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製造業、卸売業が意外と知らない、小売ビジネスの常識
ファッション商品の販売管理と店頭在庫最適化のための3原則 第1回

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毎シーズンの流行の変化に相対しながらシーズンという限られた販売期間で決着をつける、リスクが大きく管理が難しいと言われるファッションビジネスにも原理原則はあります。本コラムでは製造や卸売(BtoB)ビジネスをしていると見逃しがちな、消費マーケットを考える上で大切なファッション小売業のリスクマネジメントの基本をご紹介します。

齊藤氏

齊藤 孝浩氏
海外商品調達から国内専門店チェーン運営まで、アパレル業界で豊富な実務経験を持つ流通コンサルタント。商社、輸入卸、アパレル専門店に在職中にそれぞれの流通段階特有の在庫過多に苦労した実体験をもとにファッション専門店のための店頭在庫最適化の独自ノウハウを体系化。2004年独立以来、20社超のアパレル、靴、雑貨専門店の在庫最適化や人材育成の支援に携わる。著書に「人気店はバーゲンセールに頼らない(中央公論新社)」や「ユニクロ対ZARA(日本経済新聞出版社)」がある。ディマンドワークス代表 1965年 東京生まれ。

第1話 製造業、卸売業が意外と知らない、小売ビジネスの常識

1.流通段階と仕事のサイクルの違い

読者のみなさんはどんなサイクルで仕事をされているでしょうか?オフィスにお勤めの方は月単位のサイクルでお仕事をしている方が多いでしょう。会社から求められる月の売上目標達成のために、そして、月末や月初めまでにその月にかけた経費をまとめ経理に報告したり、月次レポートを提出したりするために、月末周辺は往々にして慌ただしくなるものです。

ファッション業界に限らず、一般の企業には年間でどれだけの売上と利益を上げるかの目標となる年間予算があり、それを半期や月に細分化して目標を実行に移しているのは皆さんもご存じの通りです。上場企業であれば、さらに四半期という単位もあるでしょう。そのため、月単位のサイクルで仕事をする企業が多くなるのです。

筆者はファッション流通コンサルタントとして独立する前に商社、輸入卸、アパレル専門店チェーンで働いた経験がありますが、最後に勤めた小売業で働き始めて間もなく、同じアパレル業界でもその企業が属する流通段階によって仕事のサイクルが全く違うことに気が付かされました。

商社で働いていたころは、お取引先はアパレルメーカーが中心で、シーズン単位で受注や納品をしていたこともあり、また、勤務していた商社が半期単位の業績を求めていたこともあって、仕事のサイクルは半期単位だったものです。極論するならば、売上がほとんどない月があっても問われることはなく、半期末の1か月で一気に予定通りの売上利益が達成できれば特に問題にはならなかったものでした。

次に働いたヨーロッパブランドの輸入卸では、お取引先は専門店や百貨店でした。客先の月単位の売上や仕入予算に沿って、営業担当は商品を納品します。筆者の仕事は、営業担当にあわせて商品の納期管理や在庫管理をすることでした。

毎月、中旬くらいになると営業部長が営業担当に月予算の進捗を確認します。すると在庫管理をしていた当時の筆者も、出荷の準備や納品の調整にせわしくなりました。月末近くなると、営業担当は客先と交渉をして、何とか在庫を引き取ってもらう努力をします。一喜一憂をする彼ら彼女らを、筆者は後方で応援していたものでした。

最後にアパレルチェーンに転職して気が付いたのは、小売業は週単位のサイクルで仕事をしているということでした。毎週月曜日に前週の実績を反省する営業対策会議を開いて、当週の週末にどんな戦略で売上予算を達成するかを考えるというサイクルで会社全体が回っていたのです。

アパレルイメージ

さらに店頭では毎日の売上目標を設定し、各店の店長や店舗スタッフたちは日々の目標達成のために知恵を絞り、地道な努力を重ねていました。

同じアパレル業界に携わる仕事なのに、この仕事のサイクルの違いはどこから生まれるのでしょうか?答えはどんな会社でも”客先のリズムに合わせて仕事のサイクルが決まる”ということです。製造や卸に携わる企業の客先は企業であるのに対して、小売業の場合は一般消費者が客先であるということです。

小売業は消費者のリズムに合わせて仕事をする

小売業が週単位で仕事をしている理由は、顧客である消費者の生活リズムに合わせているためです。一般の消費者は月曜日から始まり日曜日で終わる1週間のサイクルで生活しています。そして多くの消費者は、仕事をしている平日と休みを取る週末で消費の行動パターンを変えます。唯一、月単位で行動を変えるのは給料日(またはお小遣い日)の前後くらいでしょうか?

そのため、小売業では消費者の生活リズムにあわせて週単位で売上目標を設定して実行に移すのです。もっとも小売業も企業であるため、会社の年間予算や月予算は存在します。現実的にはこの会計目的である月予算を、店舗ごとに一日あたりの売上目標に細分化した日割り予算を、週単位に積み上げて週予算として運用している企業が多いです。

月単位で仕事をすることと週単位で仕事をすることの違い

会社の月ごとの会計予算はあるものの、週単位で活動する小売業には月単位のサイクルで行動する企業と比べると、いくつかの大きなメリットがあります。

まず、会社の月予算にあわせて月単位のサイクルで活動しているとどんな行動になるでしょうか?月初めは比較的のんびり始まり、月の中ごろから月末に向けて慌ただしく月予算の追い上げに奔走することでしょう。月の前半の取りこぼしを後半で一気に追い込むのもなかなか大変です。また一か月が終わって翌月の初旬に反省をまとめたところで、特にシーズン性のあるファッションビジネスにおいては、その反省を実際に活かせるのは、翌年の同じ時期の計画を立てる時くらいしかないでしょう。

このように月単位の仕事は、実際、スピード感に欠け、反省を行動に移すというより、言い訳のための報告書づくりに終始することが多いようです。

一方、より細かく週単位で行動すると、顧客である消費者の生活リズムに合わせて提案をしながら、毎週反省を行い、対策を立て直すことになります。前週に反省したことが当週や翌週に活かすことができるということが少なくありません。月単位では市場動向は大きく変わってしまうものですが、週単位であれば、連続する2-3週間(前週と今週と翌週)で大きく傾向が変わることはさほどありません。

そのため、同じシーズンの途中でも市場の動向に合わせて販売戦略に見直し修正を加えアクションを取ることができるのです。つまり、月単位で仕事をするより、仕事のスピードが増し、精度が高まるのです。

こうして考えてみると、月単位で設定された予算はあくまでも会社の会計上の都合であって、週単位で顧客動向を見ながら仮説検証して行動することこそ、顧客である消費者の需要に合わせた企業活動であることがおわかりになるでしょう。

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