらず、数年前から「安全」「安心」「効率」「公平」な社会を実現するために、社会価値創造型企業への転換を行いました。今回は、社会価値創造の取り組みを実現するために、NECがどのように最先端の技術を活用しているかをご紹介します。

NECの歴史

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最初にNECの歴史をご紹介します。NECは、1899年に創業しました。当時の主な事業は、電話関連の製品・保守サービスの提供でした。

その後、1977年にアトランタで開催されたインテルコムで、当時の会長 小林宏治が「コンピュータ技術とコミュニケーション技術の融合により、いつでも、どこでも、誰とでも、相手の顔を見ながら会話ができるようになる」との予見を「C&C宣言」として発表しました。

それ以来、NECは160か国で10万人を超える従業員を抱えるグローバル企業に成長してきました。コンピュータ技術とコミュニケーション技術の両方を有する、世界でもまれな企業です。今日、当社は革新的な社会ソリューションを提供するために、この2つの技術を一体化しています。また、これらの取り組みが評価され、先月のダボスでの世界経済フォーラムで、NECは世界で最も持続可能性の高い企業100社「2017 Global 100 Most Sustainable Corporations in the World」に選出されました。

時間とともに変化する

今日の複雑な社会課題に対応するために、企業はさまざまな技術と自社が保有する知識・知見とを結びつけていかなければなりません。企業が社会価値を創造するためには、単なる製品提供の枠を超えることが必要です。当社は、パートナーやステークホルダーと共創することで、世界が直面する社会課題に有効なソリューションを生み出すことができると考えています。

社会価値とは何か?

「Orchestrating a brighter world」というブランドステートメントのもと、NECは社会価値創造に向け、NECとして取り組むべき7つの社会価値創造テーマを策定しております。また、それぞれにおいて目指すべきビジョンとそれにより生み出される成果を示しています。これらの社会価値創造テーマは、環境のような地球的視点のものからはじまり、QOLなどの個人的視点へとフォーカスしていきます。

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7つの社会価値創造テーマ

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  1. 地球との共生「Sustainable Earth」
  2. 安全・安心な都市・行政基盤「Safer Cities & Public Services」
  3. 安全・高効率なライフライン「Lifeline Infrastructure」
  4. 豊かな社会を支える情報通信「Communication」
  5. 産業とICTの新結合「Industry Eco-System」
  6. 枠を超えた多様な働き方「Work Style」
  7. 個々人が躍動する豊かで公平な社会「Quality of Life」

NECの社会価値創造テーマは、国連が掲げるSDGsにも沿ったものです。たとえば、安全・安心な都市と行政基盤「Safer Cities & Public Services」、安全・高効率なライフライン「Lifeline Infrastructure」、豊かな社会を支える情報通信「Communication」が、SDGsの9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」に関係しています。

SDGsに適合する社会価値創造をいかに実現するか。NECは、その答えは「デジタルトランスフォーメーション」であると考えています。

デジタルトランスフォーメーションは、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)といった最先端の技術により、新たなビジネスモデルや社会スキームを創造します。

デジタルトランスフォーメーションの3つのキーとなる要素

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デジタルトランスフォーメーションには、3つのキーとなるプロセスがあります。

  1. 見える化
    現在の状況を理解するために、現実世界の情報をデジタルデータに変換します。
  2. 分析
    知見を獲得し結果を予測するために、データを分析します。
  3. 対処
    社会価値を生み出すために、分析で得られた知見を現実世界の行動へと転換します。

コミュニケーションネットワーク、コンピューティング、AIの3つの技術がこれらのプロセスを可能にします。コミュニケーションネットワーク技術は、リアルタイム接続を可能にします。コンピューティング技術は、安全な情報交換を提供します。また、AI技術は分析と対処に利用されます。

NECは、3つすべてのデジタルトランスフォーメーション・テクノロジーを自社で保有しています。さらに、技術を結合できる経験・スキルを蓄えているため、価値ある提案を行うと共に、SDGsにも貢献することができるのです。

次に、これらの貢献を示す4つの事例を紹介します。

ケース1:ティグレ市の安全な街

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NECは、犯罪の予防、安全・安心な街づくりを支援すること目指して、アルゼンチンのティグレ市において、街を見守る映像監視ソリューションを提供しています。これは、SDGsの11番「住み続けられるまちづくりを」に該当します。

このソリューションを2013年にティグレ市の監視センターで稼働させて以降、2008年に比べて車の盗難が80%減少しました。さらに、この10年で観光収入が3倍になりました。これは、デジタルトランスフォーメーションによって達成されたものであり、AIや先進技術により行う「見える化、分析、対処」が可能にした成果です。

ケース2:カゴメ様

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次に、農業分野の成果について紹介します。

世界的に人口が増加しているため、世界的な食料需要も増加します。NECは、食料・飲料製品で有数のメーカーであるカゴメ様と協力し、トマトの収穫量最大化に取り組んでいます。トマトは効率的に栽培することが非常に難しく、栽培に必要な農業スキルを身につけるには長年の経験が必要です。カゴメ様とNECは、今までトマトが栽培されていた地域での作物収穫高の増加を追求するだけでなく、まだトマト生産が行われていない地域でのトマト生産を可能にするための取り組みを展開しています。

この取り組みで関連するSDGsは、2番「飢餓をゼロに」、9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」、12番「つくる責任つかう責任」、13番「気候変動に具体的な対策を」です。

NECのAI技術を活用することで、従来技術なら蓄積に数年かかる膨大な過去データを必要とすることなく、初年度から高精度な収穫高予測を実現することができました。

特に、露地栽培では、気象の変化が大きく作用します。NECのソリューションは、直近の気象条件に基づいた生育予測のシミュレーションを2万通り以上行うことを可能にしました。

ケース3:モザンビークでの電子バウチャー

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次は、モザンビークの電子マネーソリューションを活用した事例です。この事例で関連するSDGsは、1番「貧困をなくそう」、2番「飢餓をなくそう」、9番「産業と技術革新の基盤をつくろう」、17番「パートナーシップで目標を達成しよう」の4つです。

農業が主な経済活動であるモザンビークでは、飢餓と貧困が切実な問題となっています。

NECは、国際連合食糧農業機関(FAO)と協力して、農業の生産性改善に取り組んでいます。FAOは、小規模生産の農家が農産物の品質を改善しより大きい市場へ参入できるよう、補助金事業として彼らに優良種苗・肥料等の農業資材が購入できる紙のバウチャーを配っていました。しかし、この事業は、セキュリティ、トレーサビリティ、購入資材の選択の自由度、バウチャーの精算リードタイムの面で問題を抱えていました。

当社は、この課題に対処するために、モバイルキャリア、日本植物燃料様などさまざまなパートナーと協力して、モバイルテクノロジーを活用した電子バウチャーのシステムをFAOに提供しました。

このソリューションにより、農家が補助金をより有効に利用できるようになり、農業資材の流通が改善され、農産物の生産量増加・農家の収入増加につながったほか、補助金事業の業務効率化、可視化にも貢献しました。このような情報・金融プラットフォームは、多くの開発途上国で活用できると考えています。

ケース4:チリの教育

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最後の事例は、チリの小学生の健康的な食事と教育に関するものです。これら2つの重要な国家的課題は、SDGsの3番「すべての人に健康と福祉を」と、4番「質の高い教育をみんなに」とに該当するものです。

チリ政府は、給食プログラムの実行にあたり、課題に直面していました。給食が行き渡っているか、また食品廃棄を防ぐことができているか、を確認するために必要なシステムがなかったのです。

NECは、学校給食を提供する役割を担っている政府機関のJUNAEBが、3都市30校の学校で行っているプログラムに対して、生体認証ソリューションを提供しました。各学校は、テレフォニカのモバイル回線経由で、指紋認証を行うサーバーと接続されています。

このソリューションにより、JUNAEBは、全生徒が適切に給食を受け取っているかを確認できるようになり、全生徒に給食が行きわたることを可能にしました。また、システムの導入に際しては、生徒の人権やプライバシーに十分配慮して行われました。

JUNAEBは、400万人の生徒に対してこのソリューションを展開する予定であり、チリが南米諸国の中で栄養状態と識字率が高い国であり続けられるよう後押しすることにつながると考えています。

以上4つのケースをとおして、デジタルトランスフォーメーションがどのようにSDGsに貢献できるかをご紹介しました。

AI、コネクティビティ、セキュリティなど先進技術の活用と、テレコムキャリアをはじめ、公共セクター、その他多くの産業界の皆様との協業を通じて、成し遂げられたものです。

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共に、世界の想いを未来につなげましょう

NECは、デジタルトランスフォーメーションにフォーカスすることで、SDGsへの貢献とよりよい社会が実現できると確信しています。そして、この実現には皆様との共創が不可欠です。

幅広い皆様との共創によって社会価値を創造していくことが、成功への唯一の道です。皆様、一緒に、素晴らしい社会を実現しましょう。

写真:Co-creation
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