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サービスステーションが地域の蓄電池に!?

地域全体でエネルギーを賢く使う時代に

急速充電器と蓄電池を組み合わせたシステムの開発と、社会実証――。この新しい取り組みは、総合エネルギー企業の「JX日鉱日石エネルギー株式会社」と、地域コミュニティの中で再生可能エネルギーを安定的に活用できる方法を研究している「東京工業大学」、そしてNECが連携して行っています。正式名称は、「次世代サービスステーションにおける蓄電・充電統合システム」。経済産業省による「次世代エネルギー・社会システム実証事業(*)」の1テーマとして採択されたものです。横浜市と民間企業が連携し、環境に配慮した都市の実現を目指す「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP: Yokohama Smart City Project)」における実証事業の一環として行われています。

図版:横浜スマートシティプロジェクトの全体イメージ図▲横浜スマートシティプロジェクトの全体イメージ図

この事業ではまず、複数の急速充電器と、50~200kWhの大容量蓄電池で構成する「蓄電・充電統合システム(BCIS: Battery & Charger Integration System)」を開発します。

NEC システムプラットフォーム研究所 主任研究員 丹生隆之は、次のように語ります。「短時間でEVに充電を行うためには、非常に大きな電力を一気に投入しなければなりませんから、電力系統への負荷はどうしても大きくなります。たとえば50kwhという出力は、戸建て住宅20~30軒が使用する電力と同程度です。しかし、急速充電器と蓄電池を組み合わせることで、たとえば太陽光発電で得られた余剰電力を昼間にためておき、夕刻や朝の通勤ラッシュ時に、EVへ一気に充電を行うことも可能になります。さらに、地域の系統電力とバランスさせ、余裕のある時には系統電力を優先して使ったりするなど、柔軟に制御ができるシステムを実現しようと考えています」。

写真:丹生 隆之NEC システムプラットフォーム研究所主任研究員丹生 隆之

また、複数台の充電器を細かく制御することで、地域の電力需給状況に応じて、充電のタイミングを分散化でき、系統電力への負荷を減らす効果も見込めます。「今、市場に出回っているほとんどの急速充電器は、充電を開始すると、クルマからの時々刻々と変化する要求に応じた電力を供給する仕組みになっています。

一方、われわれが開発中の蓄電・充電統合システムでは、電力供給側からEVに供給する電力のコントロールができます。

ひとつの充電ステーションに供給される電力は限られていますが、EVへの充電電力はEVに搭載された蓄電池の状態によって変化するため、たとえば1台目の充電の途中でも余剰電力が生まれ、この余剰電力を2台目、3台目に割り振っていくといった制御もできるようになります。さらに、系統全体に大きな負荷がかかって電力不足に陥っている時には、充電途中であっても電力をセーブし、負荷を抑えることが可能になります」(丹生)。

  • (*)電気の有効利用や、太陽光・風力などの再生可能エネルギーの効率的な活用、さらに地域のEV充電ステーションや交通システムなども複合的に組み合わせ、地域単位で「次世代エネルギー・社会システム」「スマートコミュニティ」の実証を行う事業

地域エネルギーマネジメントと蓄電・充電統合システムが連携。サービスステーションは“コミュニティの蓄電池”の役割も期待される

蓄電・充電統合システムは、NEC研究所内部で動作確認を行ったのち、2011年度末より、横浜市内にあるJX日鉱日石エネルギー様のサービスステーションに容量50kwhの蓄電池とともに導入予定。EVへの同時充電時間の短縮や、充電電力のピークカット効果を検証します。2012年度は別のサービスステーションにも容量100~200kwhの大容量蓄電地を導入し、地域間の電力需給調整についても検証を行います。

加えてこの実証実験では、CEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)と連携することで、蓄電・充電統合システムが地域コミュニティの電力需給の調整にも貢献できることを確認しようとしています。この点について、丹生が次のように補足します。「横浜スマートシティプロジェクトではCEMSとの連携効果を実証するために、例えば、時間帯によって電力料金が違うしくみを仮想的に導入する計画です。この仕組みをうまく活用することで、料金の安い時間帯では系統電力を利用して充電を行い、蓄電池にも電力をためておきます。料金の高い時間帯にお客様が来られた場合は、充電ステーションの蓄電池からEVへ充電を行うことで、コストを抑えることができるわけです」。

さらに、横浜スマートシティプロジェクトではカーナビ等とも連携し、EV利用者の充電行動の誘導も検証する予定です。たとえば晴天時など比較的電力に余剰がある時には、安価な充電価格に設定して充電インセンティブをドライバーに提供。系統の要求に需要家が応じて行動するデマンドレスポンスの実現にも繋げます。

このように、蓄電・充電統合システムはCEMS等と連携することで、充電タイミングの分散化や地域の余剰電力対策にも貢献できる「コミュニティの蓄電池」としての役割も果たし、EV普及に適した新しい社会インフラとして期待されているのです。

図版:地域コミュニティの電力需給の調整にも貢献する、サービスステーションを舞台にした本実証実験の概要図▲地域コミュニティの電力需給の調整にも貢献する、サービスステーションを舞台にした本実証実験の概要図

今後に向けて

NECグループでは急速充電器と大容量蓄電池の生産・販売をすでに事業化しており、EVならではの特性やエネルギーマネジメントのノウハウを、実際の事業によって吸収・蓄積してきた経緯があります。今回の実証事業では、こうした強みを充分に活かし、ドライバーにとって使い勝手が良く、充電ステーションを運営する事業者にとっては導入がしやすく、地域の電力消費の平準化にもつながる新しい仕組みが、2016年ごろに確立される予定です。

丹生は、NECグループの蓄電技術とICTが、地球温暖化対策とエネルギー供給の安定を両立する新しいエネルギー社会に寄与できる点にも言及します。「急速充電器や蓄電池は、非常に大きな電力を扱う機器なので、これら制御することで大幅な省エネ効果が見込めます。

また、従来からさまざまな実証実験に取り組んできましたが、実証実験を通じて車の充電特性などのデータも蓄積できており、得たノウハウは今後も大いに活用できると考えています。今後はより高度な電力制御を提供する『エネルギークラウド』を実現していく計画です。そして、エネルギー供給の安定と効率的な運用を可能にするこの新しいインフラによって、スマートシティ、スマートコミュニティの構築に貢献に繋げていきたいと考えています」。

蓄電地が、既存の電力網や再生可能エネルギー源と連携し、クラウドを介した電力制御を行うことで、需要家や地域の電力自立化を可能にする――。つまりNECはこの実証事業によって、EV向け充電ステーションのインフラ構築だけでなく、エネルギークラウドによる付加価値の提供に、なくてはならない技術やノウハウを確立しようとしています。

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