ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. スマートエネルギー
  3. NECのスマートエネルギー
  4. NECからのメッセージ
  5. 東北三県で新たにエネルギー供給モデルを目指す
  6. 新ビジネス立案の土台になるデータの蓄積
ここから本文です。

東北三県で進める実証から新たなエネルギー供給モデルの確立を目指す

新ビジネス立案の土台になるデータの蓄積

―実証事業における役割はどのように分担されていますか。

石 井:
設置拠点を持つお客様への趣旨説明と協力企業の募集はオリックスに担当してもらい、NECは実証事業に必要なシステムの開発を担当しました。また設置作業は共同で行い、NECからも担当者が現地に入って設置作業を進めています。

―実際、設置作業をされて現地での反応はいかがでしたか。

NEC スマートエネルギー事業本部 塩野入 彩香

塩野入:
事業の趣旨に関してはすでにご理解いただいているので、設置はスムーズに進みました。今回は電力のピークカットが大きな目的ですが、本実証事業に協力いただいている皆様は非常時の電力確保に期待を寄せているようです。当初、岩手県大船渡に入って導入先の本部だった建物を見たときには思わず言葉をのみました。3階まであったはずの建物は2階部分まで骨組みだけでした。蓄電システムは、新たに建て直された店舗へ設置させていただくことになりましたが、その際、停電時にどの電気機器へ電力を確保するかを決めていただく作業などでは、震災での経験が生かされていると感じました。

図版:東北三県にわたって行われる実証実験拡大図東北三県にわたって行われる実証実験
実証拠点は東北三県にまたがり、合計5カ所にのぼる

―電力を確保する電気機器としては、どのようなものが選ばれるのですか。

塩野入:
お客様によって異なりますが、最も多いのは建物内の照明です。今回の設置拠点には2店舗のスーパーマーケットが含まれていますが、照明は店内の安全確保のために不可欠だと伺いました。その一方で、多目的ホールへの設置では、トイレの給水ポンプが選ばれました。ここは災害時の避難場所になるため、停電時でもトイレが使える必要があるからです。また飲食チェーンでは、店内照明と重要データが入ったパソコンをご選択いただいています。

石 井:
省エネルギーへの取り組みを顧客にアピールしたい、というご要望もありました。拠点ごとの蓄電池や太陽光発電システムの電力情報は、各拠点で設置していただいたディスプレイに表示することも可能です。これを顧客に見せることで、企業としての取り組みを示すことが容易になります。

―現在、電力の需要データはどの程度集まっていますか。

石 井:
まだ設置を進めている段階なので、本格的なデータ収集はこれからです。しかしすでに設置している拠点では、特徴的な需要パターンが見え始めています。例えば飲食チェーンの店舗では看板の消費電力が大きく、夜になると消費電力が跳ね上がる傾向が見られます。また事務所では、人がいるときといないときの差が大きいこともわかっています。

吉田氏:
このようなデータの収集は、新たなエネルギービジネス立案の土台になります。
例えば現在では、企業向けの電力料金は家庭向けほど昼夜格差がありません。
しかし企業でも電力需要の変動が大きいことがわかれば、それに合わせた電力料金設定と蓄電システムを組み合わせることで、大幅にコストカットできる可能性があります。また将来は既存の電力網と太陽光などを用いた新しい電力を組み合わせるというモデルも考えられます。

現在、議論が進んでいる低圧電力の自由化が法案として成立すれば、3年後には完全自由化が始まるといわれています。このときに蓄積したデータがなければ、最適なモデルの提案はできません。しかし今からデータ収集を始めれば、最低でも2年分のデータを蓄積できます。もちろん2年分では十分とはいえませんが、データがあれば、ある程度裏付けのある提案が可能になります。

NEC エネルギー事業開発本部 マネージャー 石井 健一

石 井:
データが蓄積されれば、ICTを活用したデータ分析やシミュレーションによって将来予測も可能になります。
例えば気象データなどと組み合わせれば、天候の変化によって、いつどれだけの電力需要が発生するかが予測できます。
この結果をもとに、夜間にどれだけ電力を蓄えて、昼間にどのように電力を使うかを、自動的に最適な形でコントロールすることも可能になるでしょう。

吉田氏:
設置拠点数が多くなれば、全体最適化も行いやすくなると思います。例えばある拠点で電力需要が大きくなると予測できる場合には、他の拠点でその分の電力需要を抑えるというアプローチが考えられます。それが、分散電源の集中運用という考え方です。ただしこれを実現するには、利用者が納得できる制度づくりも欠かせません。こうした課題を踏まえつつ、どのようにビジネスモデルとしてまとめ上げていくかも、今後の課題になると思います。

図版:「分散型エネルギー管理・制御」実証事業のシステムイメージ拡大図「分散型エネルギー管理・制御」実証事業のシステムイメージ
電力の需要家側に蓄電システムを設置、これらをクラウドシステムに接続することで、需要データの収集・分析や遠隔制御を可能にしている。これによって需給調整を行い、ピークカットを実現する

蓄電システムで新たなエネルギー供給モデルを実現

―昨年10月には、オリックス、NEC、エプコが一般家庭向けの定置用蓄電池のレンタルモデルによる共同事業の検討を開始した、というプレスリリースもありました。これも今回の実証事業と関係していますか。

吉田氏:
実証事業とは並行して検討が行われていますが、新しいエネルギービジネスのモデルをつくり上げるという点では、関連する取り組みだといえます。実証事業は企業向けとして進められていますが、この共同事業は一般家庭向けです。企業と家庭では電力の使われ方が大きく異なるため、両者を融合できれば全体最適化の効果も高まるはずです。

石 井:
システムとしては、家庭向けと企業向けという区別をなくして、両者を一緒にすべきだと思っています。蓄電池の規模は異なりますが、必要な機能は共通しています。どちらでも利用できる、標準的なクラウド機能を確立したいと考えています。

―最後に今後の展望をお聞かせください。

塩野入:
この事業は2013年3月に終了しますが、その後もデータ収集を続け、それを蓄電システムのコントロールに生かすための手法を検討していきます。また、今後さらに拠点数を増やし、ビッグデータと絡めていくことで、全体最適の実現方法を模索していきたいと考えています。

吉田氏:
蓄電システムの低価格化や長寿命化も重要な課題です。

オリックス 事業投資本部 蓄電池プロジェクト準備室 室長 吉田 中 氏

例えば蓄電システムのうち、電池セルを消耗品として扱い、これを交換可能にすれば、利用者にとって受け入れやすい提案になるでしょう。セルだけの交換によって低い追加コストでシステムを使い続けられるからです。
また車の下取りのように残価設定も行いやすくなるため、二次マーケットが立ち上がることも期待できます。こうなれば出荷数も増え、製造原価も下がっていき、良い循環が生まれるはずです。

石 井:
確かに低価格化は今後の重要課題です。それも蓄電池だけではなく、システム全体のコストを下げる必要があると考えています。そのためには標準化を行い、様々なプレイヤーが参加できるプラットフォームをつくるべきです。次のステップではNECだけではなく、他社のシステムとの融合や連携も考えていきます。

吉田氏:
エネルギーの最適化をビジネスモデルにまとめ上げるには、NECとオリックスだけではプレイヤーが足りないことも出てくるかもしれません。その場合には、この取り組みをコンソーシアム化し、ALL JAPANまたはJAPANイニシアティブにより、新たなビジネスモデルの構築へ取り組んでも良いと考えています。

低価格で環境への負荷も少ないモデルができれば、電力インフラの構築に悩む国々への輸出も見えてきます。これまでにも、電線も引いていないような国で固定電話よりも先に携帯電話が普及したように、ダムや火力発電所、原子力発電所が十分ではない国で、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーと連携した蓄電システムが、電力インフラのキーとなる、そんな日もそう遠くはないのかもしれません。

ページの先頭へ戻る