ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. アパレル業向けクラウド販売管理
  3. ビジネスコラム
  4. 第3回
ここから本文です。

製造業、卸売業が意外と知らない、小売ビジネスの常識
ファッション商品の販売管理と店頭在庫最適化のための3原則 第3回

バナー

毎シーズンの流行の変化に相対しながらシーズンという限られた販売期間で決着をつける、リスクが大きく管理が難しいと言われるファッションビジネスにも原理原則はあります。本コラムでは製造や卸売(BtoB)ビジネスをしていると見逃しがちな、消費マーケットを考える上で大切なファッション小売業のリスクマネジメントの基本をご紹介します。

死に筋商品在庫の実態

1)商品企画のミス
2)無計画につくり過ぎた商品
3)価格設定の間違い
4)納期遅れで販売期間が短くなったもの
5)店舗の客層にかかわらず過剰に振り分けられたもの
6)売れない色
7)売れ筋商品を深追いして過剰に追加発注されたもの
8)かつての売れ筋商品の残品が放置されて残っているもの

1)商品企画のミス

一般的に死に筋商品というと1)のそもそも商品企画や商品選定に失敗したものではないかと思われがちですが、インターネットのおかげで世界の流行情報の伝達のスピードが速くなった現在、実はこれはそれほど多くはありません。ですから、もし、毎シーズンそんな商品をたくさん残す企画または仕入担当者がいたら、交代を考えた方がよいでしょう。

2)無計画につくり過ぎた商品

2)は例えば、本来であれば500点くらい売れそうだと予測されるものを、仕入先からたくさん仕入れたら原価が安くなるからと説得され、実際の販売力以上に過剰に仕入れてしまった分がシーズン末に大幅値下げの対象になったり、そのまま在庫に残ったりしているケースです。

3)価格設定の間違い

3)はお客さんが望む適正価格を無視して、原価積み上げ方式で価格設定をする場合によく起こります。セールで価格を下げたらよく売れ始めるような商品はこれにあたります。

4)納期遅れで販売期間が短くなったもの

4)は先にお話ししたように、シーズンの賞味期限はたった8週間しかないのに、納期管理が甘く、2-3週間の納期遅れを許したことにより、遅れた週数分の販売数量がそのまま売れ残ったケースです。

5)店舗の客層にかかわらず過剰に振り分けられたもの

5)は一部の店舗であれば売れる商品を無理して全店展開したような場合におきます。

6)売れない色

6)は企画担当者や仕入担当者によるあるクセで、品番あたり売れる色は2-3色に絞られるとわかっていながら、カラー展開を増やして4色、5色も発注してしまうケースです。商品としてはベーシックカラーと一部のトレンド色が売れ、売れ筋商品だったはずなのに、ある色が全く売れず、その色だけがごっそり残っているというのはよくあります。

7)売れ筋商品を深追いして過剰に追加発注されたもの

7)は今、最も多いかも知れません。店頭に並べてすぐ売れたため、あわててたくさんの追加注文をしてしまう。間髪入れずにすぐに入荷すればまだしも、追加注文分が数週後に入荷したところで、シーズン賞味期限の晩期となり、残された販売期間は短いです。加えて、売れているものの情報は瞬く間に競合他社にも広まりますので、追加商品入荷後、即価格競争のための対抗値下げというような状況に陥ります。

8)かつての売れ筋商品の残品が放置されて残っているもの

8)は当初は計画通り売れて予定以上の消化を果たした優秀な売れ筋商品。仕入担当者も満足する結果を残して安心します。ところが各店にバラバラと残った状態になると店舗はそれらの商品を扱いづらくなり、棚の一番下においたり、目立たない棚にまとめてかけたり、それでも邪魔な場合は店頭から下げてしまうことも少なくありません。

そんな環境により売れなくなった商品が店舗にたくさん残っていて放置されているという状態です。いつのまにかこういった商品が溜まると全体の商品回転を落とし、場合によっては仕入枠を圧迫します。本来であれば、消費者がまだ興味のある早いうちに一部の店舗にまとめて売り切るか各店での売り切り方法を決めておかなければなりません。

1)~8)までは「死に筋商品」と申し上げましたが、そのうち2)~8)までは計画的に仕入を行って、シーズン中にしっかり売り切っておけば、実は売れ筋商品だったと評価される商品がいくつもあったはずです。

お気づきになった方もいらっしゃるかと思いますが、売れ筋商品と死に筋商品は、実は事前の計画立案と変化に対応する行動の差によって分かれる紙一重の存在なのです。

毎シーズン、しっかりと反省を行って次の仕入れに活かすことによって、クセを自覚できれば死に筋商品は減らせるはずです。

販売期間を決めて計画通りに売り切る

8週間という短い販売期間に対して半年前に需要予測をしてシーズンに臨むファッションビジネスでは予測的中率を高めることが難しいのは確かです。しかし、シーズンの始めにサイが振られたらビジネスは終わりなのではなく、シーズン中の行動次第で結果が変わることが、既述の売れ筋商品と死に筋商品の違いからお気づきになったのではないでしょうか。

シーズンが始まって気づいた人気商品と不人気商品をうまくコントロールして、人気商品を「売れ筋商品」のままでシーズンを終える、また、「死に筋商品」から生まれる損失を最小限に食い止めるための行動をとることによって最終的な売上と利益に変化をもたらすことは可能です。

そのための原則は、まずは商品ごとにいつからいつまで店頭展開するかを意味する「販売期間」を決めること。 次に、その間、1週間あたり何点売るかの「週間販売予測」を立てること。 そしてこの時期を過ぎてしまうと消費者はいくら値下げをしても買ってくれない、それまでに売り切らなければならないというデッドラインである「販売終了週」を決めることです。

これらを決めることによって計画の精度が高まりますし、行動の指針になります。つまり、計画の根拠が明確になるわけです。そんな計画を立てていれば、毎週、販売実績との差が計画かい離として明らかになるので、良いことも、悪いことも早期に気づきが得られます。

そして、シーズン末のバーゲン時期を待つことなく、消費者がまだ商品に魅力を感じてくれているうちに諦めずに工夫をして手を打つことによって、大幅値下げによる利益の喪失も最小限に食い止めることができます。ファッションビジネスは予測産業と呼ばれますが、ファッション小売ビジネスは変化対応産業でもあるのです。

数カ月前の予測に基づいて準備した商品のうち、人気商品はすぐに売り切れてしまい、人気のない商品はずっと売場に残ります。シーズンの始めには新しい商品ばかりで魅力的だった売場も、時が経ち人気商品が少なるにつれて売場の魅力は薄れ、売上も低迷します。そして、その状況を打開するのがシーズン末に行われる大幅値下げのバーゲンセールというわけです。

このようにシーズンごとに売上と利益が不安定になりがちなのがファッションビジネスの永遠の悩みです。

売れ筋商品と死に筋商品

シーズン中に消費者に人気な商品を「売れ筋商品」、その逆が「死に筋商品」と呼ばれます。ビジネスの観点から見ると、「売れ筋商品」は定価で数多く売れるため、売上と利益に貢献します。一方、「死に筋商品」はかなりの値下げをせねば売り切れず、期待していた利益を損ねるだけでなく、シーズンの終わりに売れ残る商品のため会社の損失につながる商品です。

ファッション販売をする上で、この「売れ筋商品」を生み出すための計画の精度を高め、「死に筋商品」による損失の被害を最小限に済ますことができればシーズンごとの利益は改善できるはずです。それでは「売れ筋商品」と「死に筋商品」の実態をもう少し明らかにしてみましょう。

まず、筆者が年に数回行っているセミナーに「ファッションストアの在庫コントロール」をテーマにしたものがありますが、その冒頭に聴講者の方々に「あなたにとって売れ筋商品と死に筋商品の違いは何ですか」と問いかけるブレストを行っています。そこでの様子を少しご紹介しましょう。

日常的に使っている「売れ筋商品」「死に筋商品」という言葉もあらたまってその定義を問われることがないため、漠然とした答えをする方が多いですが、中には極めて具体的なお答えをする方もいらっしゃいます。たとえば、「売れ筋商品」については、「当初設定した販売期間中に消化率が60%以上に達した商品」などがそれにあたります。

筆者が考える「当初立てた計画通り数多く売れる、会社の売上利益に貢献する商品」をより具体的な数値を用いて語った意見ですから、模範解答と言えます。一方、死に筋商品については売れ筋商品の反対意見と、あいまいな答えが多くなります。この誰もが定義があいまいな「死に筋商品」について、更に深堀りをしてみましょう。

筆者は新興成長ファッション専門店さんのために主に店頭在庫最適化をテーマにコンサルティングを行っているため、クライアント企業さんの在庫データを精査させていただく機会も多いものです。その中でシーズンの終わりに残してしまった在庫についても確認しますが、その大半を占める、結果的に会社に損失を与えている死に筋商品の原因にはいくつかの共通項があると思っております。主だったものを挙げると次の通りとなります。

検証はあくまでも計画ありき。計画かい離に対処して結果を変える

皆さんはPOSシステムや販売管理システムに何を期待されているでしょうか? かつて明確な販売計画を立てずにPOSシステムから得られる単品の販売実績だけを見て売れ筋商品を追加生産するQR(クイックレスポンス)という手法がアパレル業界でビジネストレンドだったころがありました。しかし、誰もが同じような手法をまねできるようになった現在では商品の同質化を招き、過信をするとむしろ既述のような死に筋商品をたくさん残すリスクもはらんでいます。

POSシステムや販売管理システムの正しい活用のしかたは、まずは自ら計画(仮説)を立て、実績を同システムで集計して計画と突き合わせてかい離に気づき(検証)、そのかい離を解消するために手遅れにならないようにいち早く、どんな手を打つかを考える。 あくまでも、この一連のPDCA(仮説検証サイクル)行動の中で、実績を集計してチェックをするツールに過ぎないことを肝に銘じていただきたいと思います。

以上3回に渡ってファッション小売業のPDCA(仮説検証)サイクルの基本原則を解説させていただきました。

オーバーストア、供給過剰と言われて久しい売り手市場の中で、より消費者に近づき、成果を上げるための計画の立て方と行動原則をお伝えしたつもりです。

まずはつくり手の立場ではなく、消費者の立場になり、購買行動サイクルを理解する。次にそのサイクルに合わせてシーズン前に検証しやすい計画を立て実行に移す。そしてシーズンに入ったら消費者の実際の反応と計画との違いを確認しながら、諦めることなくカイゼンの努力を続けることで結果が変わることをご理解いただければ幸いです。

お問い合わせ

ページの先頭へ戻る