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プロセス産業におけるトヨタ生産方式の適用事例紹介eセミナー(第2回)

4.生産改革のトライ計画を設定する

対象とする品目(グループ)およびモデルラインが決まると、トライ実行に向けて実際の生産パターンを検討していくことになる。この段階では、販売量の見通しに始まり、月・日別の生産量、操業体制、生産能力設定等、生産要素の検討を進め、最終的には生産の構えまでを決定しなければならない。

(1)対象品目グループの通年販売量・生産量の明確化

販売量は通常の場合、事業計画で決められているものであるから、その事業計画での販売数量を採用すればよい。その後、販売計画を満足すべく、生産計画を決めることになるが、現状レベルの在庫を持ちながらスタートし、モデルラインでのトライの進捗に応じて、適正在庫量に持っていくよう、在庫計画と抱き合わせて生産計画を検討していかなければならない。

(2)工場操業計画の明確化

モデルラインでは毎日生産を続けていくわけであるから、当該品目(グループ)トータルの生産キャパシティを決定する大きな要素が、操業計画である。具体的には、モデルラインでの操業計画を決定付ける以下の要素を、この段階で明確にする。

  • 標準操業日数:稼動可能日数、操業カレンダー
  • 標準操業時間:定時での稼動可能時間、期間毎の操業シフト、定時操業時間の増減

S工場においては、モデルとするコーンタイプアイスの販売量が夏場と冬場で2倍以上の差があるため、夏季と冬季で標準操業日数に差をつける操業カレンダーおよび夏季の2シフト生産を決定した

KPS導入前の販売・生産計画

KPSの考え方に基づいた生産計画

上の図表がKPS導入前の販売と生産実績を示し、下の図表がKPSの考え方に基づいた販売・生産計画を示している。KPS導入前との対比ができるよう、上下の図表とも同じ販売数を使っている。

(3)タクトタイムの算出

ここでKPSのキーとなるタクトタイムの算出に取り掛かる。各品目(グループ)の定量を毎日定時で生産する場合、一定時間内に必要量の生産を実現するための速度が決まるが、これをタクトタイムと呼び、具体的には次のように算出する。

タクトタイム=定時操業時間÷必要量

例えば、当月に必要とされる生産量が50万個、当月の操業日数が20日、定時操業時間が7時間である場合、

タクトタイム=3600秒/時間×7時間/日×20日÷50万個=1.01秒/個

となる。

(4)対象ラインの生産能力の検討

(5)生産の構えの検討

生産能力を決定する要素は、定時操業時間を含めて次の8項目に集約される。

a タクトタイム(秒/個)
b チョコ停率(%)
c 不確定作業時間率(%)
d 不良発生率(%)
e 準備段取時間(分/日)
f 品種切替時間(分/回)
g ドカ停(分/日)
h 定時操業時間(分/日)…稼動可能時間

時間生産能力(個/Hr)=3600秒/時間÷a×(1-b-c)×(1-d) 

定時生産能力(個/日)=時間生産能力×(h-e-f ×日当たり品種切替回数-g)


これらの要素を決めるに際して、ベストの状態(最終目標)を明確にした上で、当面の目標値を設定する。この目標値が短期間での実現が困難な値であれば齟齬の大きさからトライ挫折の恐れを伴う一方、現状値に近ければ改善の動機に結びつかない。従って、工夫・改善を繰り返して達成出来る程度の値が望ましいといえるが、これが改善の出発点であるという認識で戦略的に設定すべきである。S工場の場合、過去の実績におけるベスト値の採用を基本とした。

また、旧来の生産方式では、何らかの不確定要素がある場合、余裕率を加味して手待ちを前提とした人員配置を行ったり、設備に余分な能力を持たせることが通例であった。この方法だと、作業の中に余裕を持たせているため、問題が顕在化しないのである。

その問題を回避するために実行タクトタイムという概念を採用した。実行タクトタイムの考え方は、作業毎に余裕を持たせる代わりに、不確定要素(b、c、d)の個々の許容範囲を設定し、その許容範囲の上限で計画を立案し、一切の余裕は持たせない。実行タクトタイムは、次の式で表すことができる。

実行タクトタイム(秒/個)=タクトタイム×(1-b-c)×(1-d)

さらに、不確定要素の変動の程度は常時監視できる体制を敷く。KPSとは、一切の不確定要素を排除した計画を立案することが基本であり、実行段階での計画との齟齬を即時に顕在化する仕組みであることが、ここでもお分かりいただけると思う。

構えの決め方として、実行タクトタイムと生産能力の関係でアプローチは変わってくるが、ここで共通することは、全社的に一番安く作れる方法を考えるという鉄則である。以下にアプローチの一例を示す。

■ 実行タクトタイム > 生産速度(生産能力に余裕がある場合)

・ 定時割れが発生する
  → 余力捻出のパターンを決め、余力の活用方法を決める
a. 毎日一定時間早めに生産を終える
- 他工程の作業を取り込む
- 外段取作業を取り込む

b. 定時内フル生産を一定期間継続し、改善日などを設ける
- 設備・作業を改善する
- 教育・訓練を行う

・ 定時割れを無くす
  → 生産速度を緩め、配置人員を省人化する

■ 実行タクトタイム < 生産速度(生産能力が不足する場合)

  • 生産能力を向上させる
  • チョコ停を減らす
  • 不良率を低減する
  • 準備段取時間を短縮する
  • 品種切替時間を短縮する
  • ドカ停を減らす

なお、生産能力が大きく不足する場合であれば、

  • 操業シフトを増加する(1→2シフト、2→3シフト)
  • 計画的に在庫を積み増しする(季節変動パターンが読める場合)

生産能力が不足する場合、残業・休日出勤等の対策も考えられるが、これら水際対策は実際の運用における増売傾向等が起こった場合の増産に充当する「糊しろ」としてキープし、生産の構えには織り込まず、増産可能数量として明確にしておく。

生産の構えが決まれば、いよいよモデルラインでのトライ計画に移っていくことになる。以降、トライ計画に沿ってKPSを運用し、その結果の評価、課題の抽出、改善の実行というPDCAサイクルを回していくことになるが、次章ではKPSトライ計画及びKPS本格運用における各工場での実行事例のパターンを紹介する。

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