ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. アパレル業向けクラウド販売管理
  3. ビジネスコラム
  4. 第3回
ここから本文です。

製造業、卸売業が意外と知らない、小売ビジネスの常識
ファッション商品の販売管理と店頭在庫最適化のための3原則 第3回

バナー

毎シーズンの流行の変化に相対しながらシーズンという限られた販売期間で決着をつける、リスクが大きく管理が難しいと言われるファッションビジネスにも原理原則はあります。本コラムでは製造や卸売(BtoB)ビジネスをしていると見逃しがちな、消費マーケットを考える上で大切なファッション小売業のリスクマネジメントの基本をご紹介します。

齊藤氏

齊藤 孝浩氏
海外商品調達から国内専門店チェーン運営まで、アパレル業界で豊富な実務経験を持つ流通コンサルタント。商社、輸入卸、アパレル専門店に在職中にそれぞれの流通段階特有の在庫過多に苦労した実体験をもとにファッション専門店のための店頭在庫最適化の独自ノウハウを体系化。2004年独立以来、20社超のアパレル、靴、雑貨専門店の在庫最適化や人材育成の支援に携わる。著書に「人気店はバーゲンセールに頼らない(中央公論新社)」や「ユニクロ対ZARA(日本経済新聞出版社)」がある。ディマンドワークス代表 1965年 東京生まれ。

第3話 売れ筋商品と死に筋商品の違いとは?

商品を仕入れて売り切る上で見逃しがちな落とし穴

第1話では消費者の生活リズムに合せて柔軟に変化に対応しようとする小売業の仕事のサイクルについて、第2話では売上予算を達成するための販売計画の立て方についてお話ししました。最終話となる第3話では売上と利益のカギを握る商品の仕入と売り切りについてお話ししたいと思います。

ファッション商品の賞味期限は8週間

ファッション商品の販売が他の消費財と比べて難しいと言われる理由のひとつはシーズンがあることです。そのため、他の消費財よりも販売期間が短く、なおかつシーズンごとに流行が変化するのです。例えば、春シーズンによく売れた長袖のヒット商品も、気温が上昇して25℃以上の夏の陽気になれば誰も着用しなくなります。そして、消費者の関心は夏の気温にあった新しい着こなしに向くのです。

1シーズンがどれくらいの期間かというと、おおよそ13週間です。これは単純に1年間=約52週間を春夏秋冬4つの季節で割っていただければおわかりになるかと思いますが、52週間÷4シーズン=13週間ということになります。(実際には夏と冬はもう少し長くなります。)

但し、この13週間はあくまでも消費者にとっての着用期間です。消費者は今すぐ着ることができるものを買いたいと思いますし、買うからには、しばらく(少なくとも一か月くらいでしょうか)着ることができるものを購入します。そうすると、シーズン商品を定価で販売できるいわゆる正価販売期間は13週間よりももっと短く、13週間-5週間=8週間くらいが現実となるわけです。この8週間がシーズン商品を定価販売できる「店頭賞味期限」と考えるべきでしょう。

かつては夏のバーゲンで来年の春に着ることができるお買い得商品を買ってクローゼットにしまっておくという消費者も多かったかと思いますが、そんな買い方は年々少なくなっており、より実際の需要に基づいた現実的な購買行動になっているのが現実です。

8週間という短い期間に対してファッションメーカーは半年以上前から準備をし、3-4か月前には需要予測をして見込みで生産を始めなければならないところにビジネスの難しさがあります。そして実際にそのシーズンになってみなければ商品の当たり外れや売れ行きがわからない、そこがファッションビジネスは博打的と言われるゆえんです。

数カ月前の予測に基づいて準備した商品のうち、人気商品はすぐに売り切れてしまい、人気のない商品はずっと売場に残ります。シーズンの始めには新しい商品ばかりで魅力的だった売場も、時が経ち人気商品が少なるにつれて売場の魅力は薄れ、売上も低迷します。そして、その状況を打開するのがシーズン末に行われる大幅値下げのバーゲンセールというわけです。

このようにシーズンごとに売上と利益が不安定になりがちなのがファッションビジネスの永遠の悩みです。

売れ筋商品と死に筋商品

シーズン中に消費者に人気な商品を「売れ筋商品」、その逆が「死に筋商品」と呼ばれます。ビジネスの観点から見ると、「売れ筋商品」は定価で数多く売れるため、売上と利益に貢献します。一方、「死に筋商品」はかなりの値下げをせねば売り切れず、期待していた利益を損ねるだけでなく、シーズンの終わりに売れ残る商品のため会社の損失につながる商品です。

ファッション販売をする上で、この「売れ筋商品」を生み出すための計画の精度を高め、「死に筋商品」による損失の被害を最小限に済ますことができればシーズンごとの利益は改善できるはずです。それでは「売れ筋商品」と「死に筋商品」の実態をもう少し明らかにしてみましょう。

まず、筆者が年に数回行っているセミナーに「ファッションストアの在庫コントロール」をテーマにしたものがありますが、その冒頭に聴講者の方々に「あなたにとって売れ筋商品と死に筋商品の違いは何ですか」と問いかけるブレストを行っています。そこでの様子を少しご紹介しましょう。

日常的に使っている「売れ筋商品」「死に筋商品」という言葉もあらたまってその定義を問われることがないため、漠然とした答えをする方が多いですが、中には極めて具体的なお答えをする方もいらっしゃいます。たとえば、「売れ筋商品」については、「当初設定した販売期間中に消化率が60%以上に達した商品」などがそれにあたります。

筆者が考える「当初立てた計画通り数多く売れる、会社の売上利益に貢献する商品」をより具体的な数値を用いて語った意見ですから、模範解答と言えます。一方、死に筋商品については売れ筋商品の反対意見と、あいまいな答えが多くなります。この誰もが定義があいまいな「死に筋商品」について、更に深堀りをしてみましょう。

筆者は新興成長ファッション専門店さんのために主に店頭在庫最適化をテーマにコンサルティングを行っているため、クライアント企業さんの在庫データを精査させていただく機会も多いものです。その中でシーズンの終わりに残してしまった在庫についても確認しますが、その大半を占める、結果的に会社に損失を与えている死に筋商品の原因にはいくつかの共通項があると思っております。主だったものを挙げると次の通りとなります。

お問い合わせ

ページの先頭へ戻る