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ICTと蓄電技術が支える新しい電力供給システム

電力制御ネットワークの窓口「デジタルグリッドルータ(DGR)」

「電力の進化はコンピュータの進化と似ています。コンピュータがメインフレームからクライアントサーバへ、そしてクラウドに移行したように、電力も集中型から分散型、そのハイブリッド型へと螺旋形に進化していくものだと思います。また、デジタルグリッドのセルはインターネットのドメインと似ていますし、今後はインターネットメールと同じように電力もルータを通じて、どこへでも自由自在に流通できるようになると思います。」と、阿部教授は語ります。

ルータという言葉が出ましたが、電力の大きさを自在に分割して任意のセルへ送受電する電力変換装置 (AC/DC/ACインバータ)をデジタルグリッドルータ(DGR)と呼びます。

DGRは家庭単位や街・地域単位、あるいはより大規模な地方単位に設定されたセル同士、さらには電力の基幹系統とセルとを結ぶ、電力ネットワークの窓口のような存在です。

DGRはスムーズな電力変換を通じて、セルとセルやセルと基幹系統との間で、電力の大きさや規格の整合性をとりつつ、安全かつフレキシブルに電力のやり取りを可能とさせる、デジタルグリッドのコア技術と言えます。

電力の連系点となるDGRには、それぞれIPアドレスがふられ、電源(発電方法や発電場所など)のデータを含んだ電力情報と、電力本体とを同期させて送受電できるネットワークが実現します。また、DGRはコンピュータを内蔵していますので、IPアドレスのルーティングにより電力のやり取りや、電力の識別情報などのログを管理・蓄積することができます。それら蓄積された電力情報によって、電力サービスプロバイダのクラウドでも管理され、課金をはじめ各種サービスのデータとして活用することができます。

また、情報ネットワークと同様に、ある系統の電力供給がダウンしても、対象となるセル(家庭や街・地域など)へは別系統から電力を即座に供給することができるので、災害や事故に強く安定した電力インフラを確保することができます。このように、電力供給の安定化を担保すると同時に、自然エネルギーをフル活用した地球にやさしい電力基盤を構築できること、それがデジタルグリッドの基本的な仕組みであり大きな特長です。

図版:デジタルグリッドの電力ネットワークイメージ▲デジタルグリッドの電力ネットワークイメージ

図版:「デジタルグリッドルータ(DGR)」による電気の識別(イメージ)▲「デジタルグリッドルータ(DGR)」による電気の識別(イメージ)

デジタルグリッドの導入で生まれる多彩な効果やメリット

太陽光を中心に自然エネルギーの活用が容易に

個々のセル(家庭や街・地域)において、太陽光や風力などで発電された自然エネルギーをムダなく効率的に活用できるようになります。自然エネルギーによって発電された電力を、電力系統への影響を心配することなくセル間でやりとりしたり、電力が不足したときには基幹系統から必要分だけもらったり、あるいは逆に余剰電力を基幹系統へ援助したりと、相互間のフレキシブルかつスムーズなやり取りによって、電力環境の安定化が図れます。

任意の発電設備から電気を識別して購入可能

発電の場所や種類がわかる電力の識別化が可能になるので、自宅に発電設備のない人でも電力を任意に選んで購入することができます。さらに、電力と情報が統合されることでムダな電力のやり取りをせず、ネッティング(相殺処理)によりもっとも効率的な電力の入手が可能になります。

万が一の停電にも強い住宅地や街づくりを推進

災害などで停電が起きても、セル単位や家庭単位に設置されたDGRやバッテリの活用により、無停電の電力環境づくりが可能になります。したがって、停電に強く災害の影響を受けにくい街づくりや家づくりを実現する、たとえば「セキュア・タウン」といった構想が可能になります。

発展途上国ではデジタルグリッドが主流の仕組みに

集中型供給が一般的な先進国でデジタルグリッドを適用しようとすると、家庭単位や地域・街単位のセルからスタートして少しずつ増えていく…というようなプロセスが想定できますが、発展途上国では最初からデジタルグリッドを導入し、大きな電力基盤に成長する…というようにスケーラブルな形成が想定されます。現在、世界には電気のない生活を送っている人々がいまだ20億人もいるといわれますが、巨額の投資を必要とする電力施設が存在しない地域の電化推進にも、大きな効果が期待できます。

「電力が識別できるようになると、うちは太陽光による電気を50%使うことにするとか、CO2が出にくい発電所の電気のみを購入するとか、親戚の家で発電された電気のみを使うとか、いろいろな選択肢が生まれます。現在は、電力が同質化されているため選択肢がありませんが、そこに消費者の意思や好みを反映させることができます」と、阿部教授はデジタルグリッドの魅力について説明します。

図版:デジタルグリッドで実現できる「ブーストハウス」イメージ▲デジタルグリッドで実現できる「ブーストハウス」

さらに、「電力がコモディティ商品化されることで、色々な付加価値やビジネスが発生すると思われます。消費者が電源を選別できるほか、自然エネルギーは天候に左右されますので、さまざまな保険やディリバティブが生まれるかもしれません。

また、大規模な蓄電システムの普及により、電力生産に在庫の概念が生まれ、多様な価値の取引に用いられる可能性もあります。極端なことをいえば、使用価値ではなく交換価値の視点からのみ電力をとらえると、貨幣と並ぶ存在になるのではないかとさえ想定できます。」とデジタルグリッドがもたらす経済的効果について語ります。

普及にむけて始動、デジタルグリッドコンソーシアム

デジタルグリッドは、多彩な分野の技術や仕組みを利用し、その融合あるいは協力によって実現する大きな社会システムです。したがって、そのコンセプトに賛同した多くの企業が集合し、同じ枠組みの中で同一の目標をめざして進む共通基盤が必要となります。それが、阿部教授の設立したデジタルグリッドコンソーシアムです。

「系統の上流をやりたい人、下流側をやりたい人、電気製品を作りたい人、各種サービスを企画したい人、いろいろな方々に入っていただけるプラットフォームにしようと考えたのが、コンソーシアムの設立概念です。デジタルグリッドは変動の激しい太陽光とか風力による電力を、基幹系統にきれいにしてから送ることが可能ですので、既存系統電力網にとっても大きなメリットや魅力のあるテーマだと思います」と阿部教授は力説します。

図版:デジタルグリッドコンソーシアムの設立▲デジタルグリッドコンソーシアムの設立

コンソーシアムでは2012年3月まで、参加企業同士でさまざまな議論を重ね、デジタルグリッド技術を実践し標準化技術として普及させることを目的に活動していきます。

ICTと蓄電技術を活かして。大きな一歩を踏み出したNEC

阿部教授はNECについて「NECは数あるICTの中で蓄電事業に取り組んでいる例のない会社。情報処理の領域からパワー(電力)の分野へ踏み込んでいる。」と語られています。

写真:福村 将史NEC環境・エネルギー事業本部マネージャー福村 将史

阿部先生のICTと蓄電技術との融合をベースにした、新しい社会システム構想に共鳴したのが出発点です。

NECがデジタルグリッドコンソーシアムへ参画したのは、そのコンセプトが事業の方向性と一致していたというのが第一に挙げられます。デジタルグリッドの実現には、ICTと蓄電技術が不可欠な要素として存在します。スマートグリッドに関連する事業にもNECは取り組んでいますが、より進んだ社会システムであるデジタルグリッドにも大きく貢献できる技術を、私たちは持っているのではないかというのが出発点でした。

また、阿部先生の構想が単なる新技術の研究にとどまらず、未来の社会システムを構築したいというお考えに大きく共鳴しました。将来を見据えた事業計画と、新しい社会の仕組みづくりをめざす点に共感を覚えたのです。そして、阿部先生はエネルギー分野の専門家でいらっしゃいますので先生のご意見を伺いながら、事業の方向性や新しい製品開発に取り組んでいきたいという思いもあります。

阿部先生もおっしゃっていますが、新しい社会システムの構築というようなテーマは、とても1社や2社では不可能なことです。さまざまな技術やサービスを持ったたくさんの企業と、それを具体的かつ実際に適用し、意思決定をしていく統括的なサービスプロバイダのような存在が、どうしても必要になります。そういう意味で、NECは早い時期から阿部先生へ協力させていただき、コンソーシアムの立ち上げにも参画させていただいたしだいです。

また、私どもが掲げている「NECグループビジョン2017」である「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー」を実現させるためにも、デジタルグリッドという大きな構想へ積極的に参加し、NECのエネルギー事業にも取り組んでいきたいと考えています。

図版:NECのデジタルグリッドへの取り組み計画▲NECのデジタルグリッドへの取り組み計画

  • *デジタルグリッドは、一般社団法人デジタルグリッドコンソーシアムの登録商標です。

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