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社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院様

社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院様

クリニカルパスにおけるバリアンス収集・分析と可視化を通じ、
PDCAサイクルの高速化を実現

業種医療・ヘルスケア,その他業種業務その他業務
製品業種・業務ソリューション・サービスその他ソリューション

導入前の課題

クリニカルパスのバリアンス分析に必要な情報の収集が困難

済生会熊本病院 院長 副島 秀久 氏済生会熊本病院
院長 副島 秀久 氏

社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院様(以下、済生会熊本病院様)では、以前からクリニカルパス(*1)(以下、パス)による医療の質の向上に取り組み、電子カルテおよび電子クリニカルパスを自主開発していましたが、電子カルテは記録そのもの以外に周辺部門も非常に複雑であることから、電子カルテシステムパッケージへの移行を検討しました。しかし、当時の電子カルテシステムには、パスに関するデータの収集・分析が困難、という課題がありました。

「電子カルテシステムは医事会計システムが出発点なので、患者のカルテ内容とパス分析とはほとんど連動していませんでした。したがって、多くの加工やプロセスを経ないと、実際に活用できるデータにならないという問題がありました。重要なのは電子カルテの記載内容であり、そのデータを収集して、きちんと分析できる環境を整えるのが最大の課題でした」と、院長の副島秀久氏は当時の状況を振り返ります。

導入の経緯

どのような種類のデータをどのように活用したいのか、明確、かつ具体的に提示

そこで、済生会熊本病院様では、どのような種類のデータをどのように活用したいかを整理し、次の5つの課題解決をめざすことに決めました。

  • 最適な観察項目と適正値の判断により、患者アウトカム(*2)・バリアンス(*3)の判定が行えること。
  • バリアンスと判定した要素(観察項目・実測値)の記録・分析ができること。
  • パスの設定と、実績(患者アウトカムとタスク(*4))の差異分析ができること。
  • 患者間における実績の差異分析ができること。
  • 分析要素としては入院情報、手術情報、経過日数、DPC(*5)などを対象にできること。
済生会熊本病院 副院長/クリニカルパス委員会委員長 町田 二郎 氏済生会熊本病院 副院長/
クリニカルパス委員会委員長
町田 二郎 氏

いくつかの電子カルテベンダーへ企画提案を依頼して検討した結果、NECが共同開発のパートナーとなりました。副院長/クリニカルパス委員会委員長の町田二郎氏は、その理由を次のように語ります。
「いくつかのベンダーのシステムを見比べ、NECの電子パスの構造が当院のめざす構造にもっとも近かったことが選定の大きなポイントでした。さらに、他にはないダイナミックテンプレート機能(以下、DT)が優れていたことがあります。また、NECスタッフとのミーティングを通じて、パスの電子化に対する情熱や柔軟性を感じました。私たちとともに勉強し、電子パスを発展させていこうという強い熱意が伝わってきました」

バリアンスを分析し、後利用するのが最大の目標

済生会熊本病院 TQM部 診療情報管理室 中熊 英貴 氏済生会熊本病院
TQM部 診療情報管理室
中熊 英貴 氏

済生会熊本病院様では、記録すべき情報の中でもっとも重要なのはバリアンス発生時の情報であると考えています。
患者への治療が標準的なパスの経過から逸脱する「バリアンス」が発生したときこそ、その状況を医療チーム全員に知らせ、情報を共有する必要があるというものです。
さらに、どのようなバリアンスが発生したのかを、あとから自在に参照・分析できるような仕組みづくりが求められました。
バリアンスの単純な集計ではなく、その内容が重要なものだったのか、それとも軽微なものだったのかという情報の“質”が重要であり、それにはあとから参照して活用できるよう、記録が的確かつ正確である必要がありました。
「当院のバリアンス資料をNECに見てもらい、お互いにどのような視点でシステム化し、可視化が必要なのか検討を重ねていきました。院長のアイデアから、DTを使って分析用の記録を構造化できると考えました。NECとともに何度もチームで勉強会を開き、パスの学習を繰り返し行いました」と、TQM部 診療情報管理室の中熊英貴氏は共同開発の経緯を語ります。

共同開発を進め、2014年2月に電子クリニカルパスシステムが稼働しました。このシステムでは従来から利用していた日本クリニカルパス学会監修の患者状態アウトカム用語集(Basic Outcome Master:BOM)(*6)による用語の標準化とマスタ構造化、一日分の診療情報を記録する「日めくり記録」の採用に加え、バリアンスが発生したと判定したらただちにバリアンス記録(バリアンスが発生したときの患者の状態など)をSOAP形式で記録することを可能としました。これにより、バリアンス分析の際にカルテの内容を探すことが不要となりました。

画面日めくり記録画面
画面日めくり記録でのバリアンス記事登録(DT活用)
ダイナミックテンプレートを利用し、アウトカムごとのバリアンス記録を2次活用へ。

つづいて同年4月にはパス分析機能「NECV(Novel Electronic Clinical pathway analysis Viewer)」が稼働しました。
電子クリニカルパスにより、既に分析可能なデータとして収集されています。これをDWH(*7)に格納し、分析に必要な情報を表示するものがNECVなのです。

「従来、このようなシステムが存在しなかったのは、最終アウトカムとしてどのようなデータを可視化したいかという明確な目標が、臨床側からあまり提起できていなかったからだと思います。当院では、長年にわたりパス活動を行ってきており、最終的にはどのようなデータが見たい、または見るべきだという目標を持っていたので、NECの技術力を借りて共同で実現できたのだと思います」と副島院長は語ります。

NECV(Novel Electronic Clinical pathway analysis Viewer)の特長

NECVでは、「パス別管理一覧」「バリアンス表示」「患者別要約一覧」「患者別医療行為一覧」の4つの機能があり、それぞれ必要な情報を確認できます。

パス別管理一覧

パス別管理一覧画面では、パス別の使用数・中止数・バリアンス発生数・在院日数などが一覧表示されており、パスの使用状況を概観することができます。

画面パス別管理一覧画面

バリアンス表示

NECVの中核であるバリアンス表示画面では、選択したパスの「患者別入院日数分布」「バリアンス内容・件数」「バリアンス内容・件数と出来高換算」「出来高換算内容」が4分割した画面で即座に確認できます。

画面バリアンス表示画面
画面個別患者明細画面

画面左上の「患者別入院日数分布」では、入院日数がプロットされ、さらに平均から1SD(*8)離れた場合は黄色で、2SD離れた場合は赤の点で表示されます。このプロットを右クリックすると患者詳細が表示され、この患者に使った薬剤や検査内容、入院中に発生した合併症などを確認できます。
画面右上の「バリアンス内容・件数」では、患者別のバリアンス発生数が棒グラフで色分け表示され、どのアウトカムが未達成だったか、共通するバリアンスは何か、を大まかに把握できます。
画面左下の「バリアンス内容・件数と出来高換算」では、バリアンス内容・件数だけでなく出来高換算した場合の医療費がプロットされています。出来高換算をプロットすることで、投入した医療資源をつかむことができます。
さらに、画面右下の「出来高換算内容」では、出来高換算の詳細を見ることができます。

患者別要約一覧

患者別要約一覧では選択したパスの適用患者の一覧と概要を把握することができます。

画面患者別要約一覧画面

患者別医療行為一覧

患者別医療行為一覧では、選択したパスの適用患者に施行したタスク(検査や投薬状況など)を把握することができます。

画面患者別医療行為一覧画面

導入後の成果

電子カルテ端末から瞬時にパス分析情報が表示可能に

NECVの特筆すべき点は、電子カルテ端末からビューワを開いてパスの使用状況やバリアンスの発生状況を瞬時に確認できる点にあります。これまでのようにデータ収集自体に労力をかける必要はありません。
「自分の担当する患者が、いま治療のどのような位置にいるのか、たとえば同じ症例の患者と比べ、バリアンスが多いのか少ないのかなどを現場に置かれた電子カルテ端末から、瞬時に確認することができます。また、詳細データを抽出できるので、問題解決へ向けたより詳しい原因追求が行えるようになりました」と町田副院長は語ります。

パス大会に向けた情報収集の時間が大幅に短縮

パス活動を院内で推進するために重要な「パス委員会」や「パス大会」に向けた情報収集に必要な時間も、NECV導入により、2ヵ月から1~2日と大幅に短縮しました。 さらに、NECVからExcel®への出力機能により、より詳細な分析も可能となりました。
「パス大会では、一つの疾患にテーマを絞って分析をしていきます。ですからNECVだけではなく、NECVから書き出したデータをExcel®などで分析をして、それからバリアンス記録と突合して、もっと詳細な問題点というのを掘り下げてパスの改訂につなげるとか、あるいは、パスの適用基準を見直して新たなパスを作るとか、重症度に応じたパスの層別化をするとか、そういったことにつなげて活用しています」(町田副院長)

日めくり記録のメリット

済生会熊本病院 TQM部 クリニカルパス専任 森崎 真美 氏済生会熊本病院
TQM部 クリニカルパス専任
森崎 真美 氏

日めくり記録(パス)の方式も、病院のスタッフには非常にわかりやすいと好評です。
「患者の治療に関する1日のアウトカムや観察項目などが、すべて1画面に網羅されている日めくり記録画面の活用性やメリットは大きいと思います。日めくり画面を見れば、患者の状態や今日の仕事・目標がすべてわかり、さらに判断基準もわかるということで優れた機能だと思います」と中熊氏は語ります。

「まずは日めくり画面で一日の患者状態がすべて把握できるというところがたいへん便利です。
また、日めくり画面で記録することでバリアンスが起こったときの患者状態の詳細な情報が記録できるということと、それが看護記録につながるということが大きなメリットになるかと思います」と、TQM部 クリニカルパス専任の森崎真美氏(看護師)はそのメリットを述べます。

医療の質を改善するためのPDCAサイクルを高速に回すことが可能

済生会熊本病院 看護部長 宮下 恵里 氏済生会熊本病院
看護部長 宮下 恵里 氏

NECVの導入効果について、看護部長の宮下恵里氏は次のように語ります。
「日めくり記録は、患者状態の変化やバリアンス記録等を記載する経過記録としての要素が強く、看護記録を包含しています。看護師が日々の看護記録を確実に記載することでバリアンスの収集、分析につながりました。NECVの導入により、バリアンス分析の効率化が可能となり、診療プロセスやケアプロセスのタイムリーな見直しにつながります。
クリニカルパスの最終アウトカムは、「医療の質改善」です。
今後は、各部署でこのNECVが日常的に活用され、バリアンス分析をもとに医療の質改善活動が継続することを期待します」

副島院長は次のように総括します。
「まず、医療の質をいかに改善するかということがパスの活用の主目的だと思いますので、そのためにはバリアンス収集、バリアンス分析をいかに効率よくやるか、そのことによってPDCA(*9)サイクルを回すということになると思います。今回のシステムはバリアンス収集、分析ともにかなり効率よく行えるようになっており、PDCAサイクルを高速に回す、ということができるようになってきていると思います」

今後の展望

今後はパス非適応疾患の分析と、他施設とのベンチマークへ

済生会熊本病院様では、パスが適用されていない疾患の分析を今後の課題にあげています。
「当院の場合、パスを適用している患者は病院全体の約55%くらいです。パスを適用した疾患の分析は、NECVの導入で飛躍的に効率化・省力化され、その結果が治療現場へフィードバックされるスピードも格段に向上しました。
今後の課題として、パス適用が難しいといわれている疾患も分析できるような仕組みを構築したいと思っています」(町田副院長)

さらに、今後の展望について、副島院長は次のように話します。
「システムをさらに有効に活用するためには、他の医療施設とのベンチマークの実施が不可欠だと思います。地域の施設間、あるいは全国レベルで多様な次元のベンチマークを行うことで、性能の改善や質の向上が図れます。また、NECVの利用を拡げれば、さらに蓄積された膨大なデータの解析を通じて、治療研究や臨床研究に大いに役立つのではないかと期待しています」

用語解説

(*1) クリニカルパス/パス :患者状態と診療行為の目標、および評価・記録を含む標準診療計画であり、標準からの偏位を分析することで医療の質を改善する手法(日本クリニカルパス学会の定義より)。
(*2) アウトカム : 治療における達成目標
(*3) バリアンス :アウトカムが達成されない状態。また、観察項目の結果が適正値外となった状態
(*4) タスク : 治療行為、看護ケア
(*5) DPC : 厚生労働省が定めたDPC(診断群分類)で評価される入院1日あたりの定額支払い制度
(*6) BOM : Basic Outcome Masterの略で、日本クリニカルパス学会監修の患者状態アウトカム用語集
(*7) DWH : :データウェスハウス
(*8) SD : 標準偏差。
正規分布の場合、1SD内に母集団の約68%が、2SD内に母集団の約95.4%が含まれる
(*9) PDCA : Plan(計画)・Do(実行)・Check(監査)・Action(見直し)の4つを繰り返すことによって、業務を改善する手法

※表示されている氏名や診療情報は、すべて架空のものです。

※画面は実際のものと異なる場合があります。

※Microsoft Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。

お客様プロフィール

社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院

所在地 〒861-4193 熊本市南区近見5丁目3番1号 社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 様
創業年 1935年
医療内容 内科、外科、消化器内科、消化器外科、整形外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腫瘍内科、糖尿病内科、泌尿器科、腎臓内科、心臓血管外科、循環器内科、脳神経外科、神経内科、放射線科、麻酔科、救急科、病理診断科
病床数 400床(うち162床個室)
従業員数 1,733名(医師134名・看護師650名含む)
院内設備 レストラン、売店、美容室、フラワーショップ、コンベンションホール(361名収容)、コングレスルーム(100名収容)
URL http://sk-kumamoto.jp/

(2015年02月10日)

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