This is the top of the page.
Displaying present location in the site.
  1. ホーム
  2. スマートエネルギー
  3. 【コラム】スマートエネルギー最前線
  4. コンビニ最大手、ICTで節電強化
Main content starts here.

コンビニ最大手、ICTで節電強化

冷蔵庫の扉を開ける回数や時間を、調べられないだろうか?

「たとえば空調機の運転時間が長く、しかも低い設定温度で稼働させている店舗にヒアリングしたところ、『夏なのに、お客様の来店頻度が高いために、入口のドアを常に開放したままにしている』と言うのです。つまり暖かい外気が、常に店内へと流れ込んでいる状態だったわけです」。粟飯原氏は続けます。「調理装置の例では、省エネの観点から、使用していない時はフライヤーの温度を180℃から150℃に切り替えることができる機能の活用を奨励しているのですが、かなりの数の店舗で、この機能を活用している形跡がなかったのです。このほか、空調機の電力使用量の高止まりは、フィルターの清掃・交換を怠っていることが原因だということも、この実験から見えてきました」。

こうした成果を得たことで、電気の使用状況の見える化は、省エネ・環境対策のヒントを得るために極めて有効なだけでなく、「従業員さんのオペレーションの改善や、人のマネジメントなど、経営全般に幅広く活用できる」と、粟飯原氏は確信を持って語ります。

当然ながら、店舗内の電気の使用状況を測定するだけでは、省エネを阻害しているすべての要因を明らかにすることはできません。ペットボトル飲料や缶入り飲料がずらりと並んでいる、コンビニでおなじみの大きな冷蔵庫を、例に挙げてみましょう。あの冷蔵庫のバックルーム側には、商品を補充・整理するための扉があるのですが、開け閉めの仕方次第で、電力使用量は大きく違ってきます。「扉を開ける回数や開けている時間を、調べられないだろうか」・・・。NECは粟飯原氏から、こんな相談を受けます。「開閉の回数はなかなか減らせないが、開けている時間をもっと短くすることを意識して、アルバイトスタッフに作業してもらえば、電力使用量を大きく減らせるはず」と、粟飯原氏は考えたのです。

写真:神谷 敏裕NEC 流通・サービス業ソリューション事業本部ソリューション推進部マネージャー神谷 敏裕

店内温度の設定についても、見直しの余地があると、粟飯原氏は言います。「冷暖房の温度は、従業員さんの働くカウンターではなく、お客様が買い物をする場所を基準に設定したほうが節電につながるのではないかという仮説を、検証してみたかったのです」。

このような仮説→検証→改善の積み重ねこそが、店舗のさらなる省エネを推進するカギになるはず。「そこで次のステップとして、NECからは『電気の使用状況』に加えて『設備機器の稼働状態』、さらに『従業員さんの作業の見える化』もして、省エネ・環境対策の立案につなげる取り組みを、2010年1月に提案しています」。NEC 流通・サービス業ソリューション事業本部 ソリューション推進部 マネージャー 神谷敏裕は、こう語ります。セブン-イレブン・ジャパンはこの提案を受けて、同年12月から電力、店舗設備、店内/外の温湿度変化、および従業員さんの作業を常時把握する実験(*)を、フランチャイズの5店舗で約2ヶ月にわたって実施しました。

  • (*)・・・この実証実験は、総務省の「ネットワーク統合制御システム標準化等推進事業」の一環として実施しています。NECは2010年1月に提案を行い、採択を経てシステムを開発し、2010年12月から2月にかけて実証実験を行いました。

図版:実験その(2) 電気の使用状況の見える化に加えて、店舗設備の稼働状況も把握する▲実験その(2) 電気の使用状況の見える化に加えて、店舗設備の稼働状況も把握する

収集した大量のデータを活用し、統合的な見える化を実現

前回の実験で試みた分電盤への電流センサー設置に加えて、今回の実証実験では、店舗の外壁部分を含む3ヶ所に、温湿度センサーを設置。飲料用冷蔵庫のバックルーム側には、扉付近の作業状況を把握するために、カメラと開閉センサーを設置しています。

写真:店内/外に設置された温湿度センサー▲店内/外に設置された温湿度センサー

写真:冷凍・冷蔵庫 ウォークインドア前に設置されたカメラと開閉センサー▲冷凍・冷蔵庫 ウォークインドア前に設置されたカメラと開閉センサー

写真:森長 剛NEC 応用アプライアンス事業部マネージャー森長 剛

神谷は「設備ごとに計測する電気の使用状況に加えて、カメラで撮影したビデオ映像の情報など、大量のデータをNECのデータセンターで集約します。これらをうまく処理して、セブン-イレブン様へ見やすく提供するノウハウが必要でした」と述懐します。NEC 応用アプライアンス事業部 マネージャー 森長剛が、ノウハウの一例を解説します。「たとえばPC画面に表示された、飲料用冷蔵庫の電気の使用状況のグラフをクリックすると、扉が開いていた時間帯のところだけ、グラフがオレンジ色に表示されます。このオレンジ部分をクリックすると、その時間帯にカメラで撮影した扉付近の動画が立ち上がる仕組みを取り入れました」。

図版:実証実験システムの“見える化”パソコン画面 遷移イメージ▲実証実験システムの“見える化”パソコン画面 遷移イメージ

実験で得られた成果を活かし、電力消費量を11%削減

計2回の実験で検証できた電気の使用状況のムダを踏まえ、セブン-イレブン・ジャパンでは・・・

  • フライヤーの運転モード切り替え
  • 冷蔵庫に関する作業手順の見直し
  • 空調温度設定の変更。連続稼働をせず、店内温度を見ながらOFFの時間帯を設ける
  • 空調などのフィルターの清掃を、毎週1回行う
  • バックルームに人がいない時は照明オフを徹底

・・・といった改善策を、実験店舗で徹底して行いました。その結果、電力使用量が平均で11%削減できたのです。
粟飯原氏は「冬季の実験でしたが、想定以上の効果を出すことができました。これらの施策を全社で展開できれば、環境負荷低減に大きく貢献できることはもちろん、店舗の経費節減という面でも相当なメリットが出ます」と評価します。

今回の取り組みでは、店内設備の異常や故障の兆候を各センサーやカメラなどで検知し、遠隔地の管理オフィスへアラームで知らせる機能も構築しています。森長が解説します。「店内の各設備の稼働状況を見える化して迅速な修理対応を行うことで、機会損失の防止や業務の安定的な継続に貢献できると考えています。コールセンターには年間で約15万件の通報があると伺っており、この予防に活用いただくことで、保守対応における訪店の工数を減らすことができ、結果としてCO2排出の抑制にもつながると見込んでいます」。

節電対策、設備の異常検知に加え、「オーナーさんや従業員さんの意識改革につながるという評価もいただいています」と話すのは、前出の神谷です。「電気使用の実態をチェックすることで、自分のお店はどこで電気の無駄遣いをしているのかという気づきを促し、作業や設備の見直しにつながる仕組みを提供できたと自負しています。今後は新しいアルバイトスタッフが加わっても、ICTの力を使って自動的に省エネへの“気づき”を促せるような、人間が意識しなくても省エネが実現できるソリューションを、セブン-イレブン様に提案していきたいと考えています」(神谷)。

セブン-イレブン・ジャパンでは2011年夏、深刻な電力不足が懸念されている問題に対して、今回の実験で実証できた「見える化」と節電のノウハウを、東京電力管内の約6000店に展開。分電盤への電流センサー設置や空調温度設定の見直し、入口ドアの開放禁止などに加え、店内照明のLED化などを実施します。これらの施策によって、電力使用量を昨夏比で25%削減することを目標に掲げています。

「省エネは、日本だけの課題ではない。海外店舗でも取り組んでいきたい」。粟飯原氏は早くも、次の展開を見据えています。成長著しいアジアの店舗で今後、省エネ・節電意識が高まることは、ほぼ間違いありません。NECとしても、日本で培った節電ノウハウとシステムを活かし、同社の海外店舗における省エネを支援していく考えです。

関連リンク

こんなコンテンツもお薦めです

ページの先頭へ戻る