ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ソリューション・サービス
  3. ERPパッケージ(会計・人事・給与・販売・生産等)
  4. ERPソリューション:EXPLANNER
  5. 生産管理システム Factory-ONE 電脳工場MF
  6. ものづくりコラム
  7. 第2回 IoTで変貌するものづくり ~Industry4.0は必ずやってくる~[2]
ここから本文です。

IoTで変貌するものづくり ~Industry4.0は必ずやってくる~[2]

抱 厚志のものづくりコラム「IoT時代のものづくり4.0J」

抱社長

バナー

抱 厚志プロフィール
昭和35年7月、大阪府生まれ。自称生産管理おたく。
海外25カ国、累計5,000以上の工場を視察し、1,000社以上の生産管理システム導入に関与した実績を持つ。
平成6年9月に株式会社エクスを設立し、代表取締役に就任。翌年2月に生産管理システム「電脳工場 for Windows」をリリース。最新版の「Factory-ONE 電脳工場」シリーズも含め、現在までに1400本を超える導入実績がある。
「生産管理システムは経営戦略を具現化するツールである」とのコンセプトをもって、「ソフトを提供するのではなく、ソフトの使い方を提供する」という『真のソリューションベンダー』となるべく、日々、精力的に活動中。

第2回 IoTで変貌するものづくり ~Industry4.0は必ずやってくる~[2]

TPS(トヨタ生産方式)もIndustry4.0も、徹底した合理化による生産効率化と言うテーマへのアプローチは同じであるが、両者は以下の点において相違点がある。

第1には「大量生産からマスカスタマイゼーションへ」の変化があげられるであろう。
両者ともに「必要なものを、必要な時に、必要な数だけ生産する」と言うJIT(ジャスト・イン・タイム)の発想は同じであり、時代を遡れば、コンピューターが生産管理に利用され始めた初期の主たる管理方式であったMRP(資材所要量計画)も、求めていたものは基本的に同じである。

しかしTPSは市場に標準品を投入する「マスプロダクション」による『QCDの統制』で競合力を発揮することを目標としているのに対し、Industry4.0は「マスカスタマイゼーション」と言う、一品生産(個別需要)であっても、IoTを利用することで、マスプロダクション(量産品)と同等のQCDを提供することを目標としているのが、大きな違いである。

Industry4.0は、市場(需要)と工場(生産)をIoTにより、「最小化された情報のタイムバケット」を人工知能がコントロールすることで最適化するものである。量産品の見込生産でしか達成できなかったQCDを、単品受注生産でも実現することである。

2つ目の大きな違いは、革新されるスコープ(範囲)である。
TPSでは基本的に、バイヤー(最終製品メーカー)が、生産計画をサプライヤーと共有し、工場(現場)中心の革新を第一義としているのに対し、Industry4.0では、リアルタイム管理に近い最小のタイムバケットで顧客~生産、物流、保守などのバリューチェーン全体の最適化を目標としている。
特にTPSが1社の最終製品メーカーを頂点として、N社(複数社)が階層的なピラミッド構造の最適化を行うのに対し、Industry4.0ではその繋がりが社会全体に拡がるN:Nの平面的構造における「結合の最適化」であると言える。

これはTPSがトヨタと言う単独企業の努力から始まっているのに対し、Industry4.0は官民一体となった市場全体の構造改革の目的から発生していると言う出自の違いがあり、Industry4.0はTPSよりも新しいバリューチェーンやビジネスモデル実現のための手段であると考えられる。

この出自の違いによるステークホルダーや参加プレイヤー(バイヤー、サプライヤー企業)が「市場全体の構造改革を目指す」と言う共通認識を起点にとして動いて行くスタイルが、3つ目の違いである。

生産者だけではなくIoTで実現されるマスカスタマイゼーションが、消費者の選択の自由度を大幅に増加させ、消費者自体をも重要なプレイヤーとする。TPSよりもIndustry4.0の方が、参加プレイヤーの数が多く、その関係が複雑である。

4つ目の違いは、革新の推進者である。
TPSを含め、これまでの産業革命は、製造業が主体となって推進されてきた。しかしIndustry4.0の場合は、IoTなどIT技術を持った企業が、その推進を担うと考えられる。今の段階で、IT企業と製造業のどちらが、今後の主役を担うかについて断言はできないが、IT企業がトヨタやフォルクスワーゲンを下請けにして、車を生産する時代が来る可能性もある。

スマートフォンと同様に、同じ機種を持っていてもダウンロードして利用するアプリの違いがスマホの個性になっているように、購入した車のハード自体には大差なく、車がIoTから受けるサービスやアプリなどで個別の需要を満たして行けば、個性を形成するものはアプリであり車種ではなくなる。

車はiPad、iPodの様な、アプリやコンテンツの実行デバイスとなれば、主役は自動車メーカーではなく、IT企業になると言う事である。これはソフトウェア開発大国であり、データ解析大国であるインドが、ものづくりの席巻する可能性を示唆している。

一方、エネルギーや環境の観点からは、概ねIndustry4.0やスマートファクトリーに期待する声が大きい。

需要から供給、保守サービスに到るまでのプロセスのリアルタイム管理により、徹底した合理化を目的とするIndustry4.0では、エネルギーや環境配慮に対しても、バリューチェーン全体でのアプローチが可能であり、各企業が単体での努力ではなく、相互補完的に目標達成のプロセスを設計できるのが大きな強みであろう。

しかしIndustry4.0に対して否定的な意見も多く、特に中核技術となる「人工知能」についても、その可能性の評価については、必ずしも善しとするものばかりではない。

イギリスの著名な理論物理学者スティーブン・ホーキング博士は、人工知能の有用性を高く評価するゆえに、より懐疑的であり以下のような発言をしている。「われわれがすでに手にしている原始的な人工知能は、極めて有用であることが明らかになっている。だが、完全な人工知能の開発は人類の終わりをもたらす可能性がある」

また、テスラ社のイーロン・マスクは「人類にとって人工知能が最大の脅威になる」と警告を発している。

人工知能が自立し、加速度的に自らを再設計していけば、ゆっくりとした生物学的な進化により制限されている人類は、(人工知能と)競争することはできず、(人工知能に)取って代わられる可能性も否定できない。
一見、SF的で突飛な話であるが、コンピューターの進化はここまで来ていると考えておく方が良い。

またコンピューターに権限や機能が集中すれば、セキュリティ・インシデントやサイバーテロによる社会的なダメージの深刻化が危惧される。

また、人工知能が最適化のための判断や統制を行う事は、労働者の仕事を奪うのではないかとの議論もあるが、ドイツのメルケル首相は「デジタル化がもたらすであろうチャンスを活かせば、結果としてより多くの雇用の創出が可能である」と発言している。

単にコンピューターに依存して行くだけではなく、コンピューターとともに考え、協働すると言う新しい働き方が求められているのだろう。

<<第1回を読む       第3回を読む>>

バックナンバー

ページの先頭へ戻る